図書館で見つけた「クレイアニメの世界」DVD
先日家人と沼津市立図書館に出かけ、家人がCDを借りたいということで探している間、同じフロアの並びにあるDVDに何かあるかな、と見ていたら、「クレイアニメの世界 CLAY ANIMATION」というタイトルの、素っ気無いパッケージのDVDを見つけた。手に取って収録作品を見てびっくり。聞いたことのないジョセフ・サンJoseph Sunnという監督による1926年の黒白サイレント3作品のタイトルが書かれていた。DVD制作発売会社名は、株式会社 モーションプロ、この会社の住所とホームページのURLも書かれていて、図書館用との表示もあり。このホームページを見てみると、アメリカで出ているパブリック・ドメイン作品を輸入して字幕を付けて主に図書館に向けて販売している会社らしい。ホームセンターなんかで安売りしているパブリック・ドメインDVDと同様のタイトルがリストにある。アニメーションもたくさんあって、こんなものまであるんだという多彩さ。でもこのリストにはなぜかこの「クレイアニメの世界」は載っていない。16mmフィルムも扱っているようだ(価格はこの値段で買う人がいるのかと思うくらい高い)。
収録作品
1:緑の牧草地 GREEN PASTURES 5分38秒
最初に写るタイトルに、Plastic Art Productions/presents/RALPH WOLFE'S/MUD STUFF/ in /"GREEN PASTURES"/photgraphed by Joseph Sunn/Copyright 1926(/は改行)とでる。Jingle Bones(字幕では、なぜか、シングル・ボーンズ)という馬が草を食んでいるとハチがやってきて・・・という話。他の作品もそうだが、足に膝関節がなく、ほとんどのシーンで歩くというより横滑りで動いていく。ハチが動かない寝ている馬の周りを飛び回るシーンは、コマ撮りでなくハチを吊るして操演して撮っているようだ(動きがぶれているので)。ガンビーの先祖のようだ。
2:闘牛万歳 LONG LIVE THE BULL 14分32秒
この作品の最初に出るタイトルは、Plastic Art Productions/presents/RALPH WOLFE'S/MUD STUFF/Copyright 1926 のみで2枚目に作品タイトル、LONG LIVE/ THE /BULL!、3枚目に Animation and Photography/ by /JOSEPH SUNN/Titles/ by /SYL MacDOWELL とでる。バルセロのボローニャBologna というギター弾き語りの青年が、愛の歌を捧げた女性から闘牛で牛を倒したら・・・と言われて闘牛場で牡牛と戦うという話。女性の許諾を得たい青年は一計を案じ、戦う前夜に牡牛と取引して自分が勝つ約束をするが、闘牛が始まると牡牛がその約束を守らずボローニャを完膚なきまでに叩き潰そうとする。さて、主人公の命運はいかに・・・この辺りポパイ的な展開(ほうれん草にあたる最終武器もある)で、容易に予想されるようにハッピーエンドである。闘牛場での戦いに色々ギャグが仕込まれている。今の目から見ると、どうしても技術的な未成熟さの方に注意が行ってしまうが、かなり健闘している。
作画アニメーションで音符や涙などが白抜きでオーバーラップされるという特殊効果を時々使っている(次作でも同様)。
3:ペンギン(ペンワイパー)THE PENWIPER 3分52秒
この作品の最初に出るタイトルは、Plastic Art Productions/presents/RALPH WOLFE'S/SCRAMBLED NATURE STUDIES/Copyright 1926 で、2枚目に、The "PENWIPER" である。二つの卵を温めているペンギンの前に、原始人みたいな風貌の人間が現れるが、途中でオーバーラップでペンギンに変身する。どうもこの変身したペンギンが父親のようだ。これぞ粘土アニメというメタモルフォーゼで卵がかえり、2羽の子ペンギンになる。ピングーの祖先のようだ。
ジョセフ・サンJoseph SunnについてWEB検索してみたが、上記3作についての記述が見つかるだけで経歴などはよくわからない。黒白サイレント期の粘土アニメというとフライシャーの "MODELING"(1921年)、あるいは、その後の Kinex の "Snap the Gingerbread Man : THE WITCH'S CAT"(1929)という作品の一部に使われていたのが記憶にある。ああ、それからチャーリー・ボワーズも使ってたと思う。この時期のアメリカのストップ・モーションというと、ウイリス・オブライエンだが、これらの製作者たちの間にはどのような関係があったのだろう?
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