今年もCS映画の日々
今年もCSの映画チャンネルで、見たかった映画、今に至るまで見落としていた映画(その最たるものは「チャイナ・シンドローム」「JAWS/ジョーズ」「ミッドナイト・エクスプレス」「二十四の瞳」)、ビデオ化されていない古い邦画、などなど昨年ほどではないが200本ほど見た。その中でも一番印象に残っているのは、シュヴァンクマイエルの「オテサーネク」である。見ていてどちらかといえば このような表現は好きではない、と思った作品だが、それゆえに記憶に残っているのである。シュヴァンクマイエル作であるが、アニメーションのシーンは他の作品に比べて少ない。チェコの昔話をディストピアSF風の設定で映像化した作品であった。
自分好みの作品では、マチアス・マルジウ監督「マーメイド・イン・パリ」ウェス・アンダーソン監督「ムーンライズ・キングダム」ヨナス・アレクサンダー・アーンビー監督「獣は月夜に夢を見る」がベスト3。
劇場公開時に見に行きたいと思ったが見に行かなかった作品では、ミカ・カウリスマキ監督「世界で一番しあわせな食堂」が一番で、劇場に見に行くべきだったと強く後悔した。インド映画の「きっと、またあえる」がその次。アニメでは「漁港の肉子ちゃん」。プロデューサーがあの人なので・・・という躊躇はすべきでなかったと反省。見たかったのに突如劇場公開がキャンセルされてネット配信だけになったディズニーの「ソウルフル・ワールド」はディズニー・プラスで見たが、期待したとおりの面白い作品で、劇場の大スクリーンで見たかった。
エリック・ロメールやゴダールの特集放送も見た。前者では、「海辺のポーリーヌ」の原型みたいな「クレールの膝」、大人になったポーリーヌの物語のような「夏物語」がいい。後者では、「女は女である」(以前見たことがあったのに、ほとんど覚えていなかった)、「恋人のいる時間」の2作。ジャン=ポール・ベルモンド主演作品もかなりの数見た。「ルパン3世」(第1シリーズ)の元ネタだよなと思う。その中では、やはり「カトマンズの男」が一番面白かった。チャールズ・ブロンソン主演のフランス映画「さらば友よ」(これもまた「ルパン3世」の元ネタらしい)「雨の訪問者」も面白く見た。それから、特集ものではカール・ドライヤーも見たのであるが、その中では「裁かるゝジャンヌ」「奇跡」が心に残る。
ドキュメンタリーも何本か見た。その中では、ケニアの小学生のおばあさんを追った「GOGO(ゴゴ)94歳の小学生」が良かった。スタンリー・キューブリックに仕えた二人の知られざる男についての「キューブリックに愛された男」「キューブリックに魅せられた男」の2作は、キューブリックが実際にどのような人物であったがよくわかる貴重な作品だった。この二人の男はキューブリックの遺作「アイズ・ワイド・シャット」に出演しているという。この二人の献身へのキューブリックなりの感謝の意の表明のようだ。
古い日本映画では、鈴木清順監督の「無鉄砲大将」三隈研次監督「座頭市物語」衣笠貞之助監督「女優」など。千葉真一追悼で「カミカゼ野郎 真昼の決斗」が見れたのがラッキー。野村芳太郎監督「チンチン55号ぶっ飛ばせ!!出発進行」はコント55号主演の人情ラブコメだが、歌謡映画の要素もあって、今陽子と皆川おさむでデュエットする「黒猫のタンゴ」のシーンに驚いた。「泥棒さん、わたしの心を盗んでください」という愛の告白の台詞に「ルパン3世 カリオストロの城」のラストシーンを思わず連想してしまった。銭形の名セリフのルーツか、と思う。
海外アニメーションでは、カルロス・サルダーニャ監督の「ブルー初めての空へ」。ブラジルの長編アニメが見られるというのはそれだけで貴重。続編の「ブルー2 トロピカル・アドベンチャー」も見れた。リオデジャネイロが舞台なので、「リオの男」に出てくる山へ登っていく路面電車が出てくる。SF映画は今年はそれほどたくさん見なかった。「スノーピアサー」「アンチグラビティ」、ドイツのナチス・ネタのサメ映画「スカイシャーク」あたりが印象に残ったくらい。
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