2026/06/26

エレノアって、マスターズ・オブ・ユニバース

 「マスターズ・オブ・ユニバース」を見た。自分が劇場の大スクリーンで見て楽しみたいのはこういう映画である。「エレノアってグレイト」を見た時に、これは良い映画であり、スカーレット・ヨハンソンの監督の才能を感じるが、ヨハンソンが体の線丸出しで強いヒロインを演じている映画の方が楽しめると思ったところから、ライカでストップ・モーション・アニメーションの傑作をいくつも作ってきたトラヴィス・ナイト監督、クリス・バトラー脚本の本作である。虎のクリンジャ―が敵の怪物と戦うシーンでは、ハリー・ハウゼンを思わせるようなカットがあって、これはCGでなくて、このふたりの作品であるなら、ストップ・モーションで人形を動かしてほしかったと思ってしまう。
 この2作に共通するのは、自分は何者なのか、何をすべきかに悩む若者。おもちゃ箱をひっくり返したような夢の世界でそれを展開するのか、ドキュメンタリーのような実話としてあり得そうな世界で展開するのかの違い。

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「ワインバーグ量子力学講義」(上、下2巻。ちくま学芸文庫)読了

 かのワインバーグ・サラム理論のワインバーグの量子力学の教科書である。歴史的な順序で量子力学の始まりから書き起こし、数式の展開も丁寧で、朝永振一郎の「量子力学」を連想させる。ディラックのブラケットは使わず、数学で使われる複素ベクトルの内積の書き方に準じているのが珍しい。添え字(サフィックス)についての和をとる場合には、同じ添え字が現れる場合は和の記号(Σ)を省略するというよく使われる記法は採用せず、省略なしできちんと書いているのが教育的である。文庫本であるので、このルールで書かれている数式を追うのは小さな活字の添え字がたくさんあって年寄りには少々つらい。大判の単行本で出してほしいなあと思う。
 散乱理論についても詳しく書かれていて、場の量子論をやらずにこのような展開ができるんだと思う。今まで読んだことのある量子力学の教科書では出てこなかった湯川ポテンシャル(中間子論のポイントとなる部分)も出てくる。新しい話題として、アハラノフ・ボーム効果、エンタグルメント、量子暗号通信(量子テレポーテーションには触れていない)、量子コンピューターについても、おおもとの論文に即して説明していて、こういう分野についてはブルーバックスのような解説書しか読んでいないかったので、数式的にきちんとした形はこうなんだと納得する。
 量子力学を学ぶための最初の1冊とするにはちょっとレベルが高い気がするが、自分のように大学時代に量子力学をやったけれどその後はそういう世界から離れてしまっている人間の復習には向いている。

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2026/06/25

ピンクのキャデラック

 CSで録画したクリント・イーストウッド主演バディ・ヴァン・ホーン監督の「ピンク・キャデラック」(1989年)を見た。かつてのマカロニ・ウエスタンの賞金稼ぎみたいな、逃亡している犯罪者を見つけ出して警察に連れてくる仕事をしているイーストウッドが、生まれたばかりの赤子を抱えて行方をくらませた若い娘を探し出してしょっ引こうとする。いつもの俺が法だの刑事もの的だった展開が途中から外れていき、イーストウッドが過去に演じた役の自己パロディを楽しんでいるような雰囲気。なんだこれはと思って見てきたクライマックスのカーチェイス・シーンは「ルパン3世」のよう。さらに、ラストシーンの感じは「カリオストロの城」みたい。本作のTBS放送版の吹き替えは山田康雄だというから、この吹替版で見るともっとルパンぽく感じるかも(だから、見てみたくなった)

 ピンクのキャデラックと言ったらエルビス・プレスリーだが 若きジム・キャリー(クレジットでは、ジェームズ・キャリー名義)が当時の自身の芸であるプレスリーの物まねをカジノのショーの舞台でしているシーンがある(スタンダップ・コメディアン本人としての出演ということである)。ピンクのキャデラックで連想するスターはもう一人、マリリン・モンローがいるが、ヒロインの若い母親を中心に据えて考えると、モンローのコメディ作品のような味わいも感じる。

 

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2026/06/14

フロンクス1週間

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  乗り始めて1週間だが、近場の通勤と買い物くらいしか乗っていない。エンジンを切るとエコ運転の割合が出るが、だいたい95%くらいである。思っていたよりシートを含めた乗り心地が良く、室内が静かである(C4ピカソより静かではと思うときがある)。荷室はだいぶ小さくなったが困るほどではない。アイドリングストップはピカソより気にならない。ブレーキ・ホールドは、発進時にちょっとした振動が伝わってきて、ホールドしてからあまり時間がたたずに発進となる場合にかなり気になったのだが、ブレーキ・ペダルの踏み加減でホールド・モードにしていてもホールドするしないがコントロールできることがわかり(ペダルをしっかり踏み込まないとホールドされない。逆に言うと、ペダルから足を離したい場合には、しっかり踏み込んでブレーキをかけないといけない。)、それがわかってからは、ホールドモードONにして走っている。


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2026/06/07

新車は、Suzuki Fronx

 本日、フロンクス(FWD)が納車された。契約から2か月かからずにこの日が来るとは思っていなかった。
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  スズキの車には以前から一度乗ってみたいと思っていた。エリオとかスプラッシュ、SX4などデザインがいいなあと思う車をスズキという会社は時々出してくれていたのと、地道にコストパフォーマンスの良い車を作ってきいるメーカーだと評価していたからである。最近では、バレーノが出た時に、C4ピカソの次に乗る車の候補の1つにしたいと思い、そのバレーノがインドでモデルチェンジしたのだけれど、日本には導入しないとなってがっかりしたところに、バレーノより魅力的なフロンクスが出てきてこれは、と思った次第である。
 もともとC4ピカソからの乗り換えはもう少し先に考えていて、ホンダのフィットの新型(マイナーチェンジ)が出てから、新型C3、フロンクス、フィットあたりのどれか、あるいは、ワゴンRやN-ONEあたりの軽自動車も含めて考えるか、というつもりだった。それが、ピカソに乗り続けるには少々お金のかかる修理をしなければならないとなって、急展開である。家族から出された条件もあって、フロンクス、となったわけである。

 フロンクスのボディカラーは黑赤のツートンカラーを選択。カタログ写真やネット上の画像では、赤色がちょっと彩度の低い紫がかったような色に見えてどうかなと思ったのだが、ディーラーに見に行った時にたまたま納車前の同じ色の車があり実物を見て写真よりずっといい色だなと思ったのが決め手となった。ディーラー・オプションは、ETC2.0,前後のドライブレコーダー、フロアマットの3点。カーナビは標準装備で、今までカーナビなしであったからどんなもんだろうと思う(初めての所に行く場合でも地図があれば迷ったことはほぼない)。
 フロンクスのボディ・サイズはその昔乗っていたシビック・シャトル55iとほぼ同じ。幅が少し広くて、以前乗っていたシトロエンC4くらい。後席頭上がクーペ・スタイルで下がってきているのも似ている。エンジンは、これもシャトル55i以来の1.5L自然吸気。ボディカラーを決める時には、このシャトル55iとの類似性から、オレンジのシャトルに乗っていたのでフロンクスもオレンジにするかと一度は迷った。

 

 C4ピカソの十年余の期間(総走行距離99223km)を振り返ると、ランニングコストのかかった車だったなあ、ということ。C4では電装系の不具合はそれほどではなかったのだが、ピカソでは多くの電装系の部品を取り換えることになった。このような修理の時、断線しているだけじゃないかとか、半導体チップを1つ取りかえれば良いんじゃないかと思う不具合も、ユニット全体を取りかえることになって、部品のユニット化のデメリットを痛感した。
 十年余の歳月が一番感じられるのが、スタート・ボタン。すっかり文字が剥げてしまっている。ボディデザインは初代シビック・シャトルの進化大型版だなあと思って乗っていた。今のホンダではフリードがその位置であるが、エクステリア・デザインのつまらなさゆえに、買い替えの候補にはならなかった。
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 1年半前から履いているピレリのタイヤ、パワージィは1.2万kmほど走ったことになる。耐久性はどうなのかと思ったが、ほとんど山は減っておらず、サイドが少し摩耗してきたかなという程度。日常の生活道路でも高速道路でもミシュランのものと大きな差は感じず、お買い得なタイヤだったと思う。

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2026/06/06

娘たずねて三千里だと思ったら、または、「シラート」はしらっと通れない

 オリベル・ラシェ監督の「シラート」を見た。砂漠の中でのレイブパーティ(ビートの効いた、というより、ビートしかない音楽に合わせて体を動かす集団)。そこに不似合いな男と男の子。家を出て行った娘を捜すためやって来たが、娘はいない。次の会場に向かう参加者たちについて行くが、これが砂漠地帯の道なき道を行くのである。親子の乗るシトロエンのミニバン、エバシオン(脱出という意味。この名前だからこの車が使われたように思える)ではなかなかきつい。パリ・ダカール・ラリーみたいなものかと思って見ていると、ちょっと退屈になってくる。子連れの危険な旅だったら「マンダロリアンとグローグ」の方が息をつかせず面白く見れたぞ、と思う。
 ところが、突然、このラリーのようなものが「恐怖の報酬」に変わる。ええ、親子の感動ものではなかったのかと、ここで気づく。過酷な状況で、弱い存在から命が奪われていく。突然線路の上を走っていく映像になるのだが、車で走っているはずなのに変だなと思う。これはラストシーンで種明かしされる。シラートとはやっと渡れる幅の小さな橋のことで、生と死の間という意味らしい。過酷な砂漠を安全に通過できるのはこの細い線路しかない、ということなのだ。これはかなり凝った社会寓話の映画である。

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2026/05/14

6月の納車

 我が家の次の車、予想よりもずっと早く6月初めの納車になった。家族で納車日の予想をしていたのだが、こんなに早い納車の予想は誰もしていなかった。6月の納車というと、以前乗っていたローバー・トゥアラーとシトロエンC4がそうだった。6月納車に縁があるのかな。

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2026/05/11

不死の島には魔術師がいるのか?

 クリストファー・プリーストの新刊「不死の島へ」(古沢嘉通・訳 東京創元社)が出ていたことに気付き、早速入手して読んだ。「隣接界」より新しい作品かと思ったら、1981年の夢幻諸島シリーズの最初の長編だった。恋人との生活に挫折した主人公が小説を書き始めるが、その小説世界が現実世界に侵蝕を開始し、どちらが本当の世界かわからなくなるという作品。小説世界における主人公が夢幻諸島のある島で受ける不老不死手術という部分がSFなのであるが、この手術自体について具体的な記述はなく、いかにもSFですというものではない。読んでいて、ジョン・ファウルズの「魔術師」を思い出し、もしかしたら、ファウルズの「魔術師」のSF版を目論んだのかな、と思う。というのは、プリーストは本作の前に、ウエルズの「宇宙戦争」へのオマージュの「スペース・マシン」、ディックの「ユービック」に挑戦したような「ドリーム・マシン」を書いていて、自分がファウルズの「魔術師」を読んだ時、ファウルズは実はSFを書きたいのだが、なかなかそこまで踏み込めず、当時あった純文学とSFとの境界にぎりぎりまで近づいてみたのが「魔術師」ではないかと感じたことも思い出したからだ。ちなみに「魔術師」はガイ・グリーン監督によって「怪奇と幻想の島」というタイトルで映画化されている(1968年、主演はマイケル・ケイン)。以前、プリーストについてこのブログに書いたことがあったなあ、と思って読み返したら、その時も「魔術師」(河出文庫でちゃんと再刊されていた)に触れていた。すっかり忘れてた。

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2026/05/09

ポール・テリーのイソップ物語

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  ClassicFlix.com / CARTOON LOGIC から出ている「Aesop's Fables - The 1920s Vol.1」 を見終わった。ポール・テリーPaul Terry が、J.R.ブレイのもと(「アルファルファじいさん」シリーズを制作)から独立し、自身のスタジオで作った最初のシリーズである。アルファルファじいさんものはアニメ総会とかアニドウの上映会で40年以上前くらいにいくつか見た記憶がある。一方、イソップ物語を見た記憶はない。ということで、このブルーレイを買ったわけである。
 伴野孝司・望月信夫著「世界アニメーション映画史」の23.24ページに両作品についての記述はあるが、具体的に書かれているのは「アルファルファじいさん」の方だけで「イソップ物語」についてはその内容が分かるようには書かれていない。このブルーレイを見て、この部分を読み返してみたのだが、「アルファルファじいさん」の記述(大江健三郎の感想を引用している)はそのまま「イソップ物語」にも当てはまる。テリーの「イソップ物語」が原作に忠実なのは1921年の最初の3作くらいで、後は、アルファルファじいさん(とは名乗ってないがそのままのキャラ)や黒猫、ネズミ、犬、その他の動物キャラが演じるドタバタ・コメディで、原作を思わせるものは最後に「イソップ曰く~」とでる字幕にしかない。
 1921年の第1作から収録されているが、1923年の作品あたりから面白くなる。1926年のHer Benから、制作者名に、Harry Bailey,Frank Moser,John Foster,Mannie Davis が入ってくると更に面白くなる。特に、Frank Moser のものがいい。(リスト参照)
 ボーナスとして、ポール・テリーの兄、ジョン・テリーJohn Terry のチャーリー・チャプリンのアニメが2作、Charlie in Carmen(1916年)Charlie in Cuckcoo Land(1916年)入っている。前者は、「世界アニメーション映画史」の13ページに「凸坊カルメンの巻」としてタイトルが出てくる(「日本映画作品大鑑」キネマ旬報社1960年による)が製作者や内容などの詳細の記述はないので、貴重である。W.Gerald Hamonic「TERRYTOONS THE STORY OF PAUL TERRY AND HIS CLASSIC CARTOON FACTORY」(2018年)によれば、この作品はチャプリンの承認を得ずに作られたものだとのこと。

収録作品リスト
1 Mice in Council 1921 Paul Terry
2 The Fable of the Ant and the Grasshopper 1921 Paul Terry
3 The Fable of the Fox and Crow 1921 Paul Terry
4 The Spendthrift 1922 Paul Terry
5 The Fable of a Raisin and a Cake of Yeast 1923 Paul Terry
6 The Pearl Divers 1923 Paul Terry
7 Do Women Pay? 1923 Paul Terry
8 Herman the Great Mouse 1924 Paul Terry
9 Wine,Women and Song 1925 Paul Terry
10 The Ugly Duckling 1925 Paul Terry
11 Hungry Hounds 1925 Paul Terry
12 Her Ben 1926 Paul Terry & Harry Bailey
13 Anti-Fat 1927 Paul Terry & Frank Moser
14 When the Snow Flies 1927 Paul Terry & John Foster
15 Hard Cider 1927 Paul Terry & Mannie Davis
16 Subway Sally 1927 Paul Terry & Franl Moser
17 Small Town Sheriff 1927 Paul Terry & Harry Bailey
18 The Spider's Lair 1928 Paul Terry & Mannie Davis
19 Jungle Days 1928 Paul Terry & John Foster
20 Dinner Time 1928 Paul Terry & John Foster サウンド

 この中で1つ選ぶなら、ウインザー・マッケイの「恐竜ガーティ」へのオマージュがある Jungle Days かな。ハロルド・ロイドの「要心無用」を再現している Subway Sally も捨てがたい。 Dinner Time はディズニーの「蒸気船ウィリー」対抗で、急遽サウンドがつけられた作品であるが、この音でミッキー・マウスに勝つのは難しい。

 

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2026/04/26

ARCO アルコ 私はイリス

 シネプラザ・サントムーンでウーゴ・ビアンヴニュ監督の「ARCO アルコ」(字幕版)を見てきた。あんまり事前に情報を入れずに見たので、途中でジブリ的「E.T.」じゃないと思う。見終わってチラシをよく読んだら、監督が「『E,T,』『ピーター・パン』『となりのトトロ』『天空の城ラピュタ』など心に深く刻まれた冒険映画の系譜に繋がる映画を目指した」と書かれていた。その通りだったのね。見終わった帰り道、色々反芻してみたら、主人公の名前などそういうことかと思うことがいくつもあり、作品の知的な奥深さに感心。火事のシーンで、「バンビ」を思い起こさせる鹿が出てきて、ディズニーへのオマージュは『ピーター・パン』だけじゃなかったのね、と思う。藤子不二雄のゴンスケのように思えてしまう子守ロボットや怪しいおじさんトリオがいいんだよな。バンド・デシネな背景も美しい。

 

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