2016/05/08

UB IWERKS' WILLE WHOPPER

 ThunderBeanから発売されたアブ・アイワークスの1933~34年作のウィリー・フーパーシリーズのブルーレイ・ディスクを入手。8mmフィルムを直輸入している頃一番信頼できる業者としてたびたび利用したことがあるBlackhawk Filmsのタイトルも出てきて、懐かしく感じた。アイワークスの作品では、日本でもパブリック・ドメイン物でコミカラー・シリーズが見れるし、カエルのフリップは'Spooks'をBlackhawk Filmsから買って所有している.。このシリーズは初見。本国でも多分初めての発売であろう。
 ディズニー・プロをやめた後、パット・パワーズと契約してMGMから配給された作品である。白人少年のウィリーが主人公で、俺はこういうことしたんだぜ、という一種のホラ話シリーズである(夢オチみたいなもの)。ウィリーのキャラデザインは一貫せず、4作目以降かなり太った少年になってしまうが、このデザインが変わた4作目までが面白い。5,6作目はカラー作品であり、海賊デイビー・ジョーンズや地獄の赤鬼などが登場してそれなりに力を入れて作られているのがわかる。アニメーターとしてグリム・ナトウィック、音楽としてカール・ストーリングが参加している作品がある。ナトウィックが参加している作品は作画のレベルが高くなっているのがわかるが、後期作品ではそれ以外にほとんど見どころがなかったりする。後期作品でそれ以外に見るべきところがあるとすれば、マルチプレーンを使用していることである。シリーズの初期作品が面白く感じられる理由の一つに、ベティ・ブープ的な動きが妙にエロいおねーさんが登場することが挙げられる。

作品リスト
1 The Air Race(飛行機競争) 1933 MGMからは公開されなかった作品。
2 Play Ball(プレー・ボール) 1933 べーブルース登場。
3 Spite Flight(意地悪飛行) 1933 1のリメイク版。
4 Stratos-Fear(成層圏の恐怖)1933 これが私のベスト1、SFである。
5 Davy Jones'Locker(デイビー・ジョーンズの戸棚)1933 カラー。
6 Hell's Fire(地獄の炎)   1934 カラー。
7 Robin Hood Jr(ロビン・フッド・ジュニア)1934
8 Insultin'the Sultan(対決!サルタン)1934 いわゆる「土人」多数登場。
9 Reducing Creme(やせ軟膏) 1934 パン屋の夫婦のダンスシーンが面白い。
10 Rassling Round(レスリング)1934 レスリングの試合に出る靴磨きのウィリー。
11 The Cave Man(洞窟人)   1934 ターザンである。
12 Jungle Jitters(ジャングルの恐怖) 1934 ベティ・ブープみたいな原住民の娘。
13 The Good Scout(善きボーイスカウト)1934 一日一善の発表。
14 Viva Willie(ウィリー、バンザイ)  1934 西部のウィリー。

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2015/09/23

アメリカ漫画映画のルーツ

 Tom Stathes' CARTOONS ON FILM から発売されているブルーレイ/DVDコンボ「CARTOON ROOTS」を手に入れた(収録作品は以下の通り)。アメリカのアニメーションの初期の作品群なのでもともとのフィルムの状態が良いわけでなく、不明だったプリントを探し出してきて修復したものもあり、ブルーレイではあるが画質の限界は仕方がない。その後のアメリカのアニメーション、カートゥーンの世界でビッグネームとなる作者たちの初期作品が一同に見られるのは貴重であるし、時代時代でカートゥーンの人気キャラクターが何であったかを同時代の別キャラクターの作品で再認識することができるのも面白い。

BEGINNINGS AND PIONEERS
1 LIGHTNING SKETCHES 1907 A Vitagraph production directed by J.Stuart Blackton
2 CARTOON ON TOUR 1915 An Edison production directed by Raoul Barre with animation by Bill Norlan
3 COL.HEEZALIAR,DETECTIVE 1923 A Bray Studios production directed by Vernon Stalling
4 BOBBY BUMPS STARTS TO SCHOOL 1917 A Paramount/Bray Studios production directed by Earl Hurd
5 THE CIRCUS 1920 A Goldwyn/Bray Studios production supervised by Max Fleisher and directed by Dave Fleisher
6 THE JOLLY ROUNDERS 1923 A Fable Studio production directed by Paul Terry

CLASSIC CHARACTERS
7 FIREMAN SAVE MY CHILD 1919 A William Fox production directed by Charles Bowers and Raoul Barre with animation by Dick Humer
8 THE BOMB IDEA 1920 A Goldwyn/Bray Studios production directed by Vernon Stalling with animation by Walter Lantz
9 FELIX COMES BACK 1922 An M.J.Winkler/Pat Sullivan production directed by Otto Messmer
10 SPRING TIME 1923 A Fable Studio production directed by Paul Terry
11 SCENTS AND NONSENENSE 1926 An M.J.Winkler production directed by Bill Nolan with animation by Jack King
12 LOST AND FOUND 1926 A Bray Studios production directed by Walter Lantz

SOUND RARITIES
13 HOT-TOE MOLLIE 1930 A Romer Grey Pictures,Inc.production animated by Robert & Tom McKimson,Preston Blair and Cal Dalton
14 THE MILKMAN 1930 An RKO Radio Pictures/Winkler Pictures production directed by Dick Huemer and Sid marcus with Art Davis
15 THE FARMERRETTE 1932 An RKO Radio Pictures/Van Beuren Corp.production directed by John Foster and Harry Bailey


 1のブラクトンの作品は、その昔、最初のアニメーションの1つと呼ばれるHUMOROUS PHASES OF FUNNY FACES(1906)と混同されていて、 全然アニメーションがない、と日本の初期のアニメファンの間で話題になったことがある。自分が本当のHUMOROUS PHASES OF FUNNY FACESの8ミリフィルムを輸入していろいろな方々に見せて決着が付いたのは1980年頃。
 6のポール・テリーの作品はイソップ物語のシリーズだが、子ども向けの教訓話ではなく、夜遊びしまくるカバの亭主とその妻の大人な話でシリーズ中の異色作。
 12のウォルター・ランツの作品がこの作品集の中の白眉かもしれない。5の道化師ココの作品のように実写で漫画家ランツ(だと思う)が登場して、ディンキーというキャラクターと共に悪漢にさらわれた美女を助け出す、という話。この美女がカートゥーン的でないリアルなプロポーションでミニのタイトスカートを履いて逃げ回るというアダルトなアニメートにびっくりしたのである。
 もう一つの注目作品は、13である。ワーナー漫画の中心スタッフとして活躍することになるマッキンソン兄弟にプレストン・ブレア、カル・ダルトンなどそうそうたるメンバーの最初期の作品である。14と同様に当時のミッキーマウス人気にあやかった作品である。動物たちのちょっと不思議なダンスのシーンは、やっぱりブレア(「ファンタジア」の「時の踊り」でカバにバレーを踊らせたアニメーター)なのか。アメリカ議会図書館にもっともオリジナルに近いプリントがあることを見つけて修復したものだそうだ。
 一方、15のヴァン・ビューレン作品はベティ・ブープ人気にあやかった作品。ヴァン・ビューレンのスタジオはフライシャー・スタジオのそばにあったこともあって、ベティ・ブープの初期の声優をいくつかの作品で起用しているが、本作品の牧場にやってくるベティ風メスネコの声もベティさんの声(Margie Hines)である。

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2014/10/27

ベティ・ブープは音楽だ

 本国のamazonに予約注文していた、Betty Boop essencial collection Vol.4が届いた。予想していたようにベティが白雪姫やシンデレラを演じる作品が収録されていた。でも、日本を訪れる作品はなくて少しがっかり。今回初めて見て面白かったのは、「ベティの漂流記」。典型的な南の島の原住民が出てくるというのも面白さの一端を担っているが、ハワイアン・メロディとポリネシアン・リズムの音楽が心地よいのである。音楽が耳に残るという意味では、ベティさんが愛犬パジィ他の動物たちに音楽を教える「ベティの音楽学校」。検閲のためスカートが長くされたんだけれど、キャラクターデザインは以前よりも肉感的になった「ベティの大尽道楽」は、ガーター・ベルトがミニスカートの裾からチラチラ見えて、扇情的ということではシリーズ中で一番かと思う。
 「不思議の国のベティ」では、シーモア・ネイテルらしいパースの付いたカチッとした作画が目を引く。「ベティのシンデレラ姫」は画質が良いので、2原色カラーだというのが良く分かる。Sally Swingは、サリーという女の子の方が主人公なのだが、まったく、スイングしまくる音楽でかろうじてベティ・シリーズなんだろうなという作品。

1.Stopping the Show 1932年「花形ベティ」
2.Snow White 1933年 「魔法の鏡」
3.Parade of the Wooden Soldiers 1933年 「不思議の国のベティ」
4.She Wronged Him Right 1934年 「ベティの舞台大洪水」
5.Red Hot Mamma 1934年 「ベティの鬼退治」
6.Poor Cinderella 1934年 「ベティのシンデレラ姫」
7.There's Something About a Soldier 1934年 「ベティは軍人がお好き」
8.When My Ship Comes In 1934年 「ベティの大尽道楽」
9.Zula Hula 1937年 「ベティの漂流記」
10.Riding the Rails 1938年 「ベティの地下鉄騒動」
11.The Swing School 1938年 「ベティの音楽学校」
12.Pudgy the Watchman 1938年 「ベティの番犬」
13.Sally Swing 1938年(邦題なし)

*邦題は筒井康隆「ベティ・ブープ伝」による。

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2014/05/18

キャブ、ルイの芸が残された・・・ベティ・ブープDVDvol.3

'BETTY BOOP THE ESSENTIAL COLLECTION VOLUME 3'のDVDがやっと発売になって入手した。この3巻は、ジャズの巨人ルイ・アームストロングやキャブ・キャロウェイとの共演作を中心に集められている。「ベティ・ブープ伝」で筒井康隆も未見と書いている末期作品もなかなか貴重。収録作は以下の通り(邦題は筒井康隆「ベティ・ブープ伝」による)。

1 Minnie the Moocher 1932年「ベティの家出」
2 I'll Be Glad Where You're Dead You Rascal You 1932年「ベティの蛮地探検」
3 Mother Goose Land 1933年「お伽の国訪問」
4 The Old Man of The Mountain 1933年「ベティの山男退治」
5 I Heard 1933年「ベティの炭鉱奇譚」
6 Ha!Ha!Ha! 1934年「ベティの笑へ笑へ」
7 Stop That Noise 1935年「ベティの都落ち」
8 Service with a Smile 1937年「ベティのモダンホテル」
9 The New Deal Show 1937年「ベティのステージ・ショウ」
10 Be Up to Date 1938年「ベティの出張販売」
11 Out of the Inkwell 1938年(「ベティの催眠術」*後述)
12 Pudgy in Thrills and Chills 1938年

 1と4がキャブ・キャロウェイ、2がルイ・アームストロング、5がこの二人よりマイナーだがドン・レッドマンが自身のバンドと共に出演している作品。5の「ベティの炭鉱奇譚」は初めて見た。炭鉱夫の行進は筒井の書いているとおりちょっと面白い。この4本では、やっぱり、「ベティの山男退治」がいい。6はやっぱり、世界のありとあらゆるものが笑い出してそのまま終わってしまうのが凄い。

 7以降の6本は今回初見。

 7は、邦題に「ベティの都落ち」とあるが、実際には都会の喧騒に疲れたベティが田舎に引っ越すが、田舎は田舎でうるさく、同じうるさいなら都会の方がまだ良いという話である。8は、ホテルのクロークのベティさんが客のクレームに困ってグランピーに良いアイディアを出してもらって解決する。このクレームの一つを示すシーンで凄いと思ったギャグが1つある。箪笥の引き出しがどうしても開かなくって業を煮やした客が、箪笥の引き出し以外の部分を「引き出してして」引き出しだけが壁にくっついた状態になっているところに着替えを入れ、引き出し以外のすべてを元に戻した、というものである。

 9も「ベティのステージ・ショウ」とあるが、このステージ・ショウはペット用品ショウであって、ベティさんが色っぽく歌い踊るわけではない。グランピーは出てこないが、グランピーの怪しい発明品みたい、つまりは、実に、発明家でもあったマックス・フライシャーの趣味そのものである。10は、田舎の村に最新の電化製品を売りに来るベティさんのお話。今と同じ形の電気カミソリが出てきて、もうこの時代にこの形であったんだと変なところに感心した。

 さて、11である。「ベティ・ブープ伝」(単行本、初版)のリストでは邦題なしで、本文中でも日本未公開としか触れられていない。話は、本国のウイキによれば「風と共に去りぬ」でスカーレット・オハラの奴隷役を演じたオスカー・ポークが実写で登場しマックス・フライシャーの仕事部屋を掃除するのだが、催眠術の本を参考に画用紙上に描かれたベティに術をかけて騒動になるというものである。「ベティ・ブープ伝」のリストではこの作品の1行上に、Honest Love And Trueの邦題として「ベティの催眠術」となっている。Honest Love And Trueの本文中の紹介では、田舎芝居に出演する、となっている。また、本国のウイキでは、なんとこの作品はフィルムが失われており、残された断片や記録から、ベティさんが田舎で落ちぶれた歌手を演じている、となっている。つまり、こちらの作品には催眠術は出てこないようなのだ。ということで、11が「ベティの催眠術」として日本公開されたのではないか、と思うのである。

 12はベティ・ブープが妙に背が高くなっていてプロポーションが普通の人間のキャラに近い。愛犬パジイを連れてクリスマス休暇で雪山に出かけるベティさん。氷が張った池でスケートをするベティさん。スケート靴を履くところで見せる脚線美がこの時代の割には色っぽいベティさん。このスケートのシーンがロトスコープで作画されているのがよく分かる。つまり、本作のベティさんのプロポーションが通常よりも上下に引き伸ばされていたのは、ロトスコープ使用のためだったのだ。

 この3巻で一番残念だったのが、外箱がなかったこと。1,2巻は外箱があって、その背に全巻集めるとベティさんの顔が完成するというデザインだったので、顔が完成しないのだ。4巻の案内もまだない。この4巻にはあれが入っていないとおかしいぞ、と思いながら待っている。

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2013/09/07

ベティ・ブープの結婚

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 ベティ・ブープの決定版ともいえるDVD(ブルーレイもあり)がついに出た。OliveFilmsによる4Kリマスター版「BETTY BOOP THE ESSENTIAL COLLECTION」である。VOLUME1と2が発売されていて、amzzon.comに注文したところ、1のみ先に送られてきた。パッケージの箱の裏の説明を読むと4巻出るようだ。1巻に12本入っているので48作品のコレクションとなる。数え間違えていなければ、フライシャーのベティ作品は115本、ポパイのように全作品を収録というのは難しいのか?

 4Kリマスターなので画質はシャープである。比較のために宝島社の「ベティ・ブープDVDBOX」を見てみたら違いは歴然。

 VOLUME1に収録されている作品は次の通り(邦題は筒井康隆「ベティ・ブープ伝」による)。

 Ches Nuts(1932)ベティの将棋合戦
Betty Boop,M.D.(1932)ベティ博士とハイド
Betty Boop's Bamboo Isle(1932)酋長の娘
Betty Boop For President(1932)大統領選挙
Betty Boop's Penthouse(1933)ベティの屋上庭園
Betty Boop's Birthday Party(1933)ベティの誕生日
Betty Boop's May Party(1933)ベティのピクニック
Betty Boop's Halloween Party(1933)ベティのキングコング退治
Betty Boop's Rise To Fame(1934)ベティの出世物語
Betty Boop's Trial(1934)ベティのスピード違反
Betty Boop's Life Guard(1934)ベティの波乗り越えて
The Foxy hunter(1937)ベティの鵞鳥狩り

 最後のThe Foxy hunterは初めて見た。そして、驚くべき発見があった。この作品の本当の主人公は子犬のパジィと少年である。この少年はベティから「リトル・フレディ」と呼ばれており、少年がベティに書き送るメモの署名は「ジュニア」である。フレディというのはベティのボーイフレンドの名前である。ということは、この作品の少年はベティとフレディの子供と考えられる。つまり、ベティさんはフレディと結婚していたのである!初めて知った事実。フレディがかっこいいBetty Boop's Life Guardの後に年代的にだいぶ後になるこの作品を持ってきたセンスはかなり良い。どこにも名前が出てないが、ジェフ・レンバーグあたりがチョイスしていそう。2巻が届くのが楽しみだ。

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2013/06/29

二人のイームズ 建築家チャールズと画家レイ

 ジョイランド沼津で「ふたりのイームズ 建築家チャールズと画家レイ」(ジェイソン・コーン&ビル・ジャージー監督、2011年)見た。チャールズとレイのイームズ夫妻に関するドキュメンタリーである。この二人のイームズを兄弟だと思ってる人も多い、という話が出てきて、ああ自分もそうだった、と気づいた。

 イームズは椅子で有名だ。イームズのオリジナルを見ることは少ないが、そのデザインの流れを汲む椅子はいろいろなとことにあったりする。シトロエン沼津のショールームがリニューアル・オープンして座り心地に感心したプラスティック製の椅子もその一つだ。

 「フランクリンとジェファーソン展」について、今ではコンピュータによって普通になったハイパーテキストの試みを行って、フランスでは評判が良かったが、アメリカ国内では不評で、それはこの新しい試みが余り受け入れられなかった、というあたりで、ハイパーテキスト小説とも評されるピンチョンの「重力の虹」が出版されて話題になっていた頃で、ピンチョンもイームズから影響を受けたのだろうか? と思った。

 全体を通して、チャールズの陰に隠れていた妻のレイの存在の大きさを強調している。
 

 このドキュメンタリーでは、イームズ製作の映像作品のフッテージがところどころに挟まるが、IBMのために作ったUPA風アニメが気になった。全編を見たい。かつて、パイオニアから出たレーザー・ディスク「映像の先駆者シリーズ チャールズ&レイ・イームズの世界」には入ってなかった。このレーザー・ディスクには「コマ」「ハウス」「国立水族館」「おもちゃの汽車のためのトッカータ」「パワーズ・オブ・テン ラフ・スケッチ」「パワーズ・オブ・テン」の6作品が収録されている。これは数年前にDVD化されていたように思う。

 私は、「パワーズ・オブ・テン」日本語版16ミリ・フィルムを所有している。元は、静岡県東部高校視聴覚ライブラリーにあったもの。ライブラリーが解散し所有していたフィルムが廃棄されると決まったときに、もらい受けたものだ。

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2012/12/23

情熱のピアニズム、貸切でした

 ジョイランド沼津で、フランスのジャズ・ピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニのドキュメンタリー「情熱のピアニズム」マイケル・ラドフォード監督が上映中なので見に行った。日曜日の夕方の回だが、私以外に入る人はなく、貸しきり状態。私が来なければ上映しなかったのかなあ、と思う。
 ペトルチアーニのCDは、亡くなって2年後の2001年に出た父親とのデュエット・アルバム「CONVERSATION」と、もう一枚持っているはずだが、そのもう一枚が見つからない。全身の骨が折れて生まれてきて、成長不全というハンディキャップを持ちながら、それを感じさせない音楽性。その音楽がいかにして生まれてきたのかを確認することができるドキュメントだ。
 見ていて、まるでカートゥーンのキャラクターのようだ(これは良い意味で使ってます)と思ったら、画面に天使と悪魔が耳元でささやくカートゥーン(「トムとジェリー」のようなメジャーなものでなくって、何かは不明)が出てきて、びっくり。
 チャールズ・ロイドとかリー・コニッツとかCDでその演奏は聴いているんだけれど、実際の演奏の様子を見たことのない有名ジャズ・ミュージシャンの貴重な映像も見られたのが、余計に得をした気分になった。
 
 ショパンのお墓の隣に埋葬されているのを、この映画ではじめて知った。


 この映画とは直接関係ない話だが、映画を見た後に移転し新装オープンしたボルカノで久しぶりに食事をした。広くて明るい店内になって、穴倉のような地下の店のイメージはなくなっていて、ちょっと違和感を感じた。でも、イタ飯屋というより昭和の洋食屋を思わせるすっきりした店内は、その味と共になんとなく懐かしい雰囲気だ。

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2012/08/29

マイブリッジの糸・・・山村浩二の時間に愛を

 広島アニメフェスでの公開にあわせて紀伊国屋書店から発売されたブルーレイDVDを購入して、遅ればせながら鑑賞。どのような作品であるかについてはまったく情報を得ずに見たので、19世紀末のマイブリッジの時代と21世紀初めの東京の母娘が対比されて描かれているということは思いも寄らなかった。基本的なテーマは時間であり、難解さを感じるイメージの連続であった。

 1枚の紙の上にすべてを書き込むアニメーションの原点的手法がとられていて、自分がNFBの諸作、マクラレン、ラーキン、リーフなどの作品を見て、こんな動くイメージを自分も作ってみたいと思って実際に自主制作していた頃に作ったものの中に、似たようなシーンを自分も描いてたなあ、と思う。NFBとの共同制作ということで、山村浩二が、自身のアニメ制作の原点を見つめ、影響を受けたNFBの諸作にオーマジュを捧げつつ、そして現在につなげた作品なのだろう。

 音楽は、バッハの「蟹のカノン」を基にして、ノルマン・ロジェがロジェらしい作編曲していて、これだけで、ああNFBだなと思えてしまう。本作を見ているときに、妻が蟹の格好をしてテレビの前を横切ったのだが、作品を見終わっておまけの解説画像を見るまで、使われている曲が「蟹のカノン」と呼ばれていることを知らなかった。ピアノ弾きの端くれであるわが妻にはすぐにわかったようで、ふざけて見せたのだった。この可逆な曲を使い、さらに、その楽譜も見せることで、時間というテーマを見る人に提示し、アキレスと亀の競争(ゼノンのパラドックス)も挟み込んで、アニメーションもまた、音楽と同様に時間の芸術でもあると強く印象付けている。

 現在の東京で小学校に入学するかしないかくらいの女の子と母親の「蟹のカノン」の連弾のシーンで、わが妻と娘が同じくらいの頃同じように曲は違うが連弾していたなあと、ごく私的な感傷を引き起こした。マイブリッジの生涯がこの作品の第1主題なら、連弾する母娘は第2主題である。それが、どうつながるのか、作品の中では一切説明はない。ただ最後に、マイブリッジが撮影した母子の写真の引用が登場し、イメージの連環が一応つながる。

 時間を逆転させても、ほとんどの動きはおかしさを感じさせない。前にギャロップしている馬の動きを逆転させた動きは、後ろにギャロップしている馬の動きと変わらない。しかし、母が子を産み育てていく過程を逆転させたら、それは、ありえないものになる。愛は不可逆、時間を超えて結ばれる糸、ということだろうか。マイブリッジは空間に糸を張って時間をコントロールすることができたが、時間の流れの中の糸は張れなかった悲劇。

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2010/10/30

パーカッションに国境はない

 私が勤務している学校で、地元の音楽家を招いての音楽の特別授業があった。キューバ出身のパーカッション奏者だというので、ラテン音楽好きとしてはこれは聞きに行かなくてはと、授業見学した。やってきたのは、ファン・カルロス・ロペスさんという方で、ラテン音楽で使われる打楽器をほぼ全種類もちこんで、楽器の解説と演奏(もっと聞きたかった!!)を行った。こんなすごい人がなんで沼津にいるんだろう? と疑問に思い、さらに、その演奏からオルケスタ・デラルスにいた大儀見元のことを連想し、インターネットで検索したら、ファン・カルロスさんは大儀見元のバンド、サルサスィンゴサに参加していて、CDも出ている! さっそく、amazonに注文して「スィンゴサンド・ライブ・アット・クロコダイル」「アキセプエデ」を手に入れた。う~ん、コンサートで聞きたいぞ!

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2010/05/15

ウォーキングより歩く

 アマゾンからのお知らせメールで、「ライアン・ラーキン 路上に咲いたアニメーション コレクターズ・エディション」を思わず買ってしまった。アマゾンからのこんなのどうでしょうなどというお知らせはお節介だ、などと通常は思っていて、今まで一度も反応なんかしたことなかったのに。ラーキンだからこその反応である。その昔の大学時代、アニメーションの自主制作に手を染めていた頃、自分一人で作った完全に個人製作のアニメは、明らかにラーキンの影響下にあったと、その頃はあまり意識していなかったが、今では強くそう思うのである。

 ラーキンの作品はカナダ大使館のフィルムライブラリー、そして、そこから委託された静岡県立中央図書館から借りて見たものだったが、その当時のリスト掲載のタイトルと違っている2作の邦題(「シランクス」は「シリンクス」、「ウォーキング」は「歩く」だった)には、ちょっと違和感がある。

 大学時代、ラーキンの「ストリート・ミュージック」に触発されて「トランスフォーメーション」というメタモルフォーゼでイメージを繋いでいくアニメを作ったのだったが、このラーキン作品集のDVDを発売している会社名がトランスフォーマーだという妙な暗合に、このDVDは買わねばならない定めであった、と思ってしまった。

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