2018/09/14

フライシャーの珍品・貴重品

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ThunderBeanから出たBD、'FLEISCHER RARITIES'をスナフのBDに続いて見た。これまでビデオ・ソフト化されていなかった珍しい初期作品(科学映画を含む)や石油会社テキサコ等の企業CF、さらには、パラマウントにスタジオを奪われてしまう形になったマックス・フライシャーがジャム・ハンディのスタジオに入って制作に参加した作品(どの部分をマックスが作ったんだという作品ではある)、フロリダのフライシャー・スタジオで仕事をしていたアニメーターが、スタジオ閉鎖後に作ったマイアミ紹介観光アニメなどなど。でもなぜか、よく見かけるベティ作品も入っている(エッセンシャル・コレクション全4巻に収録されてないものを、少しは知られている作品が混じていた方が良いということで、入れたような感じだ)。

1 ALL A BOARD FOR (A TRIP TO) THE MOON 1920年
 月世界旅行を当時の知見に基づいて映像化した科学映画。実写に図解のアニメが混じる。重力についての説明が詳しいが、一般相対論までは踏み込んでいない。月へ行くロケットのエンジンにはラジウムが使われている(原子力エンジン!)。クレーターや切り立った崖の表現が有名なSF画家チェスリー・ボーンステルを連想させる。
2 INKLING(#12) and SNIPSHOTS No.2 1925年
 これは当時舞台などで演じられていたと思われる、一種のだまし絵や切り絵の芸をそのまま映画にしたもののようだ。もちろんアニメーションになっている部分もある。
3 CHRISTMAS SEALS ADVERTISING FILM 1925年
 仕事して遊んで、健康のために8時間寝るというお話。フライシャーの元にいたディック・ヒューマーDick Huemerの作だが、フライシャーの会社(Inkwell Films)で作られたかどうかはよくわからないと解説にある。
4 KOKO SALUTES 1925年
 道化師ココの兵隊さんである。大砲や戦車といったメカの表現がフライシャーらしい。
5 MY OLD KENTUCKY HOME 1925/26年
 フライシャー初のサウンド作品。いわゆる「小唄漫画」、バウンシングボールといっしょに歌おうというものである。リフの部分では、ボールが弾むのではなく洗濯物を干して取り込む人間のアニメになる。この時点ですでにこうだったのか、とびっくりした。
6 KO-KO IT'S THE CAT'S 1926年
 実写の猫、人形(アニメ―トされる)とアニメの合成作。どうやって撮影したんだ、とびっくりした。猫好きカートゥンファンにはお勧めの一品である。
7 FINDING HIS VOICE 1929年
 映画に音をつける方法を説明した作品。
8 HURRY DOCTOR! 1931年
 テキサコの企業PRアニメ。初めの方で背景に看板がいくつか出てくるがテキサコだけがはっきりと読めるようになってるんで何なんだと思ったら、テキサコの宣伝だったとわかる作品。エンジンがかからなくて死にそうに苦しむ車って、ベティの作品にもそんなのがあった気がする。ミッキー・マウスみたいなネズミが出てくる。
9 LET'S SING WITH POPEYE 1933年
 ポパイのテーマをバウンシングボールの指示で歌おう、というアニメ。ポパイの第1作が公開されたのと同じ年に作られているということは、ポパイの人気が相当なものだったという証拠。
10 BETTY IN BLUNDERLAND 「不思議の国のベティ(ベティの鏡の国訪問)」 1933(1934?)年
 これはそれほど珍しい作品ではない。画質はいいよ、ということなのかな。解説には、この時期のフライシャーらしさの代表作と書かれている。
11 THIS LITTLE PIGGIE WENT TO MARKET 1934年
 これも、スクリーンソング(小唄漫画)のシリーズの一編。当時のニュース映画のパロディになっている。Singin'Samが実写で登場。
12 DANCING ON THE MOON 「月へハネムーン」1935年
 この作品だけカラーである。1の科学的月世界旅行よりは漫画的だが、月世界の表現は同じようにリアル。背景の立体セットに目を見張る。これも他のDVDで見たことがあるが、色がきれいでこんなに手が込んでいたのか、と思う。カラークラシック・シリーズ中の傑作のひとつ。
13 MUSICAL MOUNTAINEERS「ベティと陽気な音楽隊」 1939年
 ベティの最終作。山奥の村で村人たちの大演奏会。これも以前見たDVDよりも画質がいい。
14 THE VACATIONER'S PARADISE 1942年
 マイアミ・ビーチの観光案内アニメ。それ以上でもそれ以下でもない。
15 NEWS SKETCHES 1944年
 ジャム・ハンデイ制作のマックス・フライシャー参加作品。2や4の初期作品のように絵を描いていくうちにアニメーションになっていくという、なんか時代を間違えてしまったような作り。

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2018/07/01

熱海国際映画祭

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 6月30日、熱海の国際映画祭に行ってきた。熱海で国際映画祭をやるということはだいぶ前に聞いてはいたが、どんな内容かは最近までわからず、10日ほど前に「熱海怪獣映画祭」(10月27日開催)の告知イベントのトークショーあるということを知り、さらに、映画祭ホームページで、コンペ短編作品の中に、マーヴ・ニューランドなどのアニメーション作品が5本ほど含まれていてSF映画の面白そうなものもある、ということで急遽出かけることにしたのだった。

 参加したプログラムは以下の通り。

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コンペ短編作品(熱海商工会議所)
 9:30~11:30
 トゥートラムスTWO TRAMS 監督:Svetlana Andrianova ロシア
  立体アニメではあるが、人間のキャラクターは切り紙で、主人公の2台のトラム(路面電車)はほとんど平面的なデザイン。このデザインがこういう表現もあるかというセンスの良さを感じる。若いトラムが先輩トラムに色々指導されて仕事を覚え、逆に、先輩が年老いて悲観した時に立派に成長したトラムが助ける、というお話。

 カラーケージColour Cage 監督:Daniel Reascos エクアドル
  モノクロ世界に住む主人公。工場の機械で光を当てて何か不思議な製品を作っている。ある日、なぜか赤い色が付いた製品ができる。この色に興味を持った主人公が機械を調べ、どんなものでも色付けることができる光線銃のようなものを発明する。これをいろいろなものに向けて色を付けていき、ついに隣に眠る妻に向けて使用するが・・・というお話。やっぱり画期的な発明は人間に使用してはいけませんな。

 スクラッチーSCRATCHY 監督:Marv Newland カナダ
  2012年の広島アニメフェスで審査員を務めた、かのマーヴ・ニューランドの新作、広島アニメフェスのホームページの審査員紹介に制作中と書かれていた作品である。いわゆるPVだが、歌の歌詞もニューランドが書いており、その歌詞からしてへんてこりんなので、その可視化であるアニメーションも、いつものように人を食ったニューランド節。某有名キャラクターが、顔は見せずにその有名な部分だけを見せて登場する。もしニューランドが来ていたら話が続くようにとカートゥーン・キャラクターのTシャツを着ていったのだが、制作者はドンピシャだったがキャラクターがちょっと違ってしまった。その上、本人も来ていなくて残念。

 ザ ナルDER NARR 監督:Korinna Herzig ドイツ
  ピエロの化粧をして夜の街を歩き回る主人公。子供達にはサーカスの宣伝と思われ、落とし物を渡そうとした女性には痴漢撃退用のスプレーをされてしまう(この女性はスティーブン・キングの小説かその映画化作品を知っているに違いない)。ただピエロの化粧をして普通に歩いているだけで、様々な反応が起きてしまう人間心理の不思議さをドキュメンタリー・タッチで見せている。

 サウザンド・キスA THOUSAND KISSES 監督:Richard Goldgewicht ブラジル
  ナチスが台頭するドイツから、まずユダヤ系ポーランド人であった男がリオデジャネイロへ移住する。ドイツに残った恋人(ユダヤ系ドイツ人)が1年ほど遅れて出国しリオで再会するまでやり取りした手紙を基に、当時の絵葉書を連想させるような絵柄でアニメーション化した作品。ユダヤ人迫害がひどくなりつつある様子は直接的には描かれていないが、本当に再会できるのかというサスペンスを感じさせる。家族が生きていくのに厳しい時代を、淡々と当時の事実を踏まえて過度に強調することなく描く「この世界の片隅に」のような作品が世界中で作られているのだなあ。

 コールド・ストレージCOLD STRAGE 監督:Thomas Freundlich フィンランド
  氷原に住む男が氷漬けの原始人を発見し、溶かしてみたら生き返り、生きている喜びを共に分かち合う。ただそれだけの作品だが、ラストシーンのオチのワンカットで妙に心に残る作品だ。

 ザ・トンネルDer Tunnel 監督:MarkSchmidheiny & Christoph Daniel ドイツ/スイス
  いつもの列車に乗ったけれど、普段と違ってトンネルに入ったきり出る様子がないのに不安になった男が行動に出るが・・・という話だが、ちょっとかったるい。軽く居眠りをしてしまい、気が付いたら、突然終わってしまった。だから、これ以上のことが書けないのです。

 ウィーンWEEEN 監督:Nils Vleugels ドイツ
  テレビCM(シマウマとお相撲さんが出てくる、それなりに話題になったものという設定)制作にかかわっている男が産気づいた妻を病院に連れていき、初めての子供が生まれるのを、期待と不安がないまぜになりながら待つ。自分の子供が生まれる時のことを思い出しながら見たが、モーションをかけてくる看護婦なんて信じられるか。男の幻想か。

 つくるということ 監督:矢野数馬
  美しく画面が緻密な計算のもとに編集されて連続している。蒼井優はナレーションだけか、と思ったら、クレジット・タイトル後のシーンに出てきた。他の国の作品に比べて、音楽の使い方・選び方も含めて型にはまっているように感じてしまうのはなぜか。

12:30~14:30
 トーク・トゥ・ミーTalktoMe 監督:Lenka Chubulieva イギリス
  東洋的イメージのPV。イギリスの作品だったとは。

 パンチラインPUNCHLINE 監督:Christophe M. saber フランス
  これがこの日見た短編の中でのベスト1。とどめの一発を撃つ時の決めセリフにいいものが出てこなくてもめ始めるギャングの2人組。色々な映画のセリフを引用してみるのが面白い。犯行に使う自動車がワゴンR! 

 コープCORP 監督:Pablo Polledri アルゼンチン
  1人で始めた商売がだんだん大きくなって巨大企業となっていく様子をシンプルな線画で表したアニメーション。巨大化した会社はついに制御できない怪獣と化してしまう。このラストの動きがゴジラの咆哮っぽい。

 リンガーRINGER 監督:David Hardberger アメリカ
  通りがかった電話ボックスの電話が鳴る。鳴った電話に応答しようとボックスに入ると電話は鳴りやみ、ボックスからは出られなくなってしまう男の悲劇。スーパーマンには変身できないので出られないのである。

 レイトシーズンLATE SEASON 監督:Daniera Leitner オーストラリア
  ペーパークラフト風に表現されたキャラクターの造形が美しい。老夫婦が誰もいなくなった海で昼寝をしていると、2匹のヤドカリが現れて夫婦の耳に入り込む。このヤドカリのおかげで冷え込んでいた2人の関係が再びホットになる。これが今回一番気に入った作品。

 レヴィアタンLeviathan 監督:Erick Woolcott ペルー
  父親の行った最後の調査の秘密を知ることによって破滅する男。・アレハンドロ・ホドロウスキーの影響が感じられる作品。

 フェイス・ヴェラFAITH-VERA 監督:T. Fedorovskaya ロシア
  電球の光の点滅が亡くなった妻からのメッセージだと気づく無線技士だった老人。神の国に召されることの信仰心の強さを色のない画面が強調している。

 テラフォームTerraform 監督:Sil Van Der Woerd & Jorik dozy インドネシア/イギリス
  インドネシアの火山での硫黄採取により生計を立てている男のドキュメンタリー。普通だったら立ち入り禁止になるような火口付近で、危険なガスが充満する中を硫黄の塊を取ってくる。命を削る仕事なのに実入りは少ない。この硫黄は天然ゴムに添加される硫黄になるんだろうか? 最後に彼らを支援する募金の呼びかけが出る。

 ゼロZERO 監督:David Victori スペイン
  30分弱の作品だが3部構成になっている。こういう構成にせずにそのままつながっていても問題はない話の展開であるのが不思議。重力が0に突然なったら、ということと、母を交通事故で無くしたばかりの少年が母に会いたいという思いを強くする、という話が絡み合う。少年が天国に行きたいために重力が0になるのか? リドリー・スコットが1枚かんでいる作品。

 イバンズ・ケースIVAN'S CASE 監督:Phillipp Orlyanskiy ロシア
  自分の信仰に忠実に生きて、共産党に反革命的と烙印を押されて処刑されたイバンの実話に基づく作品。このプログラムの最後に方に信仰心の問題を扱った作品を並べたのは、なかなか面白い。


 このプログラムを見終わって、会場から出ようとしたら、NHK静岡放送局伊東支局の記者に呼び止められて、インタビューとなった。7月2日の夕方の静岡ローカルのニュース・ショー「たっぷり静岡」に使われるかもしれないとのこと。見終わったばかりのものについて聞かれると、もともとうまくしゃべれないんで、使えるような内容になっていなかったと思うが、どうなるんでしょう。(追記:訪れた人その1として登場。何か一言(音量が小さくて自分でも聞き取れない)言って、次の人になった。)


企画作品上映(ホテルサンミ倶楽部)
16:00~18:00
 THE NEXT GENERATION パトレイバー 大怪獣現る 前編・後編
  押井守監督のトークショーの後、上映。押井監督はもう20年も熱海に住んでいることを知って驚いた。怪獣映画は好きだけれども怪獣そのものには思い入れはない、怪獣が現れるという非日常的な状況に興味がある、ということを聞いて、これは自分の怪獣映画に対する思いもそれに近いことに気付いた。「大怪獣現る」そのものについては、スタジオ・ジブリの鈴木プロデューサーがリリーズにモスラの小美人の役をやらせたところが一番面白かった。完全にトタバタ喜劇である。

関連イベント
19:00~20:30
 熱海怪獣映画祭 Presents トークショー「熱海と怪獣」(熱海芸妓見番歌舞練場)
 出演:伊藤和典、井上誠、長谷川圭一

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  3人の年代の微妙な違いが、怪獣映画へのスタンスの違いを生んでいるというのが分かって面白かった。予想していたよりたくさんの人が来ていたんで、入れないかと心配してしまったくらいであった。良いタイミングで樋口真嗣(コンペ短編作品の審査員で熱海に来ている)がサプライズゲストで登場してより面白くなった。「キングコング対ゴジラ」の熱海上映がいつか実現するといいなあ。

 熱海国際映画祭&熱海怪獣映画祭が今後末永く継続してより良いものになり、熱海に色々なところから人がやってくるようになればいいなあと思う。
  


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2017/12/16

寒き日出かければ籤

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 12月10日、沼津の新仲見世商店街に新しくできた「昭和レインボー」というレトロな駄菓子屋のオープニング・イベント「昭和レトロまつり」に行ってきた。SCMメンバーのK氏からのお誘い(K氏の知人M君がイベントの手伝いをしていたのである)もあって(なんで、沼津から遥かに遠い遠州に住む人間の方が詳しいイベントの内容を知っているのだ!?)出かけた。このお誘いがなければ、正直行ったかどうかわからない。ある年代の特撮ファンにはかなり贅沢なゲスト(石田・ミラーマン・信之、きくち・帰りマンの中の人・英一、伴・キカイダー・大介、倉田・バトルフランス・成満、山添・BD7マジョ・三千代)だけれど、自分にとってはちょっと年代がずれていて、それほど魅力は感じなかったのだ。唯一、「ガンバの冒険」のエンディングテーマを歌った、すぎうらよしひろのミニライブは、その「冒険者のバラード」を生で聞けるのだけが、気を引かれた部分だった。
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 正午過ぎ、沼津駅でO氏とともにK氏を出迎え、会場の新仲見世商店街へ向かう。会場は準備中であった。K氏を呼ぶ声がして、誰かなと思うと、K氏の特撮弟子のM君の呼び声であった。今回のイベントの主催者である昭和の駄菓子屋を復活させた「昭和レインボー」の店主(社長)の田中さんをM君から紹介された。M君がわれわれのことをどう伝えてあったのか詳しくはわからないのだが、(アニメ特撮ファンの)先輩方と言われて、何かこそばゆい感じになる。

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 イベントの始まりは、すぎうらよしひろのミニライブから。当然「マッハバロン」の主題歌から始まる。お目当ての「冒険者たちのバラード」ではカラオケでなく、生ギターを弾きながら歌う。この歌をオリジナルの歌手で生で聞く日が来ようとは思っていなかった。
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 ミニライブ後は、K氏はゲストとの写真撮影、私はその間に駄菓子屋「昭和レインボー」を見学(70年代のグッズが多い)し、イベント参加者に無料で配られたくじ券でくじ引き。私は言って見れば参加賞の駄菓子セット。O氏は2等で何かよさげなものをゲットした。どうせ自分はくじ運はないからとこの時思ったのだが、夜の部で今年最大の幸運が舞い込むということは知る由もなかった。

 16ミリ・フィルムの上映会までは時間があるので、喫茶店にでも入ろうかということで
栗せんのほさかの奥の淡月居に行く。そうしたら、ゲストの紅一点、山添美千代さんが息子さんと入ってきて、驚く。こんな通りから奥まった地元の人でも知っている人は多くない店にやってくるなんて、田中社長か誰かが昨日連れてきたのだろうか? 一服しに来たようだったので、特に声をかけたりしなかった。自分が飲んでいるのと同じ淡月居ブレンドを注文したのが嬉しかった。

 16ミリ・フィルムの上映会では、映写機を初めて見たのか興味深げな人たちがだいぶいた。フィルム自体は傷などあまりない状態の良いものだったが、青みが完全に抜けた、いわゆるセピアカラーであった。「昭和レインボー」の隣の空き店補での上映だったが、やっぱり、フィルム上映はいい。

 夜のBAR&喫茶「ねこと白鳥」(昔の純喫茶・白鳥、その時の内装がかなり残されている)でのすぎうらよしひろのミニライブの前に食事を済ませておこうと、わざわざ浜松や東京方面からやってきたK氏の知り合いの方々と、沼津らしいものを食べようとボルカノに。どういう知り合いかと思ったら、私たちが大学時代にやっていたサークルの上映会に来ていた高校生たちだった。

 夜のすぎうらよしひろのミニライブは、昼の屋根はあるが屋外の特設会場とは違って室内できちんと椅子に腰かけて落ち着いて聞け、また、バトルフランスの共演もあり、より楽しめた。ライブの後はゲストにちなむグッズの各1品の争奪ジャンケン大会。最初は、ライブを終えたばかりのすぎうらよしひろサイン入りの「ガンバの冒険」のロマンアルバム! 自分も持ってはいるが、これは欲しいと、ジャンケンに参加。参加した人たちが少なかったこともあり、なんと勝ち残り、もらえることになった。本人から直接本を渡され握手もでき、感激である。

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2017/02/23

思っていたより音がいい

 リビングで9年間使っていた液晶テレビ、シャープのアクオス32型が突然故障し、映らなくなった。それで急遽テレビを買い替えた。ちょっと大きくしても消費電力は故障したものの半分以下ということで、ソニーにするか迷ったが、値引きの大きかった同じアクオスの40型にした。フルハイビジョンになったので画質は良くなったが、スピーカーが背面についているため、我慢できない音質である。
 テレビの両側にはステレオのスピーカーを置いてあり、LDやDVDで映画を見る時にはステレオから音を出していたのだが、こちらも実は数年前から右チャンネルの音が出なくなっていて使用していなかった。そのため、テレビが故障しなければステレオのアンプとスピーカーを新しくすることを前々から考えていた。
 この両者を一挙に解決する策として、AVアンプとそれに合ったスピーカーを導入することにし、家族の了承も得た。AVアンプという選択になったのは、アナログ接続しかないケーブルテレビのセットトップボックスと、まだ現役で使っているLDプレーヤーとをつなぎたかったからだ(新しく買ったアクオスにはアナログ入力は一系統のみ)。
 近くの電気量販店にはこのようなものを取り扱っている店はなく、できるだけ安くそろえたかったので、ネット通販で買うことにした。試聴できないというリスクはあるが、価格.comやステレオサウンド誌のHPを参考にして、DENONのAVR-X2300WにJBLのSTUDIO270を選び、amazonが案外安いことがわかって購入した。
 その昔サラウンドプロセッサーにつないでいたが、20年以上使っていなかったDIATONE DS-103Vを復活させて、フロント2本サラウンド2本のスピーカーシステムにした。サラウンドのチェックに「スターウォーズ フォースの覚醒」のブルーレイをかけてみた。当たり前だが、昔のサラウンドとは比べ物にならない迫力である。
 ステレオとしては、このシステムはどうだろうと、ビル・エバンスとマイルス・デイビスのCDをかけてみた。これが思っていた以上に、ジャズ喫茶的サウンドで心地よい。これはJBLのスピーカーによるところ大であろう。自分の選択に大満足である。さらにヴォーカルとして「堀江美都子 レア・グルーブ・トラックス」をかけた。これも及第点以上である。問題はクラシックだが、こちらは流石に大満足のレベルには達しないが、ハーマン・カードンと合体してから作られた新生JBLのスピーカーであるためか、そこそこ聞ける、及第点をつけられるレベルである。

 というわけで、試聴しないというリスキーな行為をしたわけであるが、結果オーライである。ハイレゾ対応でインターネットラジオも聞けるようになったのも嬉しい。

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2016/05/29

テクニカラーの夢、黒白の悪夢 TECHNICOLOR DREAMS And Black & White Nightmares

 昔の、半ば以上忘れられたカートゥーン作品の発掘・修復版のブルーレイを出しているThunderBeanが出した'TECHNICOLOR DREAMS And Black & White Nightmares'を入手して見た。別な会社が出したものだが'Cartoon Roots'と同じように掘り出し物があるのではないかと期待した。
 amazon.comで注文した時にはタイトルの'TECHNICOLOR DREAMS'にのみ目が行っていたので、見始めたら黒白作品が半分以上あるということでどうなってるんだと思い、パッケージをよくよく見たら一回り小さく'And Black & White Nightmares'と入っている。商品名はきちんと確認しておかねばいけませんな。

 タイトル通り、カラー作品の方に掘り出し物がある。その一番手は、「メンデルスゾーンの春」Mendelssohn's SPRING 1931年 サイ・ヤングSy Young作、 だろう。冒頭の機関車と見えたものがイモムシだったというシークエンスのアニメ―トは凄い。カラーはBrewster Color。このカラー映画の仕組みがどのようなものかはわからないが発色もいい。ディズニーのシリーシンフォニーそのものといってもよい内容、作風、作画のレベルである。それに続くのが、テッド・エシュボーTed Eshbaughの3作である。その中でも注目作は、3色テクニカラーの最初のアニメーション作品として作られて、完成直前にテクニカラー社とディズニーの間でアニメーションにおける独占契約が成立してしまったので、結局公開されなかった「オズの魔法使い」The WIZARD of OZ 1932/33年である。とにかく色が美しい(特に緑)。本BDについていた解説のブックレットには「このBDに収録された本作を見て、公開されなかった経緯について掘り出してくれる人が出てくることを望む」と書いてあるのが面白い。

 黒白作品では何といっても、ウサギのオズワルド作品「バンド・マスター」The Band Master 1931年 ウォルター・ランツ作である。ビル・ノーランBill Norlan、ピント・コルヴィックPinto Coluvic、クライド・ジェロニミ Clyde geronimi、そして、フレッド(テックス)・アヴェリー Fred Averyが参加している。この名だたるアニメーターたちがそれぞれ担当したシーンを好きなように作っていて統一感もストーリーもないのが楽しい。ここがアヴェリーの担当だろうなどと想像しながら見るのがこの作品の正しい見方だろう。

収録作品リスト
1「人形は生きている」Dolly Doing 1917 MOTOY COMEDIES
  初期の人形アニメ。市販の人形をそのまま動かしている。黒白。
2「間違った線路」The Wrong Track 1920 The Bray Studio
  ブレイ・スタジオ作品。機関車が牛と衝突して起きるトラブル。黒白。
3「アリス、ネズミに悩まされる」Alice Rattled by Rats 1925 Walt Disney
  ディズニーのアリス・コメディ。アリスは最初と最後に出てくるだけ。猫のフィリッ
 クスみたい、というかそのまま。黒白。
4「火遊び」Playing with Fire 1926 Bud Fisher
  マットとジェフ作品。よく動く。もはや吹き出しのセリフはない。黒白。
5「3匹の熊」Goldilocks and the Three Bears 1928
  コダック制作のおとぎ話シリーズ。黒白。
6「メンデルスゾーンの春」Mendelssohn's SPRING 1931
7「バンド・マスター」The Band Master 1931
8「雪だるま」The Snowman 1931 Ted Eshbaugh
カラー。音楽はカール・ストーリング。
9「スイスの秘策」A Swiss Trick 1931
ヴァン・ビューレンの人間版トムとジェリー。黒白。
10「オズの魔法使い」The WIZARD of OZ 1932/33
11「オペラのミイラ」Magic Mummy 1933
  ヴァン・ビューレンの人間版トムとジェリー。黒白。ベティちゃんの声が聞こえる。
12「インディアンの大騒ぎ」Indian Whoopee 1933
  ヴァン・ビューレンのイソップ物語シリーズだが、なぜか、カビー・ベアがジョン・
 スミスになり、ポカホンタスに助けられる夢を見る。黒白。
13『小人の花作り』To Spring 1936
  MGMのハッピーハーモニー、ビル・ハナ監督。私が見た中で最も画質がいい。
14「急須の町」Tea Pot Town 1936
  テッド・エシュボーのカラー作品3本目。まったくタイトル通りの内容。
16「奇跡の街角」The Enchanted Square 1947 Seymoure Kneitel
フェーマス・スタジオのラゲディ・アン作品。フライシャー的な味が残っている。

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2016/03/15

シトロエンC4ピカソ(1周年限定車)

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 決断した次のクルマは、5人乗りのシトロエンC4ピカソの1周年記念限定車。限定車なので色はルージュ・ルビ(赤)しかなかったが、現行ピカソに乗るならこの色だなと思っていたので問題なし。あとはまだ残っているかということだったが、幸いなことに在庫があった。金利0%ローンというのも後押しになって、購入決定。3月12日土曜日納車。

 限定車はシートの仕様が普通のものと少し違い、これはわが家族にも評判がいい。C4もいいものだったと思うが、その前にローバートゥアラーというすごく座り心地の良いシートのクルマに乗っていたので、家人の評価は少々低かった。リアハッチゲートも電動になっていてこれも大きなハッチをよいしょと開けなくて済むので楽ちんである。

 運転していてC4との違いを一番感じるのが、やはり、オートマ。悪名高いAL4ではなく、アイシン6速ATである。シトロエン・プジョー・グループで国産車と比べて一番のウィークポイントがオートマチック変速機であったが、このアイシンのATで国産車とこの部分では同等になった。変速レバーはDS風のコラムシフトで、右側にある。車庫入れの時に左手でシフトしようとして何もないことに気づき、右手であわてて操作、ということを今のところ繰り返している。
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 インストルメンタル・パネルは大型で、3種類の表示パターンが選べる。昔のDSのボビン型スピード・メーターを再現したようなもの、普通の丸形のスピードメーター風のもの、シンプルなデジタル数字表示のもの。最後のパターンが一番目障りな感じがしないのでこれにしている。
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 C4を買った時には、納車は自宅で行ったのだが、今回はショールームまで来てください、という話。なんだろうと思ったら、ショールームの一角に赤い布に包まれた新車があり、この布を取ってご対面という、小イベントが用意されていた(この様子は、シトロエン沼津のHPのスタッフブログに紹介されている)。

 さて、C4の最終的な走行距離は、以下の写真の通り。勤務先が自宅から近いところに初めてなったので、1年に1万キロ以上走ることもなくなったし、この2年近くは高速道路もろくに走っていない。
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 11年という年月を一番感じさせた部分は、ドライバーズシート横のパワーウィンドウのスイッチ。このスイッチ、乗り始めてすぐに調子悪くなって部品を取り換えてもらった記憶がある。
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 このC4はシトロエン沼津に下取りしてもらったので納車時に乗って行くことになった。そのとき、NHKFMを聞いていたのだが、ちょうど「アニソンアカデミー」をやっている時間で、ゲストがなんと前川陽子だった。それで、C4の中で聞く最後の曲になったのが「夜霧のハニー」。思わずも大好きな、それも、別れの寂寥感がある名曲で最後の道のりをドライブすることになった。

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2014/11/15

佐藤良明・訳「重力の虹」トマス・ピンチョン

 旧訳をやっと翻訳されたと20年ほど前に読んだ。その時に、自分が慣れ親しんでいる分野の用語や表現が全然きちんと訳されていなかったことで、出版社にそのことについて手紙を書いた。そうしたら、訳者の代表者から返信があり、「重力の虹」の攻略本を出す予定なので執筆者の仲間になって欲しい、とあった。その後、このことについて何の連絡も来ず、10年がたって、このとき送った手紙を元に、ピンチョンへのオマージュのホームページを作った。このホームページを作っているときには知らなかったのだが、旧訳の出版元である国書刊行会は「重力の虹」を絶版にしていた。それから、また10年。今度は、原文を確認しながら読むということにはならないだろうと思ったのだが、やっぱり、第3部の「イン・ザ・ゾーン」からところどころで原文を確認することになった。もちろん、その回数は旧訳のときよりはるかに少ない。原書は、旧訳のときに持っていたペーパーバックはボロボロになってしまったので、買い直した大判のPENGUIN GREAT BOOKS OF THE 20TH CENTURY版である。

 最後の1節「落下」で、主人公の祖先のウィリアム・スロースロップ作の賛美歌を歌いましょうというところで、「弾むボールに合わせてどうぞ」と訳されていて、「バウンシング・ボール」とカタカナでは訳されてはいなかった。フライシャー兄弟作の「小唄漫画」などで何作か、ボールが歌詞の上を弾んで歌う部分を示す作品を自主上映で見ていて、これが「bouncing ball」というものだと、解説者の森卓也さんから教えられた者にとって、弾むボールだと卓球をしているようで、しっくりこない。今回は訳注が付いているのだが、バウンシングボールが登場する映画(アニメ)があって、バウンシングボールで観客にさあ一緒に歌いましょうと歌詞を示すのは、その映画のエンディングであり、歌はテーマソングであるということまで説明すべきであろう。私にとって「重力の虹」は、そのエロ・グロ・ナンセンスさ、メカや発明へのこだわり、キャブ・キャロウェイなどへの言及、話のスムーズな繋がりなど気にしないなどの点から、フライシャー兄弟が作ったかもしれないバウンシングボール付き大長編漫画映画なのである。旧訳よりもそういう雰囲気が濃厚な今回の佐藤良明の訳文である。

 ピンチョンが「重力の虹」を書き始める頃、1965年にマイケル・アンダーソンが監督した「クロスボー作戦」という、ドイツ軍のV2号ロケット開発計画を突き止め、それを阻止しようとするイギリス政府とその諜報機関の活躍を描いた映画がある。レーザーディスクで発売されたときに初めてこの映画を知り、「重力の虹」の参考になるんじゃないか、というか、もしかしたら元ネタ?、という興味で買って見た。戦争アクション映画としてみるとそれほど面白い出来ではないが、キャストはソフィア・ローレンやらジョージ・ペパード、トレーバー・ハワードなどなどといったオールスター・キャストの映画で、特撮もなかなかである(この映画の特撮スタッフの多くはその後「2001年宇宙の旅」に参加している)。初めの方で描かれるドイツのロケット開発の様子のリアルさと、後半のスパイアクションのB級映画っぽさの対比が、元ネタとまでは行かずとも、何がしかのインスピレーションをピンチョンに与えたと考えたくなる作品だ。


 今回の佐藤良明・訳でも、ちょっと不満足であった箇所について、以下に示す。

 下巻の580~581ページで、イミポレックスGというピンチョンが創作したプラスティックについての疑似科学的説明が、いまひとつ、それらしくないんだな。

(訳文)
 (a)導線による薄いマトリックスを、<イミポレックスG>の表面に近づけ、両者に密接な相互作用システムを形成する。
(原文)
 (a)a thin matrix of wires,forming a rather close-set coordinate system over the Imipolectic Surface

coordinate system ときたら、「座標系」とするのが物理学的な説明の常である。 matrix は科学用語としても色々訳語があるが、縦横がきちんとそろった「行列」あるいは「表」みたいなものと解するのが妥当だろう。

 「薄い導線を縦横に張り巡らしてイミポレックスGの表面上に密着させた座標系を形成する。」

 この方が、「勃起」を含むコマンドを限定的な領域に送り込める仕組みとして具体的に理解できる。

(訳文)
 科学の他分野における「超音波領域」や「重心」
(原文)
 "Supersonic Region"or"Center of Gravity"in other areas of Science

これは旧訳と同じミス。Supersonic は「超音速」である。サイエンスの綴りの先頭が大文字になっているんで、このサイエンスは特定のサイエンス、つまり、ロケットについてのサイエンスであると解釈するのが妥当。ロケットは超音速で飛行しているのだ。


(訳文)物理的変形φR(x,y,z)がもたらしうる機能上の乱れγRは、<イミポレックス>の下層における乱れγBの有するより強力なパワーpに正比例する(ただしpは整数とは限らず、経験的に決定される)
(原文)"Probable functional derangement γR resulting from physical modification φR(x,y,z) is directly proportional to a higher power p of sub-imipolectic derangementγB, p being not necessarily integer and determined empirically

 これは旧訳と同じpowerの誤訳。「Xの2乗」の「乗」の意味のpowerとしないと、物理の理論でよく出てくる説明のパロディになっているということが伝わらない。2つの物理量xとyの間に何らかの関係がある場合、xが別な物理量tと関係していて、X=at+bt^2+ct^3+・・・t^pとなるときに、yがtのp乗のpという数に比例している、というような関係になる場合がある。多数についての統計的な量の関係の場合、このような説明が案外出てくる。また、二次関数、三次関数、という用語があるが、この二次、三次は2乗、3乗のことで、三次関数以上は高次関数などという。ここで使われているhigherはこの「高次」を意味する。xの何乗ということを考えるとき、普通整数乗を考える。「pについて整数とは限らない」と注釈しているわけだから、明らかにpはp乗の意味である。

 「物理的変形φR(x,y,z)がもたらしうる機能上の乱れγRは、<イミポレックス>の下層における乱れγBのより高次の乗数pに正比例する(ただしpは整数とは限らず、経験的に決定される)」


 さらにもう一つ。旧訳よりは良くなっているが、「重力の虹」である以上「重力」についての真打ちを示す用語を、もっとストレートに訳して欲しかった部分。下巻654ページ。

(訳文)
 離散していた種子が万有引力で内側に向かって結集することのささやかなプレビューであり、救世主が落ちた火花を集めることの予行演習である。
(原文)
 seeds of exile flying inward in a modest preview of gravitational collapse,of the Messiah gathering in the fallen sparks

gravitational collapse は「重力崩壊」と訳される一般相対論的宇宙論の用語で、星のコアがつぶれて自重に耐え切れずに無限に小さくつぶれていき、ついにはブラックホールとなる様子を示す用語である。ブラックホールという用語は「重力の虹」が出版されたころホィーラーによって作られた言葉で、ピンチョンが執筆していた頃にはなかった言葉だ。ブラックホールという言葉がもっと早く作られ現在のように一般化していたら、きっとここにブラックホールと書いたと思う。

 「離散していた種子が内側に向かって飛んでいく。ブラックホールへと突き進む重力崩壊の、救世主が落ちた火花を集めることの目立たないプレビューの中で。」

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2014/10/27

ベティ・ブープは音楽だ

 本国のamazonに予約注文していた、Betty Boop essencial collection Vol.4が届いた。予想していたようにベティが白雪姫やシンデレラを演じる作品が収録されていた。でも、日本を訪れる作品はなくて少しがっかり。今回初めて見て面白かったのは、「ベティの漂流記」。典型的な南の島の原住民が出てくるというのも面白さの一端を担っているが、ハワイアン・メロディとポリネシアン・リズムの音楽が心地よいのである。音楽が耳に残るという意味では、ベティさんが愛犬パジィ他の動物たちに音楽を教える「ベティの音楽学校」。検閲のためスカートが長くされたんだけれど、キャラクターデザインは以前よりも肉感的になった「ベティの大尽道楽」は、ガーター・ベルトがミニスカートの裾からチラチラ見えて、扇情的ということではシリーズ中で一番かと思う。
 「不思議の国のベティ」では、シーモア・ネイテルらしいパースの付いたカチッとした作画が目を引く。「ベティのシンデレラ姫」は画質が良いので、2原色カラーだというのが良く分かる。Sally Swingは、サリーという女の子の方が主人公なのだが、まったく、スイングしまくる音楽でかろうじてベティ・シリーズなんだろうなという作品。

1.Stopping the Show 1932年「花形ベティ」
2.Snow White 1933年 「魔法の鏡」
3.Parade of the Wooden Soldiers 1933年 「不思議の国のベティ」
4.She Wronged Him Right 1934年 「ベティの舞台大洪水」
5.Red Hot Mamma 1934年 「ベティの鬼退治」
6.Poor Cinderella 1934年 「ベティのシンデレラ姫」
7.There's Something About a Soldier 1934年 「ベティは軍人がお好き」
8.When My Ship Comes In 1934年 「ベティの大尽道楽」
9.Zula Hula 1937年 「ベティの漂流記」
10.Riding the Rails 1938年 「ベティの地下鉄騒動」
11.The Swing School 1938年 「ベティの音楽学校」
12.Pudgy the Watchman 1938年 「ベティの番犬」
13.Sally Swing 1938年(邦題なし)

*邦題は筒井康隆「ベティ・ブープ伝」による。

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2014/05/18

キャブ、ルイの芸が残された・・・ベティ・ブープDVDvol.3

'BETTY BOOP THE ESSENTIAL COLLECTION VOLUME 3'のDVDがやっと発売になって入手した。この3巻は、ジャズの巨人ルイ・アームストロングやキャブ・キャロウェイとの共演作を中心に集められている。「ベティ・ブープ伝」で筒井康隆も未見と書いている末期作品もなかなか貴重。収録作は以下の通り(邦題は筒井康隆「ベティ・ブープ伝」による)。

1 Minnie the Moocher 1932年「ベティの家出」
2 I'll Be Glad Where You're Dead You Rascal You 1932年「ベティの蛮地探検」
3 Mother Goose Land 1933年「お伽の国訪問」
4 The Old Man of The Mountain 1933年「ベティの山男退治」
5 I Heard 1933年「ベティの炭鉱奇譚」
6 Ha!Ha!Ha! 1934年「ベティの笑へ笑へ」
7 Stop That Noise 1935年「ベティの都落ち」
8 Service with a Smile 1937年「ベティのモダンホテル」
9 The New Deal Show 1937年「ベティのステージ・ショウ」
10 Be Up to Date 1938年「ベティの出張販売」
11 Out of the Inkwell 1938年(「ベティの催眠術」*後述)
12 Pudgy in Thrills and Chills 1938年

 1と4がキャブ・キャロウェイ、2がルイ・アームストロング、5がこの二人よりマイナーだがドン・レッドマンが自身のバンドと共に出演している作品。5の「ベティの炭鉱奇譚」は初めて見た。炭鉱夫の行進は筒井の書いているとおりちょっと面白い。この4本では、やっぱり、「ベティの山男退治」がいい。6はやっぱり、世界のありとあらゆるものが笑い出してそのまま終わってしまうのが凄い。

 7以降の6本は今回初見。

 7は、邦題に「ベティの都落ち」とあるが、実際には都会の喧騒に疲れたベティが田舎に引っ越すが、田舎は田舎でうるさく、同じうるさいなら都会の方がまだ良いという話である。8は、ホテルのクロークのベティさんが客のクレームに困ってグランピーに良いアイディアを出してもらって解決する。このクレームの一つを示すシーンで凄いと思ったギャグが1つある。箪笥の引き出しがどうしても開かなくって業を煮やした客が、箪笥の引き出し以外の部分を「引き出してして」引き出しだけが壁にくっついた状態になっているところに着替えを入れ、引き出し以外のすべてを元に戻した、というものである。

 9も「ベティのステージ・ショウ」とあるが、このステージ・ショウはペット用品ショウであって、ベティさんが色っぽく歌い踊るわけではない。グランピーは出てこないが、グランピーの怪しい発明品みたい、つまりは、実に、発明家でもあったマックス・フライシャーの趣味そのものである。10は、田舎の村に最新の電化製品を売りに来るベティさんのお話。今と同じ形の電気カミソリが出てきて、もうこの時代にこの形であったんだと変なところに感心した。

 さて、11である。「ベティ・ブープ伝」(単行本、初版)のリストでは邦題なしで、本文中でも日本未公開としか触れられていない。話は、本国のウイキによれば「風と共に去りぬ」でスカーレット・オハラの奴隷役を演じたオスカー・ポークが実写で登場しマックス・フライシャーの仕事部屋を掃除するのだが、催眠術の本を参考に画用紙上に描かれたベティに術をかけて騒動になるというものである。「ベティ・ブープ伝」のリストではこの作品の1行上に、Honest Love And Trueの邦題として「ベティの催眠術」となっている。Honest Love And Trueの本文中の紹介では、田舎芝居に出演する、となっている。また、本国のウイキでは、なんとこの作品はフィルムが失われており、残された断片や記録から、ベティさんが田舎で落ちぶれた歌手を演じている、となっている。つまり、こちらの作品には催眠術は出てこないようなのだ。ということで、11が「ベティの催眠術」として日本公開されたのではないか、と思うのである。

 12はベティ・ブープが妙に背が高くなっていてプロポーションが普通の人間のキャラに近い。愛犬パジイを連れてクリスマス休暇で雪山に出かけるベティさん。氷が張った池でスケートをするベティさん。スケート靴を履くところで見せる脚線美がこの時代の割には色っぽいベティさん。このスケートのシーンがロトスコープで作画されているのがよく分かる。つまり、本作のベティさんのプロポーションが通常よりも上下に引き伸ばされていたのは、ロトスコープ使用のためだったのだ。

 この3巻で一番残念だったのが、外箱がなかったこと。1,2巻は外箱があって、その背に全巻集めるとベティさんの顔が完成するというデザインだったので、顔が完成しないのだ。4巻の案内もまだない。この4巻にはあれが入っていないとおかしいぞ、と思いながら待っている。

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2014/05/06

「チコとリタ」Chico & Rita フェルナンド・トルエバ、ジャヴィエ・マリスカル、トノ・エランド監督 2010年作

 「ふたりのアトリエ」のフェルナンド・トルエバ監督が作った長編アニメ「チコとリタ」のDVD(スペイン語版、英語字幕付き)を手に入れて見た。アニメの作り方としては「戦場でワルツを」と同様の手法であるのが、見初めてすぐに分かる。メイキングが付いていたので見てみたら、キューバの映画演劇学校でオーディションをして主人公の二人を選び、実写映画として公開できそうな形でトルエバ監督が、アニメーションの元になる実写映像を撮影している。トルエバ監督の演出はこの実写部分ですべて行われていると理解してよいようだ。これをアニメ化する際の「絵画化」を監督したのがマリスカルで、アニメーション製作過程の監督がエランド、ということのようだ。

 何といってもこの作品の魅力は、「ベサメムーチョ」で始まる音楽である。舞台は、1948年のハバナからニューヨーク、パリ、ハリウッド、ラスベガスと移り変わる(物語の構造としては1998年のハバナでのチコの回想という枠組みがある)ので、キューバ音楽だけでなく、40年代から50年代にかけてのジャズ、ビバップやキューバン・ジャズ、の名曲が次々と流れてくる。セロニアス・モンク、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー等々のジャズ・ジャイアントが似顔絵で登場し、代表作を演奏する。キューバからニューヨークに渡ったチャノ・ポゾはセリフもあるし、作中で重要な役割を果たす。これらのジャズ・ジャイアントたちの演奏する音楽は、オリジナル音源を使ったのではなく、ガレスピーやパーカーと関係の深いジミー・ヒースが、オリジナルと聞き間違うような演奏のできるメンバーを集めて再現している。主人公のピアニスト、チコの演奏はベボ・ヴァルデス(撮影時なんと90才)が担当し、チコのキャラクター・デザインもヴァルデスの容貌を参考にしている。

 アニメーションとしては、リタとなかなかうまくいかないチコの内面を表現したUPA風リミテッド・アニメ・シーンが、実写を元にしていないこともあって面白い。このシーンの中に、「カサブランカ」のあの名曲をチコが演奏するという、ボガートへのオマージュ(ワーナー漫画でも何度かお目にかかる)があり、これが洒落たギャグになっている。

 大悲恋の純愛物語と思ったら、ライ・クーダーみたいな音楽プロデューサーとチコがリタのために作った曲を歌いたいという若い女性歌手により、靴磨きで生活しているチコが再発見されて、ハッピーエンドになる。

 チコがガレスピーの楽団のメンバーとしてパリに行くシーンがある。そのパリの街角のシーンで、シトロエンDSが横切る。DSが発売されるのは50年代半ばで、作品の時代設定は50年代初めなんで、ちょっと誤差がある。でも、DSを走らせた気持ちはわかる。当時の洒落たパリの街の雰囲気を示すには、DS以外にない。

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