知られざる天才チャーリー・バワーズの作品群全国上映
この話題についてだいぶツイッターでささやいたら思わぬ反響もあったので、それをまとめてみた(一部改変して追記)。(このブログの以前の記事ではチャーリー・ボワーズと表記してきたけれど、今回の日本で初めての劇場公開の表記に合わせて、バワーズと表記する。)
静岡のサールナートホールでもチャーリー・バワーズ作品が上映されることになったので、40年以上前に同人誌に書いた記事を発掘した。記事を書いた当時は'There It Is'が劇場で見られるようになるなって思わなかった。これを書くことになったのは、アメリカの8mmフィルム販売会社のカタログの中に'It's a Bird'という聞いたことのないタイトルの実写合成人形アニメという説明の作品を見つけて直輸入し、見てその凄さ面白さにびっくりしたのが始まり。「世界アニメーション映画史」の著者、伴野・望月両氏にもすぐに連絡し見てもらった。その結果、「世界アニメーション映画史」に'It's a Bird'が取り上げられることになった。この同人誌は、編集発行人の友人と自分の二人しか原稿を書いていないのだけれど、他の記事は「ガンダム」を話題にしたものが多くて、1980年だったなあ、と思う。「ファンタスティックコレクション」の表紙・裏表紙をパックったページで挟んで冊子内冊子の形にしたのは他の記事との違和感を減らす工夫。
「バワーズが長生きしていたらアメリカの特撮やアニメに多大な影響を与えていたかも」というツィートを見つけたが、アニメの方ではその影響はあったと考えてよい。ルーニーチューンのロバート・クランペット作品PORKY IN WACKYLAND(1938年)は’It's a Bird'の影響下にあるという指摘が、再評価後ではあるが、されているし、テックス・アヴェリーの「なんでもウメー」の小羊も同作からの影響が感じられる。また、ドルーピーの神出鬼没さは'There It Is'の怪人に似ている。1930年代にバワーズはウォルター・ランツのスタジオで仕事をしていたことがわかったのだが、この頃アヴェリーはランツのスタジオでアニメーターだった。アヴェリー一派は確実にバワーズからもそのギャグ・センスを受け継いでいる、と考えていいと思う。
一方、レイ・ハリーハウゼンの晩年の著作'A Century of Stop Motion Animation'(2008)にはバワーズの作品が取り上げられているが、再評価されてから見たような書き方で、ストップ・モーションの系列の作家には影響が大きくなかった、ということのようだ。ジョージ・パルのパぺトゥーンの影に隠れてしまったのかな。
手の込んだ過程を経て目的が実現される機械群については、ルーブ・ゴールドバーグ → チャーリー・バワーズ → トムとジェリー、ロードランナーとコヨーテ → ピタゴラスイッチ という流れも考えられるなあ。
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