2023/05/14

ティファニーで昼食を

 去る金曜日、家族で伊豆高原方面に出かけた。娘がテディベア・ミュージアムとニューヨーク・ランプ・ミュージアム&フラワーガーデンに行きたいと言ったのが発端。妻が城ケ崎海岸の有名な門脇吊り橋&灯台に行ったことがない、ということだったので、じゃそのあたりを周ろうということになった。娘が小さい頃にかなり頻繁にこの方面に遊びに行っていたが、伊豆急の線路を越えた側には行ったことがなかったのだった。
 それで、ドライブのルートであるが、伊豆高原駅への最短ルートということで、本当に久しぶりに冷川から中伊豆バイパスを通るのではなく、遠笠山道路に出る狭い県道を通った。この道を始めて通った40年近く前に比べれば道幅は広く走り易くなっているが、何か所か対向車との行き違いに気を使うところは残っている。前回ここを走ったのは確か、シトロエンC4に乗り始めたばかりの頃だったと思う。大室山のふもとの蝋人形美術館の交差点にこんなにすぐについてしまうのか、と思った。天気が良くドライブ日和である。

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 最初の目的地テディベア・ミュージアムでは、スタジオ・ジブリ協力の「となりのトトロ」の特別展もやっていて、実物大のネコバスの中に乗ることができたり、設定資料の基づいて人形を作ってます的展示があって設定資料(の拡大コピー)も見ることができた。本体のテディベアの方は、その起源であるセオドア・ルーズベルトについての説明部分の展示が一番興味深かった。ついこの間、テディ・ルーズベルトが大事な役回りで登場するジョン・ミリアスの「風とライオン」を見たばかりであったので余計に気になったのである。同じクマつながりで、プーさんや3匹のクマに関するものを多数あり、ちびくろサンボと一緒に描かれた絵もあって、この絵が見れたことが今回の最大の収穫。併設のカフェでちょっと遅めのティータイムをとり、やはり併設のクッキー屋さんで土産のクッキーを購入。

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 続いて、門脇灯台&吊り橋に向かう。一番近い駐車場に行こうとするが、テディベア・ミュージアムからこの方面に向かう道は初めてで、所々で間違う(ナビは付けていない)。吊り橋遊歩道駐車場→という看板があってこれかと思って進んでいったら、そこは、吊り橋の後に行くつもりだったニューヨーク・ランプ・ミュージアム&フラワーガーデンの大駐車場で、昔、遠足でよく来た海洋公園の駐車場であった。海洋公園がリニューアルしてニューヨーク・ランプ・ミュージアム&フラワーガーデンとなっていたのであった。それで、とって返して、元の道の戻り、門脇吊り橋最寄り駐車場へ。ここもはるか昔に来た時とは違って整備された市営駐車場になっていた(駐車料金500円)。

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 再びニューヨーク・ランプ・ミュージアム&フラワーガーデンに戻り、駐車場から遊歩道に少し入った所にある東屋で、おにぎり昼食。本日の目的は、2つのミュージアムに併設されたカフェでお茶することなので、昼食は質素に済ますのである。で、ニューヨーク・ランプ・ミュージアム&フラワーガーデン入園である。フラワーガーデンの様子は海洋公園の庭園だった時から変わっていなかった。最近はやりのアンブレラ・スカイなる部分もある。海岸の方に目をやると蓮着寺前の海岸のあたりに海に突き出た岩と岩を結んで鯉のぼりが泳いでいる。ランプ・ミュージアムではアンティークティファニー作品が展示されている。この別館が海を見渡せる(伊豆大島が良く見えた)テラスのあるカフェになっている。個人的には南フランスあたりのリゾート地に来た気分でちょっと早い午後のティータイム。結局、ティファニーでデザートを、である。

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 本日最後は、このところこの方面に来た時には必ず寄っている「まぼろし博覧会」。昨年、いろいろなTV番組で取り上げられて入場者が増えたせいか、展示ルートが整備され、近隣の飲食店の案内チラシが、昭和の混沌の中にあったりする。全共闘の夢の後、みたいな感じの、この猥雑なカオス! 昨年来た時にはできていなかった広島のストリップ劇場の再現展示が完成(?)している。小学校低学年の時買ってもらって遊んだ記憶のあるディズニーの家庭盤(ボードゲーム)が無造作にあったり、ポパイとオリーブの年代物の人形があったり、日本だけでなく海外アニメのキャラクター商品もあるのがいい。

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2023/01/01

謹賀新年

今年もよろしくお願いします。

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2022/11/11

チャーリー・バワーズを見たのです

 静岡サールナートホールで上映中の『NOBODY KNOWS チャーリー・バワーズ 発明中毒篇』を今日行かなければ見ることができないぞ、ということで、6日の日曜日に見てきた。バワーズについての1番の基本文献となるパンフレットも入手した。「マットとジェフ」を作っていたパワーズのところにいて、その後30年代のディズニー・プロで活躍するテッド・シアースがコメディ作品にもかかわっていたということもちゃんと書いてある。上映作品については、今回の公開用につくられた伴奏音楽が素晴らしい。やっぱり、ドルーピーの元ネタになったんではと思われる神出鬼没の怪人を捕まえようとする「怪人現る」が好きだなあ。オチもぶっ飛んでるし、実写とアニメ―ジョンとの融合も一番である。今回の上映には入っていない IT'S A BIRD(1930)は、バワーズ・コメディの集大成であったなあと思う。「たまご」「自動車」「ほら話」「変な生き物(人間も含む)」の4要素がすべてある。

 

 積読だったジョー・アダムソンJoe Adamsonの'THE WALTER LANTZ STORY'(1985)を読んでいる。チャーリー・バワーズが1930年代半ばに「うさぎのオズワルド」を作っていたランツ・プロの親会社ユニバーサルに雇われたことについて書かれている部分まで読み進んだ。ユニバーサルは、ランツが契約通りのペースで作品を作り続けれるか不安に思い、ランツに知らせずに、年26本のペースで安く作れるとアピールしたバワーズと契約した。バワーズはカリフォルニアのランツの元にはいかず、ニューヨークの自分のスタジオで作品を製作し、それは、Dumb Cluckという新キャラクターを登場させたバワーズらしい奇怪な作品だったとのこと。「マウス・アンド・マジック」のリストを見ると、1937年に'Dumb Cluck'というタイトルのオズワルド・シリーズの作品があった(このころのランツ作品には製作スタッフ名がクレジットされていないので、実際の演出家などの情報はない)。ということは、アヴェリーとの直接の接点はなかったと考えるのが妥当であろう。ちなみに、Bendazziの'ANIMATION A WORLD HOISTRY'にもこの経緯は書かれている(作品名は挙げられていないが)。

 

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2022/07/30

あれからとりあえず何もない

 6/10にC4ピカソの警告音のことを書いて以来、今日までその音を聞くことはなくなった(ライトをハイビームにしたときを除く)。この4月から長くなった通勤にも慣れてきた。次のオイル交換まで、何もないことを祈る。

 以下、時間的にはちょっと遅くなってしまった話題などを少々。

 7月9日から浜松市美術館で「ハイジ展」が始まった。9日に小田部羊一さんの講演会があるので行くならその日に行きたいと思っていたが、都合によりその日に行けなくなりどうしようと思っていたところ、さる方より一緒に行かないかというお誘いがあり行ってきた。美術館の1階にハイジの原作に関わる展示、2階にアニメの「アルプスの少女ハイジ」に関する展示がされていた。
 1階で目についたのは、まず、ハンナ・バーベラの1982年の長編アニメ「ハイジの歌」Heidi's Song のポスター。この作品は実は見たことがない。1973年の長編「シャーロットのおくりもの」は日本でも公開されビデオ等も出ているのに、この作品はそうならなかったのはなぜだろう。やっぱり、「アルプスの少女ハイジ」があったせいだろうなあ。次に目についたのは、原作が日本で翻訳出版されたときの様々な画家による挿絵。その中では、少女漫画のスタイルを確立したといっていい高橋真琴の原画が見れたのが一番。
 2階の方では、やっぱり宮崎駿の手になるレイアウトがすごい。コンテは富野由悠季が手がけたものもあり、絵が描ける演出家であることがわかる。面白かったのは主題歌に関する展示で、特に、大杉久美子の事務所の手になる売り込み文書(手書き!)。また、別の日に見た友人から、スペイン語のコミック版がテレビシリーズの最終回を越えて描かれていて、おんじの船が嵐で沈むわ、ハイジとペーターが洞窟探検するわ、もう原作無視の波乱万丈の展開、ということを知らされて、自分は見落としてしまっていたことに気づき、うわ見ておきたかった、となってしまった。

 映画は「ハッチング‐孵化-」以降、「イースター・パレード」「シン・ウルトラマン」「ワン・セカンド 永遠の24フレーム」「犬王」「FLEEフリー」「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」「PLAN75」「トップガン マーヴェリック」「ミニオンズ フィーバー」「暴太郎戦隊ドンブラザーズTHE MOVIE新?初恋ヒーロー/劇場版仮面ライダーリバイス バトルファミリア」「ブレードランナー ファイナルカット版」と見た。この中では「犬王」「FLEEフリー」を2回見た。どちらも途中で居眠りしたということもあってなのだが、居眠りしていないシーンでも、もう一度見て確認したいという魅力のある作品だったからである。「PLAN75」は地元出身の磯村勇斗が出ているから見に行き、「劇場版仮面ライダー」はお世話になった方の息子さんがプロヂューサーだからというのもあるが、「ドンブラザース」の鬼頭はるかを劇場の大スクリーンで見て見たかったという単純な理由から(自分にとって今一番面白いテレビ番組は「ドンブラザース」である)。

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2021/12/31

2021年地元の映画館で見た映画ベスト10

「ウォーデン 消えた死刑囚」ニマ・ジャウィディ監督
「テスラ エジソンが恐れた天才」マイケル・アルメレイダ監督
「アンモナイトの目覚め」フランシス・リー監督
「トゥルーノース」清水ハン栄治監督
「JUNK HEAD」堀貴秀監督
「白蛇:縁起」黄家康&趙霽監督
「映画大好きポンポさん」平尾隆之監督
「スペース・プレイヤーズ」マルコム・D・リー監督
「アイダよ、何処へ」ヤスミラ・ジュバニッチ監督
「皮膚を売った男」カウテール・ベン・ハニア監督
(ほぼ見た順)
 次点:「由宇子の天秤」春本雄二郎監督

 

 49本見た中からの10+1本。今年から我が家に一番近い映画館で「午前十時の映画祭」が上映されるようになって、7本見たが、それは除外して選んである。「真昼の決闘」「赤ひげ」「モスラ」の3本が、そうしないと入ってくる。その代わりにどの3本が落ちることになるのかは難しい。評価順ではないのだが、下の方の3本と入れ替わりそう。

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2021/10/20

水の中で水を感じる雨の箱根

 先日の17日の日曜日、天気は悪かったが家族で箱根に出かける。まず、箱根神社に行く。今回初めて宝物館に入る。曽我兄弟の仇討に関する展示がメインであった。その後、仙石原に行き、星の王子様ミュージアムのレストランで昼食。雨がひどいため、ミュージアムには入場せず、ポーラ美術館に行く。まず、ロ二・ホーン展
を見る。たまにはこういうものを見るのも面白い。容器の中に入った水のように見えるガラスをどうやって作ったのかと思いを巡らすと、ガラスという物質の性質を知らないとできないことだと思い、きわめて科学技術的な作品だと思う。モネ、その他の作品も見るが、やはり、ロ二・ホーンのインパクトが強い。帰りは、雨で眺望は期待できないが、時間短縮になるので、芦ノ湖スカイラインをドライブ。雨だから飛ばせるわけではないが、コーナリング時のピカソの安定感を再確認。

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2021/09/18

「スペース・プレイヤーズ」は「スペース・ジャム」よりできが良い

 地元に緊急事態宣言が出ているので映画館に行くのも自粛してきたが、「スペース・プレイヤーズ」の字幕版が上映されているというので、上映終了になってしまわぬうちにシネプラザ・サントムーンで見てきた。「スペース・ジャム」から20年以上たった続編というか、リメイクというか、バスケットボールの名選手たちとワーナー漫画のキャラクターたちが共演する作品である。「スペース・ジャム」ではあまり活躍したとは言えなかったコヨーテやスピーディ・ゴンザレスが活躍する部分があったのが良かった。ルーニーチューンのキャラクター以外に、現在ワーナーが権利を持つ、ハンナ・バーベラ作品やDCコミックスなどのキャラクターも顔を見せ、オールドファンには懐かしいキャラクターの登場もあって楽しい作品だ。昔「スペース・ジャム」を見たときに感じた問題点が、ワーナー映画のデーターセンターの電脳世界という設定にしたことで、ほぼすべて解消されているのが、特に好ましい。

 吹き替え版もチェックしておこうと、ジョイランドみしまで見た。字幕版で見落としていた多くのキャラクターを確認。宇宙怪人ゴーストが空中に浮いているのには、字幕版では全く気付けなかった。字幕の字を追いながらの画面の色々なところにちょこっと登場するキャラクターを見つけるのは、やはり、難しかったのである。グラニーの大ベテラン声優、京田尚子の声を聴いて、いつまでも元気でいて声を聴かせてほしいと思う。キングコングとリキラ、アイアンジャイアントとフランケンロボが一瞬でもいいから隣り合っているカットがあって欲しかったと思うのは私だけだろうか。TVドラマ版のバットマンとロビンが出てきて、ニール・ヘフティのテーマ曲も使われたのが私には一番嬉しかった。

 

 緊急事態宣言が出される前の7,8月前半にはかなり映画館に行き、「映画大好きポンポさん」「ブラック・ウィドウ」「竜とそばかすの姫」「100日間生きたワニ」「2001年宇宙の旅」「ゴジラVSコング」「白蛇:縁起」「サイダーのように言葉が湧き上がる」を見た。この中では「白蛇:縁起」が一番気に入った。この映画のスタッフで「三体」を映画化してほしいと思う。僅差で「映画大好きポンポさん」が続く。ポンポさんがロジャー・コーマンのようなプロデューサーだというのが特に気に入った。多少予測はしていたものの、結果、やっぱりちょっとがっかりだったのは「竜とそばかすの姫」および「ゴジラVSコング」。「サイダーのように言葉が湧き上がる」は予告編で、わたせせいぞう的な背景の高彩度(高輝度と言った方が良いのか?)さに目が耐えられない、と思ったのだが、そうはいってもこのような様式化された背景が気になって、耐えられなければ寝ればいいと見に行った。見始めた最初は多少きついなと思ったが、目が慣れて、最後まで見ることができた。単純なボーイ・ミーツ・ガール映画だが、現在の地方都市の問題点がそれとはなく見えるのがなかなかうまい作りだ。

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2021/05/02

シン東宝

 日本映画専門チャンネルで新東宝の天地茂出演映画の特集(3本立て)をやっていたので見てみた。その中では、新東宝の最後の作品でスタッフ、出演者がノーギャラで撮ったという「恋愛ズバリ講座」(1961年)が一番面白かった。第1話「吝嗇」三輪彰監督、第2話「弱気」石川義寛監督、第3話「好色」石井輝男監督の3話からなるオムニバス作品。ドケチな男とガメツイ女が抑揚のない早口でやりあうのが面白い第1話、幼稚園の先生のあっと驚く大変身の第3話、それらに比べるとちょっとインパクトに欠ける田舎の村の原発誘致騒動の第2話なのだが、私にはこの第2話が実は気になった。それは、三島の農兵節(ノーエ節)が歌われ、架空の田舎の村の村人が話している方言が静岡県東部の方言だったからである。新東宝には三島出身のスタッフがいたのか? 一緒に放送された「憲兵と幽霊」(中川信夫監督1958年)でも冒頭の中山昭二と久保菜穂子の結婚式で農兵節が歌われていたし。

 それで、調べてみたら、新東宝の設立に関わり、取締役を勤めたこともある渡辺邦男監督が三島出身だったのである。第1話の天地茂演じるケチな社長は新東宝社長の大蔵貢を思わせるので、第2話の田舎の村長は渡辺邦男なるんだろうか。新東宝関係者にはよくわかる裏の意味がある話になっているのかな。池内淳子演じる村長の娘が新東宝を表していて、東京から村長の娘と結婚したくてやってくる眼鏡の気弱な男(演じるはなんと菅原文太!)が、やっぱり、大蔵貢なのか?

 最後の第3話は、誰かへの当てこすりというより、開き直ったスタッフによる、さらばすべての新東宝映画、という感じの三原葉子の怪演だな。

 音楽が渡辺宙明(3本目の「怒号する巨弾」も)だったのも収穫。「忍者部隊月光」以前の作品を初めて知った。

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2021/03/15

熱海に行くなら、怪獣映画祭

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  COVID-19のために昨年11月から延期になっていた第3回熱海怪獣映画祭に、13日(土)、行ってきた。当日は、風雨がひどくなるという天気予報だったが、出かけるときにはまだ雨がほとんど降っておらず、帰るときには予報通り晴れて、熱海駅~会場の移動時に大変な思いをすることなくすんだのが、まずよかった。12時30分からの「怪獣の日」「装甲巨人ガンボット」と15時からの「全国自主怪獣映画選手権熱海傑作選2021」を見る、ということで、昼食を余裕をもって食べられるようにと11時過ぎには熱海駅に着いた。で、今まで気になっていて一度も入ったことがなかった喫茶店ボンネットに行こうと店の前まで来たら「本日休業」。一都三県の警戒宣言は延長になった割に観光客がいるなあと思いつつ、結局は前回も食べた洋食の宝亭に行き昼食。上映時間にはまだ間があるので、食後のコーヒーを喫茶店でと、路地を歩いて行ってジャズ喫茶ゆしまという店を見つけ入る。こんなところにジャズ喫茶があるんだと扉を開けた。JBLのスピーカーから自分の家ではなかなか聞けない音量で、ジャズが流れている。しばらく聞いていると、ビル・エバンスのライブの録音のようだということがわかる。この店を見つけたことは、自分にとって、怪獣映画祭に出かけたことによる予想外の収穫。
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「怪獣の日」
 東日本大震災(原発事故を含む)からの直接の影響を感じて「シン・ゴジラ」を見てそうなったのかなと思ったら、「シン・ゴジラ」より前に作られたということでちょっと驚いた。上映後に登壇した中川監督への質問の最後に、会場に来ていた樋口真嗣監督から、「シン・ゴジラ」との時系列をきちんと主張した方がいいよという趣旨の発言が出たのが、良かった。
 怪獣の死体と思われるものが漂着した静岡県の浜江町の対応を描いた作品(ロケ地の海岸は伊豆っぽいけどどこだろうと思い、主人公の運転するスズキ・スイフトのナンバーは沼津ナンバーのように見えた)。怪獣は基本「死体」なので海岸に横たわっているだけで、この処理をどうするかということなのだけれど、海洋巨大生物の若手研究者が死んでる確証はないとして、生きている確証がないから死体として処理しようとする行政の意を汲んだ主任教授と対立するという展開。若い監督の作品なので、脚本のつめが少し甘いかなと思うけれど、「シン・ゴジラ」の先取りとして面白いと思う。
「装甲巨人ガンボット」
 川北紘一監督(本編の演出は大森一樹)が大阪芸大で撮った遺作。宇宙からやってきた巨大ロボ、デスレッドが大阪を襲い、急遽災害救助用ロボを改造したガンボットで対抗するという話。冒頭のシーンで、空を横切る正体不明の飛行物体に対して「あれはなんだ」と叫ぶ人物のアップで、同じセリフを繰り返していた我らが「源氏戦隊ゲンジマン」を思い出し、一人笑いしてしまった。このセリフは、かつての怪獣映画の定番セリフなんで、そういうことを意識してのシーン(その後も何箇所かで同じようなセリフが入る)だと思うが、まさか「源氏戦隊ゲンジマン」を知っていてやっていないよね(その昔、アニメ総会解散後に、当時大芸大の学生であった今ではとっても有名になってしまった人を含む関西のアニメ特撮ファンに囲まれ、「ゲンジマン」面白かったですよ、あれやってくださいとリクエストされてK氏が「あれはなんだ~」と空を指さして叫んだ、というできごとを私は覚えている)。
 デスレッドをあやつる宇宙人に殲滅させられた宇宙人が発した警告(対抗手段も含む)を親子孫三代かけてやっと解読したと思ったら、デスレッドがやってきてしまった、という設定が面白い。この作品、いくらでも続編ができそうなんだけど作られていないのかな。
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「全国自主怪獣映画選手権熱海傑作選2021」
 上映作品は、「県立武蔵野魔法高校にんきもの部ドラゴン狩り物語」「新モモトラマン2019」「惨殺巨獣バリギュラー」「リトル」「UNFIX 2021春の特別総集編」の5作品。最後の田口監督の作品は、町内会の会合があって6時までには家に帰らねばならなかったので、2/3くらい見たところでタイムアップ、やむを得ず会場を後にした。
 この中で特に面白かったのは最初の2つ。どちらもすごい特撮はしてないけれど笑える話になっていて、実際、会場全体が笑いの渦につつまれました。「県立武蔵野魔法高校にんきもの部ドラゴン狩り物語」は「ハリーポッター」のパロディで30分近い時間飽きさせない展開。「新モモトラマン2019」は、前回見た中で一番面白く感じた、一人で自宅で撮影している作品の田中守監督(田中安全プロレス)の新作で、5分という短さ(自分たちが8ミリフィルムで自主制作をしていた頃は5分という長さは普通で、10分を超えてくると長編だなあ、という感じであった)の中に、特撮映画をどうしても作ってみたかったんだよ~、という思いが凝縮されている。
 「惨殺巨獣バリギュラー」は「ウルトラマン」のギャンゴの話に似ている作品。爆笑2作品のあとではちょっと可哀そうに思う、なかなかのでき。特撮シーンよりも川の中で殴り合いをしているシーンの方に、よく撮った、と感心してしまう。「リトル」は日大芸術学部映画学科の学生の卒業制作。女子大生が小犬くらいの怪獣を見つけて育てていくが・・・という作品。指導教官の手塚昌明監督が怪獣を研究している大学教授ということで出演(声だけだけど)。これもきちんと作られていて好感が持てる。女性を主人公にした作品であるのがいい。
 前回より観客が多かった(ほぼ満席)ので、前回の話が伝わって見に来る人が増えたのかな。そうであるなら、とても良いことだ。自主制作を見せあい、作者同士、あるいは、作者と観客が交流する場がある、というのは次世代のクリエイターを生み出す場として大事だと思う。そういう意味でも、この企画がある熱海怪獣映画祭が末永く継続していってほしいなあ。

 

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2020/12/28

2020年CS映画の度々

 COVID-19のために映画館が営業を停止し週に一度は劇場に足を運んでいた自分にとってはちょっと寂しい状態になった。それが決定的な理由になって、スカパーに加入していながらそれまではあまり見ていなかった映画専門チャンネル(FOXムービー、シネフィルWOWOW(現WOWOWプラス)、ザ・シネマ、ムービー・プラス、日本映画専門チャンネル)で放映されている映画を積極的に録画して見るようになった。今日までに見た映画の数を数えてみたら150本を超えていた。今年劇場に見に行った映画より面白い映画にいくつも出会った。ということで、そのことについて書き残そう。

 さて始まりは、タイのウィーラセタクン監督の「ブンミおじさんの森」。これは日本公開時に話題になっていて地元の映画館にかかったら見に行きたいと思っていた作品であったが、残念ながら上映されなくて悔しい思いをした作品だった。同じ監督の「光りの墓」「光の世紀」もその後放送されたので見た。タイは初めて行った外国で、その時にこれら映画の舞台になっているイサーン地方(東北地方)にも行っている(もっとも、行ったのはウボンラチャタニで、映画の舞台となっているコンケーンではなかったが)。もう一度タイへ行ってみたいという気持ちもあって、滞在した日々を懐かしく思いながら見たのでありました。同じタイ映画ということでは、よりハリウッド映画的な「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」も面白かった。

 こんな風に語っていたらいつまでたっても終わらないので、これがベスト1という映画は、トーマス・アルフレッドソン監督「ぼくのエリ 200歳の少女」である。録画して見た後は基本すぐに消去しているが、この映画だけはすぐに消すのが惜しくて残した。150本のうちそうしたのはこれだけ。「インタビュー・ウイズ・ヴァンパイア」に出てきた少女吸血鬼が現代にも生きていたらというような話だが、いじめられっ子の少年がこの少女と仲良くなってある決意をするのが「小さな恋のメロディ」を連想させる。「押井守の映画50年50本」で2008年の映画に選ばれていることからわかるように、映像的にも凝ったところがあるスウェーデン映画である。因みに「押井守の映画50年50本」にあるものでは、他に「ゼロ・ダーク・サーティ」も見た。

 同様なホラー映画系列では、「魔界探偵ゴーゴリ 暗黒騎士と生贄の美女たち」「魔界探偵ゴーゴリⅡ魔女の呪いと妖怪ヴィーの召還」「魔界探偵ゴーゴリⅢ蘇りし者たちとの最後の戦い」3部作も面白かった。ロシア版「ツインピークス」という趣で、どう収拾を付けるんだという次から次への新しい謎めいた人物の登場の連続である。「ツインピークス」よりは収拾がついている。

 今年は、レイ・ハリーハウゼン、エリック・ロメール、三船敏郎生誕百年ということでこれを記念した放送があった。三船敏郎では、谷口千吉監督の「嵐の中の男」という姿三四郎みたいな映画が、「モスラ対ゴジラ」と同じくわが地元の静浦の海岸でロケしていたのに驚いた。下田という設定なんだけれど、海越しの富士山という下田からではありえないシーンがあり、牛臥山も愛鷹山もちゃんとわかる。ハリーハウゼンは、シンドバッド3部作と「アルゴ探検隊の大冒険」「恐竜百万年」を見たが、ヒロインは「黄金の航海」がいいなと思う。ロメールは、作品によって主人公の使う車がルノーであったりプジョーであったりするのに目が行く。シトロエンはやっぱり2CV。作品によって特徴的に使われる色があるのがフランス的だな、と思ってしまう。

 ザ・シネマでは、「町山智浩のVIDEO SHOP UFO」という番組があって、かなりマニアックな古い映画を映画評論家の町山智浩の解説付きで放送している。この枠で、オーソン・ウエルズの「審判」を見ることができた。アレクサンドル・アレクセイエフのピンスクリーンによる画像が使われているのに驚いた。静止画でアニメーションではなかったのが、残念だなあと感じはしたが、それ以上に残念だったのが、町山解説に、このピンスクリーンのことが一切触れられていなかったこと。この作品がベスト2である。

 映画館の営業が再開されての目玉作は「TENET」であったが、同じノーラン監督の「メメント」が同時期に放送されて見た。こっちの方がずっと良いと思ってしまう。B級SFのバカバカしい作品も見たくなって、これってそういう感じじゃないと思って見たリック・ジェイコブソン監督「ビッチ・スラップ 危険な天使たち」がまるっきり「メメント」と同じ作りになっていて、そのことにびっくり。期待したグラマー美女のエロ・アクションはそれほどでもなかったので、それについては拍子抜け(エロティズムの物足りない分はジュスト・ジャカン監督「ゴールド・パピヨン」で、アクションについては中国の西遊記物数作で補充)。ヨーヨーを使うスケバン風日本娘が出てくるのが実に怪しい。調べてみたらこの役を演じているミナエ・ノジーは、ライカの人形アニメの傑作「クボ 二本弦の秘密」に声優として出ていた。どの役だったんだろう?

 アニメでは「マインドゲーム」と「パプリカ」が見れて満足。

 イップマン3部作を見て劇場に「イップマン完結」を見に行き、やっぱり、イップマンは第1作「序章」が1番いいと思う。

 アンドリュー・ニコルの「ザ・ホスト 美しき侵略者」は劇場で見たかった。地元の映画館でやっているのがわかっていたのに結局行かずじまいだった「スイミング・プール」「最強のふたり」も劇場で見ておくべきだったと後悔。

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