2024/06/01

指先から宇宙まで 素晴らしき短編アニメーションの世界

 昨日夜、スキマシネマの「指先から宇宙まで 素晴らしき短編アニメーションの世界」の上映会に行ってきた。雨のため、商店街での大スクリーンの野外上映ではなく、ビル内の小さいオフィスでの上映になって島ttのが残念。名前は知っているけど、作品をほとんど見たことがなかった作家の作品が見られ、アニメーションはやっぱり動きだなと思う。次回は7/5に「ペルリンプスと秘密の森」を上映するということで、これも楽しみ。

 上映された作品は、「コントロール・ユア・エモーション」クリス・サリバン、「不安な体」水尻自子、「I'm late」冠木佐和、「半島の鳥」和田淳、「ETERNITY」水江未来の5本。サリバンの作品は制作中の長編The Orbit of Minor Satelliteの冒頭の1章とのこと。完成した長編を早く見たい。「不安な体」は、ささくれがむけると痛そうと思ったら、むけた瞬間に終わったので痛みの感覚が後を引かなかったのがいい。冠木作品の内容は衝撃的であるが、絵的には一定の抑制があるので、1日たって思い返すと案外映像が出てこない。「半島の鳥」はタイトルからある国のことを連想してしまったが、日本のどこからしく(あるいは、どこでも)、連想した国とは全く無関係であった。アニメーションの緩急が心地良い。「ETERNITY」は、水江版スターゲート。トーラス宇宙の重力理論はどうなるのだろう、などと考えてしまった。

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2022/08/06

もう一つのベティさん

 だいぶ前にThunderBeanからでた'THE OTHER BETTY BOOP CARTOONS VOLUME1'をやっと見終わった。フィルムが失われて見ることができない作品とされてきたHonest Love and True(1938)が収録されているのが、このディスクの一番の売り。このフィルムは、フランス語のタイトルがついているがサウンドは英語というもの。解説書はついていないし、ディスクの中に資料みたいなものも収録されていない。このBDについて検索したら、CARTOON RESEARCHの記事が見つかり、この記事には、

 The film appearing on this set is courtesy of film hero David Gerstein for finding the print and Serge Bromberg for being able to attain it and scan it for the set. (このフィルムは、フィルム発掘人のDavid Gersteinがプリントを見つけてくれたおかげで、Serge Brombergがプリントを手に入れられてデータ化できた)

と書かれている。残念ながら、それ以上の情報はない。
 私自身としては、18本の中では、Grammpy's Indoor Outing が立体背景が効果的に使われていて一番面白かった。Pudgy Picks a Fight! は、ベティさんが最初と最後にしか出てこず、ベティさんのセクシィな踊りが見れないのは駄作、と昔なら思っただろうが、今回見たら、パジィの大変なことしちゃったどう取り返そうという、健気な演技に作画が素晴らしく、かわいいので、パジィ主演作だと思えば傑作である、と感じ入ってしまったのであった。

 ちなみに、Olive FilmsのTHE ESSENTIAL COLLECTIONとの作品のダブりはない。

 

収録作品
1 Betty Boop’s Ker-Choo(1933)「ベティの自動車競走」
2 Betty Boop’s Crazy Inventions(1933)「ベティの発明博覧会」
3 Is My Palm Read?(1933)「ベティの運命判断」
4 Betty in Blunderland(1934)「ベティの鏡の国訪問」『間違いだらけの国』
5 No! No! 1000 Times No!(1935)「ベティの空中騒動」『ベティの愛の勝利』
6 Betty Boop and Grampy(1935)「ベティとグランピィ」『グランピーの家に行くのさ』
7 Henry, The Funniest Living American(1935)「ベティの悪戯小僧」(宝島社も同じ)
8 Betty Boop and the Little King(1936)「ベティと小さな王様」『ベティとリトルキング』
9 Betty Boop and Little Jimmy(1936)「ベティとあわて者」『ベティのダイエット』
10 Happy You and Merry Me(1936)
11 Grampy’s Indoor Outing(1936)「ベティの室内遠足」
12 Be Human(1936)「ベティの動物愛護」
13 House Cleaning Blues(1937)「ベティのお掃除」
14 Pudgy Picks a Fight!(1937)「ベティの銀狐騒動」
15 Ding Dong Doggie(1937)「ベティの消防犬」
16 Honest Love and True(1938)
17 Musical Mountineers(1939)『ベティと陽気な音楽隊』
18 Rhythm on the Reservation

 

「  」は「ベティ・ブープ伝」(筒井康隆)、『  』は宝島社のDVD‐BOXの邦題

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2021/03/15

熱海に行くなら、怪獣映画祭

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  COVID-19のために昨年11月から延期になっていた第3回熱海怪獣映画祭に、13日(土)、行ってきた。当日は、風雨がひどくなるという天気予報だったが、出かけるときにはまだ雨がほとんど降っておらず、帰るときには予報通り晴れて、熱海駅~会場の移動時に大変な思いをすることなくすんだのが、まずよかった。12時30分からの「怪獣の日」「装甲巨人ガンボット」と15時からの「全国自主怪獣映画選手権熱海傑作選2021」を見る、ということで、昼食を余裕をもって食べられるようにと11時過ぎには熱海駅に着いた。で、今まで気になっていて一度も入ったことがなかった喫茶店ボンネットに行こうと店の前まで来たら「本日休業」。一都三県の警戒宣言は延長になった割に観光客がいるなあと思いつつ、結局は前回も食べた洋食の宝亭に行き昼食。上映時間にはまだ間があるので、食後のコーヒーを喫茶店でと、路地を歩いて行ってジャズ喫茶ゆしまという店を見つけ入る。こんなところにジャズ喫茶があるんだと扉を開けた。JBLのスピーカーから自分の家ではなかなか聞けない音量で、ジャズが流れている。しばらく聞いていると、ビル・エバンスのライブの録音のようだということがわかる。この店を見つけたことは、自分にとって、怪獣映画祭に出かけたことによる予想外の収穫。
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「怪獣の日」
 東日本大震災(原発事故を含む)からの直接の影響を感じて「シン・ゴジラ」を見てそうなったのかなと思ったら、「シン・ゴジラ」より前に作られたということでちょっと驚いた。上映後に登壇した中川監督への質問の最後に、会場に来ていた樋口真嗣監督から、「シン・ゴジラ」との時系列をきちんと主張した方がいいよという趣旨の発言が出たのが、良かった。
 怪獣の死体と思われるものが漂着した静岡県の浜江町の対応を描いた作品(ロケ地の海岸は伊豆っぽいけどどこだろうと思い、主人公の運転するスズキ・スイフトのナンバーは沼津ナンバーのように見えた)。怪獣は基本「死体」なので海岸に横たわっているだけで、この処理をどうするかということなのだけれど、海洋巨大生物の若手研究者が死んでる確証はないとして、生きている確証がないから死体として処理しようとする行政の意を汲んだ主任教授と対立するという展開。若い監督の作品なので、脚本のつめが少し甘いかなと思うけれど、「シン・ゴジラ」の先取りとして面白いと思う。
「装甲巨人ガンボット」
 川北紘一監督(本編の演出は大森一樹)が大阪芸大で撮った遺作。宇宙からやってきた巨大ロボ、デスレッドが大阪を襲い、急遽災害救助用ロボを改造したガンボットで対抗するという話。冒頭のシーンで、空を横切る正体不明の飛行物体に対して「あれはなんだ」と叫ぶ人物のアップで、同じセリフを繰り返していた我らが「源氏戦隊ゲンジマン」を思い出し、一人笑いしてしまった。このセリフは、かつての怪獣映画の定番セリフなんで、そういうことを意識してのシーン(その後も何箇所かで同じようなセリフが入る)だと思うが、まさか「源氏戦隊ゲンジマン」を知っていてやっていないよね(その昔、アニメ総会解散後に、当時大芸大の学生であった今ではとっても有名になってしまった人を含む関西のアニメ特撮ファンに囲まれ、「ゲンジマン」面白かったですよ、あれやってくださいとリクエストされてK氏が「あれはなんだ~」と空を指さして叫んだ、というできごとを私は覚えている)。
 デスレッドをあやつる宇宙人に殲滅させられた宇宙人が発した警告(対抗手段も含む)を親子孫三代かけてやっと解読したと思ったら、デスレッドがやってきてしまった、という設定が面白い。この作品、いくらでも続編ができそうなんだけど作られていないのかな。
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「全国自主怪獣映画選手権熱海傑作選2021」
 上映作品は、「県立武蔵野魔法高校にんきもの部ドラゴン狩り物語」「新モモトラマン2019」「惨殺巨獣バリギュラー」「リトル」「UNFIX 2021春の特別総集編」の5作品。最後の田口監督の作品は、町内会の会合があって6時までには家に帰らねばならなかったので、2/3くらい見たところでタイムアップ、やむを得ず会場を後にした。
 この中で特に面白かったのは最初の2つ。どちらもすごい特撮はしてないけれど笑える話になっていて、実際、会場全体が笑いの渦につつまれました。「県立武蔵野魔法高校にんきもの部ドラゴン狩り物語」は「ハリーポッター」のパロディで30分近い時間飽きさせない展開。「新モモトラマン2019」は、前回見た中で一番面白く感じた、一人で自宅で撮影している作品の田中守監督(田中安全プロレス)の新作で、5分という短さ(自分たちが8ミリフィルムで自主制作をしていた頃は5分という長さは普通で、10分を超えてくると長編だなあ、という感じであった)の中に、特撮映画をどうしても作ってみたかったんだよ~、という思いが凝縮されている。
 「惨殺巨獣バリギュラー」は「ウルトラマン」のギャンゴの話に似ている作品。爆笑2作品のあとではちょっと可哀そうに思う、なかなかのでき。特撮シーンよりも川の中で殴り合いをしているシーンの方に、よく撮った、と感心してしまう。「リトル」は日大芸術学部映画学科の学生の卒業制作。女子大生が小犬くらいの怪獣を見つけて育てていくが・・・という作品。指導教官の手塚昌明監督が怪獣を研究している大学教授ということで出演(声だけだけど)。これもきちんと作られていて好感が持てる。女性を主人公にした作品であるのがいい。
 前回より観客が多かった(ほぼ満席)ので、前回の話が伝わって見に来る人が増えたのかな。そうであるなら、とても良いことだ。自主制作を見せあい、作者同士、あるいは、作者と観客が交流する場がある、というのは次世代のクリエイターを生み出す場として大事だと思う。そういう意味でも、この企画がある熱海怪獣映画祭が末永く継続していってほしいなあ。

 

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2020/04/12

図書館で見つけた「クレイアニメの世界」DVD

 先日家人と沼津市立図書館に出かけ、家人がCDを借りたいということで探している間、同じフロアの並びにあるDVDに何かあるかな、と見ていたら、「クレイアニメの世界 CLAY ANIMATION」というタイトルの、素っ気無いパッケージのDVDを見つけた。手に取って収録作品を見てびっくり。聞いたことのないジョセフ・サンJoseph Sunnという監督による1926年の黒白サイレント3作品のタイトルが書かれていた。DVD制作発売会社名は、株式会社 モーションプロ、この会社の住所とホームページのURLも書かれていて、図書館用との表示もあり。このホームページを見てみると、アメリカで出ているパブリック・ドメイン作品を輸入して字幕を付けて主に図書館に向けて販売している会社らしい。ホームセンターなんかで安売りしているパブリック・ドメインDVDと同様のタイトルがリストにある。アニメーションもたくさんあって、こんなものまであるんだという多彩さ。でもこのリストにはなぜかこの「クレイアニメの世界」は載っていない。16mmフィルムも扱っているようだ(価格はこの値段で買う人がいるのかと思うくらい高い)。

 収録作品

1:緑の牧草地 GREEN PASTURES 5分38秒
 最初に写るタイトルに、Plastic Art Productions/presents/RALPH WOLFE'S/MUD STUFF/ in /"GREEN PASTURES"/photgraphed by Joseph Sunn/Copyright 1926(/は改行)とでる。Jingle Bones(字幕では、なぜか、シングル・ボーンズ)という馬が草を食んでいるとハチがやってきて・・・という話。他の作品もそうだが、足に膝関節がなく、ほとんどのシーンで歩くというより横滑りで動いていく。ハチが動かない寝ている馬の周りを飛び回るシーンは、コマ撮りでなくハチを吊るして操演して撮っているようだ(動きがぶれているので)。ガンビーの先祖のようだ。

2:闘牛万歳 LONG LIVE THE BULL 14分32秒
 この作品の最初に出るタイトルは、Plastic Art Productions/presents/RALPH WOLFE'S/MUD STUFF/Copyright 1926 のみで2枚目に作品タイトル、LONG LIVE/ THE /BULL!、3枚目に Animation and Photography/ by /JOSEPH SUNN/Titles/ by /SYL MacDOWELL とでる。バルセロのボローニャBologna というギター弾き語りの青年が、愛の歌を捧げた女性から闘牛で牛を倒したら・・・と言われて闘牛場で牡牛と戦うという話。女性の許諾を得たい青年は一計を案じ、戦う前夜に牡牛と取引して自分が勝つ約束をするが、闘牛が始まると牡牛がその約束を守らずボローニャを完膚なきまでに叩き潰そうとする。さて、主人公の命運はいかに・・・この辺りポパイ的な展開(ほうれん草にあたる最終武器もある)で、容易に予想されるようにハッピーエンドである。闘牛場での戦いに色々ギャグが仕込まれている。今の目から見ると、どうしても技術的な未成熟さの方に注意が行ってしまうが、かなり健闘している。
 作画アニメーションで音符や涙などが白抜きでオーバーラップされるという特殊効果を時々使っている(次作でも同様)。

3:ペンギン(ペンワイパー)THE PENWIPER  3分52秒
 この作品の最初に出るタイトルは、Plastic Art Productions/presents/RALPH WOLFE'S/SCRAMBLED NATURE STUDIES/Copyright 1926 で、2枚目に、The "PENWIPER" である。二つの卵を温めているペンギンの前に、原始人みたいな風貌の人間が現れるが、途中でオーバーラップでペンギンに変身する。どうもこの変身したペンギンが父親のようだ。これぞ粘土アニメというメタモルフォーゼで卵がかえり、2羽の子ペンギンになる。ピングーの祖先のようだ。

 ジョセフ・サンJoseph SunnについてWEB検索してみたが、上記3作についての記述が見つかるだけで経歴などはよくわからない。黒白サイレント期の粘土アニメというとフライシャーの "MODELING"(1921年)、あるいは、その後の Kinex の "Snap the Gingerbread Man : THE WITCH'S CAT"(1929)という作品の一部に使われていたのが記憶にある。ああ、それからチャーリー・ボワーズも使ってたと思う。この時期のアメリカのストップ・モーションというと、ウイリス・オブライエンだが、これらの製作者たちの間にはどのような関係があったのだろう?
 

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2017/02/23

思っていたより音がいい

 リビングで9年間使っていた液晶テレビ、シャープのアクオス32型が突然故障し、映らなくなった。それで急遽テレビを買い替えた。ちょっと大きくしても消費電力は故障したものの半分以下ということで、ソニーにするか迷ったが、値引きの大きかった同じアクオスの40型にした。フルハイビジョンになったので画質は良くなったが、スピーカーが背面についているため、我慢できない音質である。
 テレビの両側にはステレオのスピーカーを置いてあり、LDやDVDで映画を見る時にはステレオから音を出していたのだが、こちらも実は数年前から右チャンネルの音が出なくなっていて使用していなかった。そのため、テレビが故障しなければステレオのアンプとスピーカーを新しくすることを前々から考えていた。
 この両者を一挙に解決する策として、AVアンプとそれに合ったスピーカーを導入することにし、家族の了承も得た。AVアンプという選択になったのは、アナログ接続しかないケーブルテレビのセットトップボックスと、まだ現役で使っているLDプレーヤーとをつなぎたかったからだ(新しく買ったアクオスにはアナログ入力は一系統のみ)。
 近くの電気量販店にはこのようなものを取り扱っている店はなく、できるだけ安くそろえたかったので、ネット通販で買うことにした。試聴できないというリスクはあるが、価格.comやステレオサウンド誌のHPを参考にして、DENONのAVR-X2300WにJBLのSTUDIO270を選び、amazonが案外安いことがわかって購入した。
 その昔サラウンドプロセッサーにつないでいたが、20年以上使っていなかったDIATONE DS-103Vを復活させて、フロント2本サラウンド2本のスピーカーシステムにした。サラウンドのチェックに「スターウォーズ フォースの覚醒」のブルーレイをかけてみた。当たり前だが、昔のサラウンドとは比べ物にならない迫力である。
 ステレオとしては、このシステムはどうだろうと、ビル・エバンスとマイルス・デイビスのCDをかけてみた。これが思っていた以上に、ジャズ喫茶的サウンドで心地よい。これはJBLのスピーカーによるところ大であろう。自分の選択に大満足である。さらにヴォーカルとして「堀江美都子 レア・グルーブ・トラックス」をかけた。これも及第点以上である。問題はクラシックだが、こちらは流石に大満足のレベルには達しないが、ハーマン・カードンと合体してから作られた新生JBLのスピーカーであるためか、そこそこ聞ける、及第点をつけられるレベルである。

 というわけで、試聴しないというリスキーな行為をしたわけであるが、結果オーライである。ハイレゾ対応でインターネットラジオも聞けるようになったのも嬉しい。

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2016/05/08

UB IWERKS' WILLE WHOPPER

 ThunderBeanから発売されたアブ・アイワークスの1933~34年作のウィリー・フーパーシリーズのブルーレイ・ディスクを入手。8mmフィルムを直輸入している頃一番信頼できる業者としてたびたび利用したことがあるBlackhawk Filmsのタイトルも出てきて、懐かしく感じた。アイワークスの作品では、日本でもパブリック・ドメイン物でコミカラー・シリーズが見れるし、カエルのフリップは'Spooks'をBlackhawk Filmsから買って所有している.。このシリーズは初見。本国でも多分初めての発売であろう。
 ディズニー・プロをやめた後、パット・パワーズと契約してMGMから配給された作品である。白人少年のウィリーが主人公で、俺はこういうことしたんだぜ、という一種のホラ話シリーズである(夢オチみたいなもの)。ウィリーのキャラデザインは一貫せず、4作目以降かなり太った少年になってしまうが、このデザインが変わた4作目までが面白い。5,6作目はカラー作品であり、海賊デイビー・ジョーンズや地獄の赤鬼などが登場してそれなりに力を入れて作られているのがわかる。アニメーターとしてグリム・ナトウィック、音楽としてカール・ストーリングが参加している作品がある。ナトウィックが参加している作品は作画のレベルが高くなっているのがわかるが、後期作品ではそれ以外にほとんど見どころがなかったりする。後期作品でそれ以外に見るべきところがあるとすれば、マルチプレーンを使用していることである。シリーズの初期作品が面白く感じられる理由の一つに、ベティ・ブープ的な動きが妙にエロいおねーさんが登場することが挙げられる。

作品リスト
1 The Air Race(飛行機競争) 1933 MGMからは公開されなかった作品。
2 Play Ball(プレー・ボール) 1933 べーブルース登場。
3 Spite Flight(意地悪飛行) 1933 1のリメイク版。
4 Stratos-Fear(成層圏の恐怖)1933 これが私のベスト1、SFである。
5 Davy Jones'Locker(デイビー・ジョーンズの戸棚)1933 カラー。
6 Hell's Fire(地獄の炎)   1934 カラー。
7 Robin Hood Jr(ロビン・フッド・ジュニア)1934
8 Insultin'the Sultan(対決!サルタン)1934 いわゆる「土人」多数登場。
9 Reducing Creme(やせ軟膏) 1934 パン屋の夫婦のダンスシーンが面白い。
10 Rassling Round(レスリング)1934 レスリングの試合に出る靴磨きのウィリー。
11 The Cave Man(洞窟人)   1934 ターザンである。
12 Jungle Jitters(ジャングルの恐怖) 1934 ベティ・ブープみたいな原住民の娘。
13 The Good Scout(善きボーイスカウト)1934 一日一善の発表。
14 Viva Willie(ウィリー、バンザイ)  1934 西部のウィリー。

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2015/09/23

アメリカ漫画映画のルーツ

 Tom Stathes' CARTOONS ON FILM から発売されているブルーレイ/DVDコンボ「CARTOON ROOTS」を手に入れた(収録作品は以下の通り)。アメリカのアニメーションの初期の作品群なのでもともとのフィルムの状態が良いわけでなく、不明だったプリントを探し出してきて修復したものもあり、ブルーレイではあるが画質の限界は仕方がない。その後のアメリカのアニメーション、カートゥーンの世界でビッグネームとなる作者たちの初期作品が一同に見られるのは貴重であるし、時代時代でカートゥーンの人気キャラクターが何であったかを同時代の別キャラクターの作品で再認識することができるのも面白い。

BEGINNINGS AND PIONEERS
1 LIGHTNING SKETCHES 1907 A Vitagraph production directed by J.Stuart Blackton
2 CARTOON ON TOUR 1915 An Edison production directed by Raoul Barre with animation by Bill Norlan
3 COL.HEEZALIAR,DETECTIVE 1923 A Bray Studios production directed by Vernon Stalling
4 BOBBY BUMPS STARTS TO SCHOOL 1917 A Paramount/Bray Studios production directed by Earl Hurd
5 THE CIRCUS 1920 A Goldwyn/Bray Studios production supervised by Max Fleisher and directed by Dave Fleisher
6 THE JOLLY ROUNDERS 1923 A Fable Studio production directed by Paul Terry

CLASSIC CHARACTERS
7 FIREMAN SAVE MY CHILD 1919 A William Fox production directed by Charles Bowers and Raoul Barre with animation by Dick Humer
8 THE BOMB IDEA 1920 A Goldwyn/Bray Studios production directed by Vernon Stalling with animation by Walter Lantz
9 FELIX COMES BACK 1922 An M.J.Winkler/Pat Sullivan production directed by Otto Messmer
10 SPRING TIME 1923 A Fable Studio production directed by Paul Terry
11 SCENTS AND NONSENENSE 1926 An M.J.Winkler production directed by Bill Nolan with animation by Jack King
12 LOST AND FOUND 1926 A Bray Studios production directed by Walter Lantz

SOUND RARITIES
13 HOT-TOE MOLLIE 1930 A Romer Grey Pictures,Inc.production animated by Robert & Tom McKimson,Preston Blair and Cal Dalton
14 THE MILKMAN 1930 An RKO Radio Pictures/Winkler Pictures production directed by Dick Huemer and Sid marcus with Art Davis
15 THE FARMERRETTE 1932 An RKO Radio Pictures/Van Beuren Corp.production directed by John Foster and Harry Bailey


 1のブラクトンの作品は、その昔、最初のアニメーションの1つと呼ばれるHUMOROUS PHASES OF FUNNY FACES(1906)と混同されていて、 全然アニメーションがない、と日本の初期のアニメファンの間で話題になったことがある。自分が本当のHUMOROUS PHASES OF FUNNY FACESの8ミリフィルムを輸入していろいろな方々に見せて決着が付いたのは1980年頃。
 6のポール・テリーの作品はイソップ物語のシリーズだが、子ども向けの教訓話ではなく、夜遊びしまくるカバの亭主とその妻の大人な話でシリーズ中の異色作。
 12のウォルター・ランツの作品がこの作品集の中の白眉かもしれない。5の道化師ココの作品のように実写で漫画家ランツ(だと思う)が登場して、ディンキーというキャラクターと共に悪漢にさらわれた美女を助け出す、という話。この美女がカートゥーン的でないリアルなプロポーションでミニのタイトスカートを履いて逃げ回るというアダルトなアニメートにびっくりしたのである。
 もう一つの注目作品は、13である。ワーナー漫画の中心スタッフとして活躍することになるマッキンソン兄弟にプレストン・ブレア、カル・ダルトンなどそうそうたるメンバーの最初期の作品である。14と同様に当時のミッキーマウス人気にあやかった作品である。動物たちのちょっと不思議なダンスのシーンは、やっぱりブレア(「ファンタジア」の「時の踊り」でカバにバレーを踊らせたアニメーター)なのか。アメリカ議会図書館にもっともオリジナルに近いプリントがあることを見つけて修復したものだそうだ。
 一方、15のヴァン・ビューレン作品はベティ・ブープ人気にあやかった作品。ヴァン・ビューレンのスタジオはフライシャー・スタジオのそばにあったこともあって、ベティ・ブープの初期の声優をいくつかの作品で起用しているが、本作品の牧場にやってくるベティ風メスネコの声もベティさんの声(Margie Hines)である。

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2014/10/27

ベティ・ブープは音楽だ

 本国のamazonに予約注文していた、Betty Boop essencial collection Vol.4が届いた。予想していたようにベティが白雪姫やシンデレラを演じる作品が収録されていた。でも、日本を訪れる作品はなくて少しがっかり。今回初めて見て面白かったのは、「ベティの漂流記」。典型的な南の島の原住民が出てくるというのも面白さの一端を担っているが、ハワイアン・メロディとポリネシアン・リズムの音楽が心地よいのである。音楽が耳に残るという意味では、ベティさんが愛犬パジィ他の動物たちに音楽を教える「ベティの音楽学校」。検閲のためスカートが長くされたんだけれど、キャラクターデザインは以前よりも肉感的になった「ベティの大尽道楽」は、ガーター・ベルトがミニスカートの裾からチラチラ見えて、扇情的ということではシリーズ中で一番かと思う。
 「不思議の国のベティ」では、シーモア・ネイテルらしいパースの付いたカチッとした作画が目を引く。「ベティのシンデレラ姫」は画質が良いので、2原色カラーだというのが良く分かる。Sally Swingは、サリーという女の子の方が主人公なのだが、まったく、スイングしまくる音楽でかろうじてベティ・シリーズなんだろうなという作品。

1.Stopping the Show 1932年「花形ベティ」
2.Snow White 1933年 「魔法の鏡」
3.Parade of the Wooden Soldiers 1933年 「不思議の国のベティ」
4.She Wronged Him Right 1934年 「ベティの舞台大洪水」
5.Red Hot Mamma 1934年 「ベティの鬼退治」
6.Poor Cinderella 1934年 「ベティのシンデレラ姫」
7.There's Something About a Soldier 1934年 「ベティは軍人がお好き」
8.When My Ship Comes In 1934年 「ベティの大尽道楽」
9.Zula Hula 1937年 「ベティの漂流記」
10.Riding the Rails 1938年 「ベティの地下鉄騒動」
11.The Swing School 1938年 「ベティの音楽学校」
12.Pudgy the Watchman 1938年 「ベティの番犬」
13.Sally Swing 1938年(邦題なし)

*邦題は筒井康隆「ベティ・ブープ伝」による。

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2014/05/18

キャブ、ルイの芸が残された・・・ベティ・ブープDVDvol.3

'BETTY BOOP THE ESSENTIAL COLLECTION VOLUME 3'のDVDがやっと発売になって入手した。この3巻は、ジャズの巨人ルイ・アームストロングやキャブ・キャロウェイとの共演作を中心に集められている。「ベティ・ブープ伝」で筒井康隆も未見と書いている末期作品もなかなか貴重。収録作は以下の通り(邦題は筒井康隆「ベティ・ブープ伝」による)。

1 Minnie the Moocher 1932年「ベティの家出」
2 I'll Be Glad Where You're Dead You Rascal You 1932年「ベティの蛮地探検」
3 Mother Goose Land 1933年「お伽の国訪問」
4 The Old Man of The Mountain 1933年「ベティの山男退治」
5 I Heard 1933年「ベティの炭鉱奇譚」
6 Ha!Ha!Ha! 1934年「ベティの笑へ笑へ」
7 Stop That Noise 1935年「ベティの都落ち」
8 Service with a Smile 1937年「ベティのモダンホテル」
9 The New Deal Show 1937年「ベティのステージ・ショウ」
10 Be Up to Date 1938年「ベティの出張販売」
11 Out of the Inkwell 1938年(「ベティの催眠術」*後述)
12 Pudgy in Thrills and Chills 1938年

 1と4がキャブ・キャロウェイ、2がルイ・アームストロング、5がこの二人よりマイナーだがドン・レッドマンが自身のバンドと共に出演している作品。5の「ベティの炭鉱奇譚」は初めて見た。炭鉱夫の行進は筒井の書いているとおりちょっと面白い。この4本では、やっぱり、「ベティの山男退治」がいい。6はやっぱり、世界のありとあらゆるものが笑い出してそのまま終わってしまうのが凄い。

 7以降の6本は今回初見。

 7は、邦題に「ベティの都落ち」とあるが、実際には都会の喧騒に疲れたベティが田舎に引っ越すが、田舎は田舎でうるさく、同じうるさいなら都会の方がまだ良いという話である。8は、ホテルのクロークのベティさんが客のクレームに困ってグランピーに良いアイディアを出してもらって解決する。このクレームの一つを示すシーンで凄いと思ったギャグが1つある。箪笥の引き出しがどうしても開かなくって業を煮やした客が、箪笥の引き出し以外の部分を「引き出してして」引き出しだけが壁にくっついた状態になっているところに着替えを入れ、引き出し以外のすべてを元に戻した、というものである。

 9も「ベティのステージ・ショウ」とあるが、このステージ・ショウはペット用品ショウであって、ベティさんが色っぽく歌い踊るわけではない。グランピーは出てこないが、グランピーの怪しい発明品みたい、つまりは、実に、発明家でもあったマックス・フライシャーの趣味そのものである。10は、田舎の村に最新の電化製品を売りに来るベティさんのお話。今と同じ形の電気カミソリが出てきて、もうこの時代にこの形であったんだと変なところに感心した。

 さて、11である。「ベティ・ブープ伝」(単行本、初版)のリストでは邦題なしで、本文中でも日本未公開としか触れられていない。話は、本国のウイキによれば「風と共に去りぬ」でスカーレット・オハラの奴隷役を演じたオスカー・ポークが実写で登場しマックス・フライシャーの仕事部屋を掃除するのだが、催眠術の本を参考に画用紙上に描かれたベティに術をかけて騒動になるというものである。「ベティ・ブープ伝」のリストではこの作品の1行上に、Honest Love And Trueの邦題として「ベティの催眠術」となっている。Honest Love And Trueの本文中の紹介では、田舎芝居に出演する、となっている。また、本国のウイキでは、なんとこの作品はフィルムが失われており、残された断片や記録から、ベティさんが田舎で落ちぶれた歌手を演じている、となっている。つまり、こちらの作品には催眠術は出てこないようなのだ。ということで、11が「ベティの催眠術」として日本公開されたのではないか、と思うのである。

 12はベティ・ブープが妙に背が高くなっていてプロポーションが普通の人間のキャラに近い。愛犬パジイを連れてクリスマス休暇で雪山に出かけるベティさん。氷が張った池でスケートをするベティさん。スケート靴を履くところで見せる脚線美がこの時代の割には色っぽいベティさん。このスケートのシーンがロトスコープで作画されているのがよく分かる。つまり、本作のベティさんのプロポーションが通常よりも上下に引き伸ばされていたのは、ロトスコープ使用のためだったのだ。

 この3巻で一番残念だったのが、外箱がなかったこと。1,2巻は外箱があって、その背に全巻集めるとベティさんの顔が完成するというデザインだったので、顔が完成しないのだ。4巻の案内もまだない。この4巻にはあれが入っていないとおかしいぞ、と思いながら待っている。

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2013/09/07

ベティ・ブープの結婚

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 ベティ・ブープの決定版ともいえるDVD(ブルーレイもあり)がついに出た。OliveFilmsによる4Kリマスター版「BETTY BOOP THE ESSENTIAL COLLECTION」である。VOLUME1と2が発売されていて、amzzon.comに注文したところ、1のみ先に送られてきた。パッケージの箱の裏の説明を読むと4巻出るようだ。1巻に12本入っているので48作品のコレクションとなる。数え間違えていなければ、フライシャーのベティ作品は115本、ポパイのように全作品を収録というのは難しいのか?

 4Kリマスターなので画質はシャープである。比較のために宝島社の「ベティ・ブープDVDBOX」を見てみたら違いは歴然。

 VOLUME1に収録されている作品は次の通り(邦題は筒井康隆「ベティ・ブープ伝」による)。

 Ches Nuts(1932)ベティの将棋合戦
Betty Boop,M.D.(1932)ベティ博士とハイド
Betty Boop's Bamboo Isle(1932)酋長の娘
Betty Boop For President(1932)大統領選挙
Betty Boop's Penthouse(1933)ベティの屋上庭園
Betty Boop's Birthday Party(1933)ベティの誕生日
Betty Boop's May Party(1933)ベティのピクニック
Betty Boop's Halloween Party(1933)ベティのキングコング退治
Betty Boop's Rise To Fame(1934)ベティの出世物語
Betty Boop's Trial(1934)ベティのスピード違反
Betty Boop's Life Guard(1934)ベティの波乗り越えて
The Foxy hunter(1937)ベティの鵞鳥狩り

 最後のThe Foxy hunterは初めて見た。そして、驚くべき発見があった。この作品の本当の主人公は子犬のパジィと少年である。この少年はベティから「リトル・フレディ」と呼ばれており、少年がベティに書き送るメモの署名は「ジュニア」である。フレディというのはベティのボーイフレンドの名前である。ということは、この作品の少年はベティとフレディの子供と考えられる。つまり、ベティさんはフレディと結婚していたのである!初めて知った事実。フレディがかっこいいBetty Boop's Life Guardの後に年代的にだいぶ後になるこの作品を持ってきたセンスはかなり良い。どこにも名前が出てないが、ジェフ・レンバーグあたりがチョイスしていそう。2巻が届くのが楽しみだ。

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