うちの映画祭さい
11月4日の「しずおか映画祭」の第1,2部に行ってきた。沼津出身の俳優磯村勇斗が主催責任者として実現した映画祭である。自分がこの映画祭について知った時には人が集まるのか?と思ったのだが、全然そんなことはなく、開催日のだいぶ前に全席完売し、大ホールが満席である。こんなに満席な状態で映画を見るのはいつぶりか?参加して思うのは、日本の映画界が抱える問題を考えることができたこと。第1部で、原田眞人監督「わが母の記」が上映されたのだが、上映後のトークの時に、始めて見た人は、という質問に対して会場の半分近くの人が手を挙げたことがそのきっかけだ。地元出身の監督が、地元にゆかりの深い作家を主人公にして、地元ロケをした作品なのに、こんなに見られてないのか、である(第3部の「さかなのこ」も同様だったようだ)。どうも来ている人の多くは、映画ファンというより、磯村勇斗のファン、地元後援者であるようだ。逆に言えば、こういう機会に良い映画に触れて映画をもっと見るようになってくれればいい、ということでいえば、この映画祭は大成功であったと言えるだろう。ちなみに、同日に時間的にかぶる形で「沼津めぐる映画祭」という自主制作の短編作品を集めたイベントもあり、映画ファンのあたり人たちはこちらの方に参加していたように思える。
映画祭のもう一つの意義として沼津の「おまち」の賑わいを作り出すということがあり、会場の文化センター入り口前の広場に、飲食店の出店が並んでいて、ここだけを目当てにした人たちもたくさん来ていた。そのため、短い休憩時間に昼食を取ろうとしたが、ここでは落ち着いて食べられそうにないと、諦めてしまった。映画祭に遠くから来た人もいたようで、その人たちはここで沼津のうまいものを飲食できたのだろうか?と思ってしまう。こういうイベントには人が出てくるのだが、普段の街に人が来ないというのが問題であろう。駅北に住む自分が沼津の駅南の商店街に行かなくなったのは、映画館がなくなってしまった、というのが最後の一押しだった。そういう人は多くはなさそうだが、映画のついでに街をぶらぶらしてみたら面白い店を見つけたなどという出会いの機会を減らしていることは確かだ。こういう映画祭も、本当なら、昔あった文化劇場とかスカラ座とかの街中の映画館を会場にして行われる方が良いだろう(文化センターは街中からは少し離れている)。中心市街地の再開発の計画が進展しているようだけれど、その中に、映画館の復活は入っているのだろうか?
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