2021年もCS映画の度々
今年も昨年に引き続き、CSの映画チャンネルで多くの作品を見た。なんと今年は220本を超えていた。そんな中で、見た後も消さずに録画を残してあるのは、イルデイコー・エニェディ監督「私の20世紀」、新東宝の3つの短編からなる「恋愛ズバリ講座」、アンドリュー・ニコル監督「TIME/タイム」、ゲンディ・タータコフスキー監督「モンスターホテル」3部作、フィル・ロード&クリストファー・ミラー監督「くもりときどきミートボール」、子ディ・キャメロン&クリス・パーン監督「くもりときどきミートボール2」である(最初から残すつもりで録画した4Kダウンコンバート版の東宝怪獣映画群や「川本喜八郎の世界」「岡本忠成の世界」は除いて)。
「TIME/タイム」はBDが安く売られているのでそれを手に入れたら消してしまうであろうが、まだ買っていない。この作品は未来世界のボニー&クライドみたいな話だが、「俺たちに明日はない」という日本題をニコル監督が知って、それから発想したんではないかと思えてしまう設定であった。こういうSF映画があることを知らないでいたのは不覚であった。「私の20世紀」は世紀末に生まれた双子の姉妹の物語である。テスラが登場する怪しく耽美な雰囲気がいい。「恋愛ズバリ講座」は見た直後に書いたとおりの怪作。アニメの2作というか、個別に数えたら5作は、劇場公開時に見逃してこの機会にまとめて見たら予想以上に楽しく面白かったもの。
地元ではあまり見る機会のない、アメリカや韓国・中国等の国以外の映画では、フィリピンのラヴ・ディアス監督の「立ち去った女」に驚く。4時間に近い長さを音楽も色彩もないのに、その世界に引きずり込まれてしまったのである。フィンランドの「ロッキー」みたいな、これも黒白の「オリ・マキの人生で最も幸せな日」ユホ・クオスマネン監督も印象に残った。ノルウェーの自然災害2部作「THE WAVE/ザ・ウエイブ」「THE QUAKE/ザ・クエイク」が科学的にしっかりできていて、アサイラムの同様な作品の非科学性(これはこれで面白くなる場合もあるが)とご都合主義と対称的で好ましい。ベイルートの住民登録されていない子どもが両親を訴えるという「存在のない子供たち」ラディーン・ラバキー監督も、そのテーマもさることながら、主役の少年の演技に見入ってしまった。
ある監督の作品が特集放映される時があって、今年はまず、アニエス・ヴァルダ監督作を見た。その中では「ラ・ポワント・クールト」が1番面白かった。これは舞台となっている海辺の町そのものの魅力が大きい。この町はクロード・ソーテ監督「夕なぎ」(バンド・デシネの作家が出てくるのに驚いた)でも登場した。サミュエル・フラー監督の「ショック集団」「裸のキッス」も記憶に残る。主演女優のコンスタンス・タワーズが魅力的なのである。
古い邦画もいくつか面白く見れた。「兵隊やくざ」「猫が変じて虎となる」「若い娘がいっぱい」「丹下左膳餘話」。
SFでは、「ホテルアルテミス」「ホーリー・モーターズ」「コンテイジョン」。特に「コンテイジョン」は現在のCOVID-19の状況を予見したかのような映画で、現時点での方が高い評価となった作品だろう。ロシア製のSF映画をだいぶ見たが、その中では、コミックブック的能天気な絢爛豪華さが自分の趣味に合った「コスモボール/COSMOBALL」がベスト1。
| 固定リンク
コメント