2023/05/14

ティファニーで昼食を

 去る金曜日、家族で伊豆高原方面に出かけた。娘がテディベア・ミュージアムとニューヨーク・ランプ・ミュージアム&フラワーガーデンに行きたいと言ったのが発端。妻が城ケ崎海岸の有名な門脇吊り橋&灯台に行ったことがない、ということだったので、じゃそのあたりを周ろうということになった。娘が小さい頃にかなり頻繁にこの方面に遊びに行っていたが、伊豆急の線路を越えた側には行ったことがなかったのだった。
 それで、ドライブのルートであるが、伊豆高原駅への最短ルートということで、本当に久しぶりに冷川から中伊豆バイパスを通るのではなく、遠笠山道路に出る狭い県道を通った。この道を始めて通った40年近く前に比べれば道幅は広く走り易くなっているが、何か所か対向車との行き違いに気を使うところは残っている。前回ここを走ったのは確か、シトロエンC4に乗り始めたばかりの頃だったと思う。大室山のふもとの蝋人形美術館の交差点にこんなにすぐについてしまうのか、と思った。天気が良くドライブ日和である。

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 最初の目的地テディベア・ミュージアムでは、スタジオ・ジブリ協力の「となりのトトロ」の特別展もやっていて、実物大のネコバスの中に乗ることができたり、設定資料の基づいて人形を作ってます的展示があって設定資料(の拡大コピー)も見ることができた。本体のテディベアの方は、その起源であるセオドア・ルーズベルトについての説明部分の展示が一番興味深かった。ついこの間、テディ・ルーズベルトが大事な役回りで登場するジョン・ミリアスの「風とライオン」を見たばかりであったので余計に気になったのである。同じクマつながりで、プーさんや3匹のクマに関するものを多数あり、ちびくろサンボと一緒に描かれた絵もあって、この絵が見れたことが今回の最大の収穫。併設のカフェでちょっと遅めのティータイムをとり、やはり併設のクッキー屋さんで土産のクッキーを購入。

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 続いて、門脇灯台&吊り橋に向かう。一番近い駐車場に行こうとするが、テディベア・ミュージアムからこの方面に向かう道は初めてで、所々で間違う(ナビは付けていない)。吊り橋遊歩道駐車場→という看板があってこれかと思って進んでいったら、そこは、吊り橋の後に行くつもりだったニューヨーク・ランプ・ミュージアム&フラワーガーデンの大駐車場で、昔、遠足でよく来た海洋公園の駐車場であった。海洋公園がリニューアルしてニューヨーク・ランプ・ミュージアム&フラワーガーデンとなっていたのであった。それで、とって返して、元の道の戻り、門脇吊り橋最寄り駐車場へ。ここもはるか昔に来た時とは違って整備された市営駐車場になっていた(駐車料金500円)。

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 再びニューヨーク・ランプ・ミュージアム&フラワーガーデンに戻り、駐車場から遊歩道に少し入った所にある東屋で、おにぎり昼食。本日の目的は、2つのミュージアムに併設されたカフェでお茶することなので、昼食は質素に済ますのである。で、ニューヨーク・ランプ・ミュージアム&フラワーガーデン入園である。フラワーガーデンの様子は海洋公園の庭園だった時から変わっていなかった。最近はやりのアンブレラ・スカイなる部分もある。海岸の方に目をやると蓮着寺前の海岸のあたりに海に突き出た岩と岩を結んで鯉のぼりが泳いでいる。ランプ・ミュージアムではアンティークティファニー作品が展示されている。この別館が海を見渡せる(伊豆大島が良く見えた)テラスのあるカフェになっている。個人的には南フランスあたりのリゾート地に来た気分でちょっと早い午後のティータイム。結局、ティファニーでデザートを、である。

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 本日最後は、このところこの方面に来た時には必ず寄っている「まぼろし博覧会」。昨年、いろいろなTV番組で取り上げられて入場者が増えたせいか、展示ルートが整備され、近隣の飲食店の案内チラシが、昭和の混沌の中にあったりする。全共闘の夢の後、みたいな感じの、この猥雑なカオス! 昨年来た時にはできていなかった広島のストリップ劇場の再現展示が完成(?)している。小学校低学年の時買ってもらって遊んだ記憶のあるディズニーの家庭盤(ボードゲーム)が無造作にあったり、ポパイとオリーブの年代物の人形があったり、日本だけでなく海外アニメのキャラクター商品もあるのがいい。

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2023/01/06

フライシャーについての新しい本

Dsc_0846hs_001 `MADE OF PEN & INK:FLEISCHER STUDIOS THE NEW YORK YEARS' by G.MICHAEL DOBBS が届いた。表紙の見かけが 'The Art and Inventions of Max Fleischer'に似ているので最初amazonで見つけたときはこの本は持ってると勘違いし、その後見直して新しい本と気づいてあわてて注文したものだ(注文したのは日本のアマゾン)。著者は、アニメ雑誌Amimato!やAnimation Planetの編集発行人だった人。自分と同世代でTVでポパイなどに熱狂し、大学時代に上映会で再見してフライシャーについての本を書こうと思たち、デイブ・フライシャーやリチャード・フライシャーなどと連絡を取り、当時健在だった多くの関係者にインタービューし、特に、アニメーター/演出家のマイロン・ウォルドマンMyron Waldmanの協力を得て、1990年には出版されていたばずだったものが、さまざまな経緯で今になってしまったもの。続刊も準備中とのこと。これから本文を読もうと思うが、これまでに出版されているフライシャー関係の本にはない視点が得られそうな本である。
 フライシャーについての本と言えば、まず、Leslie Cabargaの'THE FLEISCHER STORY' が思い浮かぶが、この本はデイブ・フライシャーからしか協力が得られておらず、マックス・フライシャー側からすれば問題のある記述があった(改訂版では多少修正されている)。マックス側の視点で書かれたものとしては、マックスの息子のリチャードが書いた「マックス・フライシャー アニメーションの天才的変革者」Out pf the Inkwell があるが、ドブスDobbsによれば、ベティ・ブープに関しての記述には何か所か間違いがあるという。この本自体もドブスとリチャードとの共著という話もあったようだが、晩年のリチャードが父への思いを込めた本にしたいということで共著にはならなかったそうだ。リチャード・フライシャーが日本でもファンがかなりいる映画監督でその遺作となった著書であり、かつ、ジブリ配給で「バッタ君町に行く」が公開されることもあってか、原著が出版されてすぐにと感じるタイミングで邦訳が出た。ドブスの本もそのうちに翻訳出版されてほしいと思う。
 

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2022/11/11

チャーリー・バワーズを見たのです

 静岡サールナートホールで上映中の『NOBODY KNOWS チャーリー・バワーズ 発明中毒篇』を今日行かなければ見ることができないぞ、ということで、6日の日曜日に見てきた。バワーズについての1番の基本文献となるパンフレットも入手した。「マットとジェフ」を作っていたパワーズのところにいて、その後30年代のディズニー・プロで活躍するテッド・シアースがコメディ作品にもかかわっていたということもちゃんと書いてある。上映作品については、今回の公開用につくられた伴奏音楽が素晴らしい。やっぱり、ドルーピーの元ネタになったんではと思われる神出鬼没の怪人を捕まえようとする「怪人現る」が好きだなあ。オチもぶっ飛んでるし、実写とアニメ―ジョンとの融合も一番である。今回の上映には入っていない IT'S A BIRD(1930)は、バワーズ・コメディの集大成であったなあと思う。「たまご」「自動車」「ほら話」「変な生き物(人間も含む)」の4要素がすべてある。

 

 積読だったジョー・アダムソンJoe Adamsonの'THE WALTER LANTZ STORY'(1985)を読んでいる。チャーリー・バワーズが1930年代半ばに「うさぎのオズワルド」を作っていたランツ・プロの親会社ユニバーサルに雇われたことについて書かれている部分まで読み進んだ。ユニバーサルは、ランツが契約通りのペースで作品を作り続けれるか不安に思い、ランツに知らせずに、年26本のペースで安く作れるとアピールしたバワーズと契約した。バワーズはカリフォルニアのランツの元にはいかず、ニューヨークの自分のスタジオで作品を製作し、それは、Dumb Cluckという新キャラクターを登場させたバワーズらしい奇怪な作品だったとのこと。「マウス・アンド・マジック」のリストを見ると、1937年に'Dumb Cluck'というタイトルのオズワルド・シリーズの作品があった(このころのランツ作品には製作スタッフ名がクレジットされていないので、実際の演出家などの情報はない)。ということは、アヴェリーとの直接の接点はなかったと考えるのが妥当であろう。ちなみに、Bendazziの'ANIMATION A WORLD HOISTRY'にもこの経緯は書かれている(作品名は挙げられていないが)。

 

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2022/09/19

知られざる天才チャーリー・バワーズの作品群全国上映

 この話題についてだいぶツイッターでささやいたら思わぬ反響もあったので、それをまとめてみた(一部改変して追記)。(このブログの以前の記事ではチャーリー・ボワーズと表記してきたけれど、今回の日本で初めての劇場公開の表記に合わせて、バワーズと表記する。)

 

 静岡のサールナートホールでもチャーリー・バワーズ作品が上映されることになったので、40年以上前に同人誌に書いた記事を発掘した。記事を書いた当時は'There It Is'が劇場で見られるようになるなって思わなかった。これを書くことになったのは、アメリカの8mmフィルム販売会社のカタログの中に'It's a Bird'という聞いたことのないタイトルの実写合成人形アニメという説明の作品を見つけて直輸入し、見てその凄さ面白さにびっくりしたのが始まり。「世界アニメーション映画史」の著者、伴野・望月両氏にもすぐに連絡し見てもらった。その結果、「世界アニメーション映画史」に'It's a Bird'が取り上げられることになった。この同人誌は、編集発行人の友人と自分の二人しか原稿を書いていないのだけれど、他の記事は「ガンダム」を話題にしたものが多くて、1980年だったなあ、と思う。「ファンタスティックコレクション」の表紙・裏表紙をパックったページで挟んで冊子内冊子の形にしたのは他の記事との違和感を減らす工夫。
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 「バワーズが長生きしていたらアメリカの特撮やアニメに多大な影響を与えていたかも」というツィートを見つけたが、アニメの方ではその影響はあったと考えてよい。ルーニーチューンのロバート・クランペット作品PORKY IN WACKYLAND(1938年)は’It's a Bird'の影響下にあるという指摘が、再評価後ではあるが、されているし、テックス・アヴェリーの「なんでもウメー」の小羊も同作からの影響が感じられる。また、ドルーピーの神出鬼没さは'There It Is'の怪人に似ている。1930年代にバワーズはウォルター・ランツのスタジオで仕事をしていたことがわかったのだが、この頃アヴェリーはランツのスタジオでアニメーターだった。アヴェリー一派は確実にバワーズからもそのギャグ・センスを受け継いでいる、と考えていいと思う。
 一方、レイ・ハリーハウゼンの晩年の著作'A Century of Stop Motion Animation'(2008)にはバワーズの作品が取り上げられているが、再評価されてから見たような書き方で、ストップ・モーションの系列の作家には影響が大きくなかった、ということのようだ。ジョージ・パルのパぺトゥーンの影に隠れてしまったのかな。

 

 手の込んだ過程を経て目的が実現される機械群については、ルーブ・ゴールドバーグ → チャーリー・バワーズ → トムとジェリー、ロードランナーとコヨーテ → ピタゴラスイッチ という流れも考えられるなあ。

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2022/01/22

スタニスワフ・レム「地球の平和」

 昨年暮れに発売されていた、レムの「地球の平和」を読み終えた。泰平ヨン・シリーズの最終作でレムの最後から2番目の長編。よく訳してくれました、ありがとう、というのが第一番の感想。最後の長編「大失敗」よりも面白く、こちらの方がレムの集大成の作品らしく感じる。本書の第一のテーマである、右脳と左脳の分離というのは、P.K.ディックの「スキャナー・ダークリー(暗闇のスキャナー)」を思い出させる。ディックからの影響は何かあったのだろうか? 「インヴィンシブル」からの流れをくむ、小型分散化の方向に自動進化した兵器がもう一つのテーマ。難解な文章が続いたかと思うと、突然挟まるハリウッド映画のようなアクションシーンがアクセントになっていて、飽きさせない。読んでいて楽しかった。読み終わってしばらくしてから、この結末はウエルズの「宇宙戦争」じゃないかとも思う。

 タイトルの「地球の平和」(英語で、Peace on Earth)は聖書のルカ伝からとられたものであるが、同じ言葉をタイトルにしたMGMのヒュー・ハーマン監督の1939年作の漫画映画があって、この作品は、世界大戦で人類が滅亡した地球で生き残った動物たちが人類の犯した過ちを繰り返さないように平和に暮らしていくのだ、という作品だった。「まんが宇宙船」という番組で「動物たちの国づくり」というタイトルで放映されたのをみて、第一次世界大戦の西部戦線の様子を基にリアルにアニメ化したシーンの悲惨さと人類の真似をしてはいけないよと言われる動物の子供たちのかわいらしさの対比が印象に残る佳作であった。レムの本を読みながら、この作品のことも思い浮かべていた。

 

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2022/01/04

バックス・バニー・ショー邦題原題対応リスト

 ウィキペディアに「バックス・バニー・ショー」の項目があることを知り、そこに日本放送タイトルとアメリカ放送原題が別々にリスト(表)にされていた。ちょっと眺めてみたら、各回の対応ができそうだったので、’LOONEY TUNES and MERRIE MELODIES A Complete Illustrated Guide to the Warner Bros. Cartoons' by JERRY BECK & WILL FRIEDWALD(1989)を久しぶりに活用して、以下の表(罫線がコピーされず、見にくくなってしまった。修正方法がわからないので、タイトルの対応はわかると思うので、このままでご容赦お願いします)のように対応させた。3話ごとの邦題からうかがえる内容と原題が示す作品内容との一致は良いので、アメリカでの放送のシーズン1、2を各話ごとそのまま放送している回は、一部例外を除き、確定的であると考えて間違いないだろう。1964年9月12日以降は、アメリカ放送版に対応するものがないので、邦題から想像される内容と一致するものがこれだけしかなかろうというものについて原題を 入れた。その分、確度はちょっと下がる、ということである。

日本放送日 邦題 原題 備考
1961年1月4日 愉快なバックス  Rabbit Every Monday  シーズン1の1話
ねずみ騒動  A Mouse Divided 
チェスターの武勇伝  Tree For Two 
1961年1月11日 のみの怪力  To Itch His Own  シーズン1の4話
にわとりと犬の決闘    邦題からはフォグホーン作品と思われるが、4話の残り2作はロードランナー作品である。
(不明 ) Gee Whiz-z-z-z!
Whoa, Be-Gone!
1961年1月19日 歌うバックス Long-Haired Hare  シーズン1の6話
ティー坊やと猫  Sandy Claws 
ねずみの作戦  Mouse Wreckers 
1961年1月25日 ティー坊やの奮闘    シーズン1の2話との混同?ラテ欄のミス?
  Mouse-Warming クロード・キャット作品
スカンクの悲しみ  Wild Over You  シーズン1の3話
猫の喜び  Go Fly a Kit 
1961年2月1日 バックスの闘牛士  Bully For Bugs  シーズン1の7話
ティー坊やの船旅  Tweety's S.O.S. 
不思議なカエル  One Froggy Evening 
1961年2月8日 バックスの旅日記  My Bunny Lies Over the Sea  シーズン1の8話
幽霊屋敷  Scaredy Cat 
咲きスカンク  Scent-imental Romeo 
1961年2月15日 バックスの勝利  Bunker Hill Bunny  シーズン1の9話
黄金の卵  Golden Yeggs 
ニワトリの災難  Each Dawn I Crow 
1961年2月22日 密林のバックス  Which is Witch  シーズン1の10話
ねずみの最後  Mouse Mazurka 
野良猫の一夜  Kit For Cat 
1961年3月1日 白猫の怒り  Two's a Crowd  シーズン1の11話
ティー坊やの汽車の旅  All a Bir-r-r-d 
バックスの宇宙の旅  The Hasty Hare 
1961年3月8日 バックスの自書伝  What's Up, Doc?  シーズン1の12話
南金虫とバクチ  Early to Bet 
黒猫の失敗  Pop 'im Pop! 
1961年3月15日 魔法のランプ  A-Lad-in His Lamp  シーズン1の13話
欲張り野良犬  Dog Gone South 
虫の争奪戦  A Fractured Leghorn 
1961年3月22日 ありの襲撃  Ant Pasted  シーズン1の14話
バックスの同居人  The Fair Haired Hare 
ねずみの冒険  I Gopher You 
1961年3月29日 宇宙探検  Rocket Squad  シーズン1の15話
億万長者  Daffy Dilly 
二丁拳銃  Drip-Along Daffy 
1961年4月5日 卵騒動  The Leghorn Blows at Midnight  シーズン1の16話
ダフィの結婚  His Bitter Half 
バックスの実験  Hot Cross Bunny 
1961年4月12日 ペコスの怒り  High Diving Hare  シーズン1の18話
狼の失敗  Don't Give Up The Sheep 
シルベスターは悲しい  Stooge For a Mouse 
1961年4月19日 にわとり夫婦  Lovelorn Leghorn  シーズン1の17話
傷つけられた魂  Who's Kitten Who? 
バックスと狼  The Windblown Hare 
1961年4月26日 バックスと奴隷船  Mutiny On the Bunny  シーズン1の19話
小象物語  Punch Trunk 
狼の策略  Fast and Furry-ous 
1961年5月3日 バックスの理髪屋  Rabbit of Seville  シーズン1の20話
ダフィーの剣劇  The Scarlet Pumpernickel 
腹ペコ狼  Stop! Look! And Hasten! 
1961年5月10日 バックスと山賊  Hillbilly Hare  シーズン1の21話
追い出された黒猫  Hippety Hopper 
ダフィーと鶏  You Were Never Duckier 
1961年5月17日 狼と三匹の子豚  The Turn-Tale Wolf  シーズン1の22話
笛吹きパイパー  Paying the Piper 
バックスとジャック  Beanstalk Bunny 
1961年5月24日 囚人バックス  Big House Bunny  シーズン1の23話
留守番シルベスター  Canned Feud 
ティー坊やの風船  Home, Tweet Home 
1961年5月31日 バックスと賭博者  Mississippi Hare  シーズン1の24話
わんぱくワンくん  Terrier-Stricken 
ありがた迷惑  Cheese Chasers 
1961年6月8日 鹿(鷹?)の子供探し  Hen House Henery  シーズン1の25話
ポーキー君のテスト風景  Curtain Razor 
(不明 ) Devil May Hare 
1961年6月14日 バックスとコロンブス  Hare We Go  シーズン1の26話
ニワトリ騒動  The Foghorn Leghorn 
赤頭巾とねずみ君  Little Red Rodent Hood 
1961年6月21日 バックスの騎士道  Knights Must Fall  シーズン1の5話
黒猫の悪知恵  Cannery Wowe
嫌われたスカンク  For Scent-imental Reasons 
1963年1月8日 ティー坊やの奮闘  Putty Tat Trouble  シーズン1の2話
チーズとねずみ  Speedy Gonzales 
だまされたアヒル  Wise Quackers 
1963年7月2日 ヘンゼルとグレーテル  Bewitched Bunny  シーズン2の1話
ロビンフット  Robin Hood Daffy 
ジャックと豆の木  Tweety and the Beanstalk 
1963年7月9日 悪魔が待っている(サブタイトルの翻訳),他  Satan's Waitin' (サブタイトル) シーズン2の2話
  Hare Trimmed 
  Roman Legion-Hare 
  Sahara Hare 
1963年7月16日 シルベスターとカンガルーの赤ちゃん  Hoppy-Go-Lucky  シーズン2の3話
材木ドロボウ  Lumber Jerks 
邪魔者は殺せ  Weasel While You Work 
1963年7月23日 ミイラ取りがミイラになった  Mouse-Taken Identity  シーズン2の4話
犬の友情  Kiss Me Cat 
私は猫なのよ  Heaven Scent 
1963年7月30日 あひるとうさぎとハンター  Duck! Rabbit, Duck!  シーズン2の7話
幽霊ホテル  Claws For Alarm 
ダフィーとハクセイ  Cracked Quack 
1963年8月6日 不完全交狂曲 (サブタイトルの翻訳) The Unfinished Symphony (サブタイトル) シーズン2の8話
Baton Bunny の内容に対して「不完全交狂曲」というタイトルでもおかしくない。
(不完全交狂曲?) Baton Bunny 
三匹の子豚と狼  The Three Little Bops 
ウィーンの朝昼晩  Pizzicato Pussycat 
1963年8月13日 ダフィーのシャーロックホームズ  Deduce, You Say  シーズン2の9話
持ち運び自由の穴地  The Hole Idea 
(不明 ) Bugsy and Mugsy 
1963年8月20日 自動車の歴史  There Auto Be a Law  シーズン2の10話
主婦の一日  Wild Wife 
バックスに闘争  No Parking Hare 
1963年8月27日 タマゴ騒動  Stork Naked  シーズン2の11話
それ行けやれ行け  Going! Going! Gosh! 
ぺぺとかわい子ちゃん  Touche and Go 
1963年9月3日 シルベスターサーカス行き、他 Tweety's Circus  シーズン2の12話
  Gift Wrapped 
  A Street Cat Named Sylvester 
1963年9月10日 食うか食われるか  Bedevilled Rabbit  シーズン2の13話
スーパーダフィー  Stupor Duck 
レグホーンと天才坊や  Little Boy Boo 
1963年9月17日 正義の味方  Feline Frame-Up  シーズン2の14話
かたいヤシの実  Much Ado About Nutting 
部隊はどこにある  Duck Amuck 
1963年9月24日 素晴らしきかな人生(サブタイトルの翻訳) Is This a Life? (サブタイトル) シーズン2の15話
  Robot Rabbit
金鉱探し  14 Carrot Rabbit 
高飛び込み High Diving Hare 
1964年4月6日 青い帽子を追え  Boston Quackie  シーズン2の16話
探偵グラマーガール  The Super Snooper 
怪しいホテル  Dime to Retire 
1964年4月13日 バックロージャスのX星探検  Duck Dodgers in the 24 1/2th Century  シーズン2の17話
バックスの火星訪問  Hare-Way to the Stars 
(不明 ) Jumpin' Jupiter 
1964年4月20日 鳥追い道中  Tweety's S.O.S.  シーズン2の18話
  A Pizza Tweety-Pie
ロンドンにて  Dr. Jerkyl's Hide 
貨車の中にて  All a Bir-r-r-d 
1964年4月27日 恐い女房  The Egg-Cited Rooster  シーズン2の19話
恋のかけひき  Of Rice and Hen 
変な枠(倅?) Feather Dusted 
1994年5月4日 羊飼いの犬と狼  Sheep Ahoy  シーズン2の6話
腹ペコ物語  Chow Hound 
シルベスターの子守  Pappy's Puppy 
1964年5月11日 犬の暮らしも楽じゃない  A Waggily Tale  シーズン2の20話
スピードに挑む  Scrambled Aches 
頭に来ちゃう話  Rabbit Rampage 
1964年5月18日 飼い主やーい  The Awful Orphan  シーズン2の21話
アヒルの丸焼きが出来るまで  Don't Axe Me 
私はなんでしょう  Mixed Master 
1964年5月25日 ガスパのぺぺ  The Cat's Bah  シーズン2の22話
南極のバカンス  Frigid Hare 
外人部隊入隊のぺぺ  Little Beau Pepe 
1964年6月1日 赤ずきんちゃんと狼  Red Riding Hoodwinked  シーズン2の23話
昨日の続き  Double or Mutton 
賭博あらし  Barbary-Coast Bunny 
1964年6月8日 明かりを消すな  Lighthouse Mouse  シーズン2の24話
透明インク  The Honey-Mousers
冷蔵庫を狙え  Cheese it, the Cat! 
1964年6月15日 そら行けそら行け  There They Go-Go-Go!  シーズン2の25話
英雄の正体  Catty Cornered 
スタンドインはもう嫌だ  A Star is Bored 
1964年6月22日 空家にて  The Slap-Hoppy Mouse  シーズン2の26話
メキシコにて  Gonzales' Tamales 
船倉にて  Cats A-Weigh! 
1964年6月29日 山小屋の決闘  Snow Business  シーズン2の5話
イダテンとコヨーテ  Ready.. Set.. Zoom! 
バッタバッタと大騒動  Two Crows From Tacos 
1964年9月12日 イライラサムイライラする     
コングでハッスル     
鹿狩り     
1964年9月19日 追っかけるのも楽じゃない,他     
     
     
1964年9月26日 いたずら過ぎて刑務所行き     
熊の曲芸一家     
(不明 )    
1964年10月3日 ハヤテのゴンザの玉投げ屋,他  TORTILLA  FLAPS  
     
     
1964年10月10日 バックスバニーの化け物  HYDE AND HARE   
コケッコデブちゃんヒヨコにされる     
(不明 )    
1964年10月17日 ネズミ取り大学     
動物お断り     
バックスバニーの月旅行     
1964年10月24日 どこかにいい人参はないかしら     
火星の坊や  ROCKET BYE BABY   
御主人探し     
1964年10月31日 パリの料理教室  FRENCH RAREBIT   
引っこしは泥棒は害に合わない     
(不明 )    
1964年11月7日 私に清き一票を  BALLOT BOX BUNNY   
9回裏逆転     
(不明 )    
1964年11月14日 お化けは誰でも怖い     
セールスマンはしつこい  THE STUPOR SALESMAN   
(不明 )    
1964年11月21日 ドックレースをぶちこわせ  THE GREY HOUNDED HARE   
親友はいいものよ  STEAL WOOL   
(不明 )    
1964年11月28日 兎狩りに兎に狩られる     
助けて頂戴ネズミさん     
(不明 )    
1964年12月5日 ズーズしのに負けます,他     
     
     
1964年12月12日 撲殺されるのいやね     
無免許されるのいやね     
(不明 )    
1964年12月19日 イタチのおかげでイタチッチ     
あなたの息子を信じなさい     
(不明 )    
1964年12月26日 チビだからバカにするな     
欲を出すと損する     
(不明 )    

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2021/11/08

カートゥーンネットワーク「トムとジェリー新シリーズ直前SP第1弾」、または、30余年ぶりの訂正

 11月3日に、カートゥーンネットワークで放送された「トムとジェリー新シリーズ直前SP第1弾」の録画を、早送りを駆使しながらやっと見終わった(10時間!)。ジーン・ダイッチの2作「友達はいいな」「くたびれもうけの魚釣り」も含まれていてびっくり。それで、この2作をわが「トムとジェリーの本」で確認したら、原題を逆にしていたことが判明して、またびっくり。30年以上誰も気づいていなかった。正しい原題は、「友達はいいな」BUDDIES THICKER THAN WATER、「くたびれもうけの魚釣り」DOWN AND OUTING であった!(「トムとジェリーの本」をお持ちの方は訂正願います)

 新シリーズ作2つ、ON A ROLL,THE HOUSE THST CAT BUILED(2つとも吹替・字幕なしの原語版)をやったあと、劇場版が28作、トムとジェリー・キッズTom and Jerry Kids Show、トムとジェリー テイルズTom and Jerry Tales、トムとジェリー ショウThe Tom and Jerry Show と続き、最後にもう一度新シリーズ作2本。70年代のハンナ・バーベラ、80年代のMGM=フィルメーションのテレビ・アニメ版もあれば良かった。トムとジェリーの作品史になったのに。

 かつての劇場用に作られた人気カートゥーンの現代化版がカートゥーンネットワークやディズニーチャンネルなどで見ることができるんだけれど、自分が見て一番面白いと思うのは、「ミッキーマウス!」である。優等生であることをやめたミッキーの暴走加減が実に良いのである。トムとジェリーは、劇場版の作画データ化でかつてのデザインや動きを再現できてはいるんだけれど、それだけで終わっている部分が多くていまいちである。

以下放映作品リスト(2新作以外)

劇場版
THE CAT'S ME-OUCH #(チャック・ジョーンズ版)「忠犬ブル公」1965
JERRY GO ROUND (チャック・ジョーンズ版)「象さんはジェリーの味方」1965
THE CAT CONCERTO #「ピアノコンサート」1947 
CATTY-CORNERED #(チャック・ジョーンズ版)「1+1は敵の数」1966
DOG TROUBLE「共同作戦」1942
I'M JUST WILD ABOUT JERRY #(チャック・ジョーンズ版)「油断大敵」1965
JOHAN MOUSE「ワルツの王様」1953
*PUSS GETS THE BOOTS上には上がある 1940
BUSY BUDDIES # $「赤ちゃんは楽だね」1956
*HAPPY GO LUCKYおめでたいアヒル $ 1958
THAT'S MY MOMMY $「素敵なママ」1955
TOM'S PHOT FINISH # $「みーちゃったみーちゃった」1957
*TOUCHE,PUSSY CAT!武士道はつらい $ 1954
*PUP ON A PICNICブルさんのピクニック $ 1955
BABY BUTCH「腹ぺこブッチ」1954
THE MILKY WAIF # 「捨てネズミ」1946
THE HOLLYWOOD BOWL #「星空の音楽会」1950
DESIGNS ON JERRY #「失敗は成功のもと」1955
LITTLE SCHOOL MOUSE #「ネスミの学校」1954
BUDDIES THICKER THAN WATER #(ジーン・ダイッチ版)「友達はいいな」1961
DOWN AND OUTING #(ジーン・ダイッチ版)「くたびれもうけの魚釣り」1962
*FIT TO BE TIED ブルおじさん 1952
JERRY AND THE LION「逃げてきたライオン」1950
SLEEPY-TIME TOM「トムさんと悪友」1951
THAT'S MY PUP!「パパの教育」1953
*THE MISSING MOUSE 恐怖の白ネズミ1953
*PECOS PEST ひげも使いよう 1955(注)ペコスおじさんの歌は原語のままで字幕が出る。
POSE CAT うらぎり者は去れ 1954
 *は邦題がテロップで出た作品(邦題が出ない作品が多いのはなぜ?)
 #は原語版(吹替・字幕なし)で放映されたもの
 $はシネマスコープ作品で、16:9のTVサイズにトリミング(左右切れ)されていたもの

トムとジェリー・キッズ Tom and Jerry Kids Show 1991~92
TOM'S TERROR 魔法使いがやってきた
CHUMPY CHUMPS みんな仲よく
JERRY'S MOTHER ジェリーのママ
SLOWPOKE ANTONIO テキサスから来たいとこ
PEST IN THE WEST 西部のやっかいもの
MESS HALL MOUSER 軍隊は楽じゃない
PUSSYCAT PIRATE トムは海ぞく
FATHER'S DAY おじいちゃんのサバイバル訓練
WHO ARE YOU KITTEN 家なき子ネコ
AMADEMOUSE ふたりは音楽家
"LIGHTNING BOLT" THE SUPER AQUIRREL ずっこけスーパーヒーロー
CHASE SCHOOL けんかの学校
"PERKY" THE FISH PINCHING PENGUIN ペンギンくんはお友だち
CATASTROPHE CAT 迷惑ないとこ
TOM'S DOUBLE TROUBLE トムの災難
I DREAM OF CHEEZY ジェリーと魔法のつぼ

トムとジェリー テイルズ Tom and Jerry Tales
FIRE BREATHING TOM CAT トムのドラゴン退治
PIRANHA BE LOVED BY YOU デートも楽じゃない
MARTIAN MICE エイリアン流ケーキづくり
BEACH BULLY BINGO 最後に勝つのは誰だ!?
CRY UNCLE おじさんに降参
TIGER CAT ほんものはどこ?
DIN-O-SORE 恐竜のタマゴで大騒ぎ!
JACKHAMMERED CAT 豪華ランチは誰のもの?
I DREAM OF MEANIE ジェリーの魔法のランプ
POWER TOM スーパー・ヒロイン・トム
CAT OF PREY ジェリー・サンドを夢見て
OVER THE RIVER AND BOO THE WOODS オバケ森からの脱出
LEAGUE OF CATS ネコ同盟
BEND IT LIKE THOMAS サッカーに恋して
KITTY HAWKED ライト兄弟の初飛行
FLAMENCO FIASCO オレ!情熱のフラメンコ

トムとジェリー ショウThe Tom and Jerry Show
TOM-FU カンフー・キャット
VANISHING CREAMED 透明になっちゃった!
OUT WITH THE OLD トムの大ピンチ
MISSING IN TRACTION 病院は大さわぎ
HUNGER GAMES 食べもの大戦争
WISH BONE ホネに願いを
FISH OUT OF WATER 水を得たネコ
CATTYSHACK 庭仕事で大混乱
AUNTIE SOCIAL トムのお泊り
KID STUFF メエわくな子ヤギ
EAGLE EYE JERRY ジェリー、ヒナの親になる
NOT MY TYKE タイクはどこ?
ALL CAT JAZZ トムのジャズトリオ
A SATR FOR LORN トム、CMに出る
TRUFFLE TROUBLE ここほれブーブー

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2021/10/19

DUNE/デューン砂の惑星

 「DUNE/デューン砂の惑星」を地元のIMAXで見た。昔見たデビッド・リンチ版より丁寧な展開でこのペースでは2時間半を超える上映時間でも完結しないぞ、どこかで加速する?と思っていたが、最後まで原作を知らない人でもついて行けるペースは守られて、え、ここ(原作のほぼ半分位の所)で終わるの、であった。調べてみたら、2部作で構想されているとのこと。だったらタイトルにそれを示唆するものが入っていてもいいんじゃない、と思う。というわけで、この後に続く後半部分を見て見ないと、この映画について本当の評価は下せない。ただ言えることは、3時間近い間、「長い」と感じることなく、この世界に引き込まれていたということ。

 原作はエコロジーSFの嚆矢と言われたものだが、21世紀になって映画化するということは、エコロジーということが原作が書かれた時代よりも身近になり現代の大きな課題になっていることに対する何らかの視点があって良いと思うのだが、残念ながら、そのような視点は感じられない。

 原作については、だいぶ前に新訳が出ていて、それで読み直してみようと思っていたが、まだ実行していない。映画を見た後、書店に寄って上中下の3巻になっているこの新訳の文庫本を確認した(映画がどこまでだったかの確認も含めて)。カバーは、この映画のスチール写真を使ったものに変わっていた。そろそろ買って読もうか。それとも図書館にありそうだから借りて読むか。旧訳のタイトルが似ているレムの「砂漠の惑星」の新訳「インヴィンシブル」を読んだけれど、初めて読むような感じであった。「砂の惑星」も同じように感じるだろうな。

 

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2021/06/19

トマス・ピンチョンのブリーディング・エッジ

 ピンチョンの新作「ブリーディング・エッジ」読了。主人公から極端に離れることなく叙述されていくので、ピンチョンの小説としては今までになく読み易い。2001年のニューヨークが舞台で、9.11に関わる国際的陰謀(?)に気付いた2児の母マキシーンのアニメ的探偵アクションと昼メロ的ホームドラマが、アクロバット的に結合している。百科全書的と言われるあらゆるものにこだわった記述はこの作品でも全開。年代的にインターネットやゲーム(ナムコのアーケードゲームやニンテンドーの家庭用ゲーム機からネット上の怪しげなものまで)に関するものが多い。そういう意味で、現在の若者がピンチョンを初めて読むには最適な作品だと思う。
 個人的には、「ダフィー・ダックみたいに暴れたくなる衝動」「平和目的の活動をする、モスラみたいなバタフライ」といういつもの調子の表現にニヤリとし、ロシア系登場人物の「『霧につつまれたハリネズミ』、あれは史上最高のアニメーション映画」というセリフに思わずひっくり返る。また、自動車に関する記述もマニアックなのだが、その中でも、「シトロエン・サハラは六十年代に製造された時代物で前後二基のエンジンを付けた砂漠仕様の四輪駆動、(中略)ふつうの2CVと同じに見える」には宮崎駿か、と思う。
 巻末にニューヨークの地図があり、帯には、主要登場人物(47人)一覧があり、本文を読みながら、ここはどこ?あれ、この人、誰?、と思った時に役立ってありがたかった。

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2021/04/04

テスラの歌

 マイケル・アルメレイダ監督「テスラ エジソンが恐れた天才」を見た。

 イーサン・ホークがニコラ・テスラ(当時の最先端の電磁気学の理論を理解していた発明家)、エジソン(オームの法則程度しか知らなかった発明家)をカイル・マクラクランが演じているんだから、普通の映画になるはずがない。メタ・フィクション的な、いわば、メタ映画である。投資家J.P.モルガンの末娘アン・モルガンがナレーターであるが、時にアンを演じるイブ・ヒューソンとしてのナレーションが説明もなくひとつながりとして混じる。グリーンバック合成ではなく、スクリーン・プロセス(リア・プロジェクション)を使ったシーンを多用しているのだが、わざとそれとわかるような撮り方になっている。実在の人物を基にした映画でよくある映画的な面白さを狙った実際には起きなかったエピソードについてナレーションで「実際にはなかったこと」と画面を否定する。言わば、本編とメイキングのドキュメンタリーが切れ目なくつながった作り(低予算ゆえの発想か)なのである。このため、同じ題材のアルフォンソ・ゴメス=レオン監督「エジソンズ・ゲーム」のような実話映画にはしたくなかったという強い意志を感じ、テスラという人物の多面性・多義性・先進性を示したかったのだろうと思う。史実としては何も証拠立てるものがないサラ・ベルナールとテスラの微妙な恋愛関係という映画的な「大ウソ」にリアリティを与える手段にもなっている。脚本自体は1980年代の初め(つまりはテスラの再評価が高まった頃)に書かれたという。

 スマホやパソコンが出てくるシーンがあってあれ?と思うのだが、テスラの発明がなかったら実現しなかったものであり、百年以上前にテスラが構想した世界に近づいた証拠として登場させたのであろう。テスラが行ったデモンストレーション(エジソン側の高電圧の交流は危険だ、というキャンペーンに対抗したもの)の派手な放電現象は映画製作者に大きな影響を与え、映画におけるフランケンシュタイン博士のようなマッド・サイエンティスト像ができあがった。電磁波のエネルギーが放射点から地球全体に広がっていき地球すら破壊できるというテスラのヴィジョンは、日本のアニメでもよく見るものだ。このような点から言うと「シン・エヴァンゲリオン」と同じ時に本作が上映されているというのは象徴的だ。

 新戸雅彰の「発明超人二コラ・テスラ」(ちくま文庫)「知られざる天才ニコラ・テスラ」(平凡社新書)あたりを読んでいるか、少なくとも「エジソンズ・ゲーム」を見ていないと、わかりにくいシーンもある。

 ラストシーンのテスラ、というより、イーサン・ホークの歌(80年代の曲!)に、あっと驚いた。

 見る人を選ぶ映画である。

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