ハロウィーンなDVD
1年前に買った輸入版DVD、GROTESQUERIES、についての覚書。
BLUE MOUSE STUDIOというところが製作しているもので、注文がきたら焼いているDVD-Rである。
このDVDを買ったのは、ネット上で見つけたアニメ実写合成のコメディ、FRESH LOBSTER(1928年)を所有したかったからである。この作品は、A Billy Bletcher Hilarity(ビリー・ブレッチャーの大騒ぎ)と副題がつけられたサイレント・コメディである。というのに、音楽が付いていて、調べてみると音楽付きのバージョンが1948年に公開されていて、実際にはこのバージョンのようだ。チャーリー・ボワーズの「イッツ・ア・バード」It’s A Bird(1930年)と並ぶアニメーションと実写コメディを結合した注目作なのである。
男が夜中にお腹が空いて冷蔵庫の中のロブスターを食べて寝たところ、このロブスターがお腹の中で暴れ始め、気がつくとベッドサイドに巨大化したロブスターが・・・という実にB級怪獣映画的なんだけれど、いろいろな特撮技術が使われていて、手描きアニメも合成されている。いったい、誰がこんなに手が込んだ仕事をしたのか?
残念ながらクレジット・タイトルがないので、監督やアニメーションを誰が担当したのか不明である。ネットにあるアメリカ映画のデータベースIMDbには、48年版について、プロデューサーとしてMax AlexanderとHarvey Pergament、音楽としてRex Dunn、撮影としてHarry Forbesの名前が出ている。
確実に分かる本作品の主演者は、声優として、ディズニーの「三匹の子ぶた」の狼や山猫ピートを演じ、ワーナー漫画でも活躍したウイリアム・’ビリー’・ブレッチャーWilliam ‘Billy’ Bletcher(1894年9月24日~1979年1月5日)である。ブレッチャーは1914年のサイレント映画時代からテレビ時代の1971年まで、俳優・声優として数々の作品に出演したコメディアンである。コメディアンとしての最盛期は1920年代で、ユニバーサル映画のサイレント・コメディ・シリーズに主演した。その後「オズの魔法使い」「底抜け大学教授」などの映画、「それいけスマート」などのテレビドラマに出演した。(この経歴はIMDbによる)
この作品以外には、アレクサンドル・アレクセイエフ&クレア・パーカーのピンスクリーンの傑作「禿山の一夜」、オット・メスマーのフェリックス・ザ・キャット作品FELIX WOOS WHOOPEEとSURE-LOCKED HOMES、ヴァン・ビューレンのトムとジェリー(人間キャラクターのもの)のWOT A NIGHTとMAGIC MUMMY(他のDVDで見たことがある)、世界初のアニメーション「愉快な百面相」のブラクトンと同時期にアニメを製作したといわれるセグンド・デ・チョーモンのLE SPECTRE ROUGE(1907年)というメリエス的な作品、ドイツの表現主義映画THE WIZARD'S APPRENTICE(1930年)とFALL OF THE HOUSE OF USHER(1928年)、ギルバート&サリバンの舞台劇の記録映像などが入っている。
いづれもDVDタイトルから分かるようにおどろおどろしい映像、悪夢的な作品である。自分的には「禿山の一夜」が入っていたのがうれしい。
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