インヒアレント・ヴァイス
トマス・ピンチョン原作(LAヴァイス)の映画「インヒアレント・ヴァイス」(ポール・トーマス・アンダーソン監督)のブルーレイがもう出ると知り、予約注文して入手。先日鑑賞。前半、ところどころ居眠り。ビッグフットが日本人シェフの食堂で「もっと、パンケーキ」(バックに坂本九の歌声が流れる)と日本語で叫ぶ辺りから見ているのが面白くなる。劇場で見たかった。ジョイランド沼津があったら上映してくれたと思う。
「インヒアレント・ヴァイス」再見。今度は寝ずに見たが、2時間半連続して見ることは、用事が入ってできず。2度目に見ても、面白いのはロス市警の刑事ビッグフット。What's up,Doc?と言い、チョコバナナを人参のように食べるのはまるでバッグスバニー。原作のカートゥーン(ダフィ・ダックの迷探偵物)的な部分をこれで表現。でも、原作のドタバタ喜劇性は抑えれられていて、フィルムノワールな部分が前面に。これは賢い映画化だと思う。原作は2クールの30分テレビドラマ風の作りで、そのまま映像化したら多分12時間くらいになるので、どこかの要素を捨てないといけない。アンダーソン監督はそこをうまく処理したと思う。
原作は当時の音楽がガンガン流れている感じであるが、この映画は60年代の懐かしい曲が次から次へと聞こえてきそうで、聞こえてこない。当時の音楽は坂本九の「スキヤキ」(上を向いて歩こう)のようにかすかに聞こえているシーンが多い(「ギリガン君SOS」のテーマはどこに使われていたんだ?)。
いかれた歯医者を演じていたのは、マーチン・ショート!この役柄にショートを使ったのは、山椒のようなスパイスだ。
原作の「LAヴァイス」を読んだときにも思ったが、やっぱり映像化されるとロマン・ポランスキー監督ジャック・ニコルソン主演の「チャイナタウン」を強く連想させる。特に夕陽に染まるシーンは。わざとアンダーソン監督がやっている可能性もある。
主役のホアキン・フェニックス、ビッグフットを演じたジョシュ・ブローリン、コーイ・ハリゲンの妻役のジェナ・マローン、昔見た映画の子役だったんだ。ナレーションとショーティレッジを担当したジョアナ・ニーサムが、実は、女優陣で一番気になった。なんと、ハーブ奏者でシンガーソングライターなんだそうだ。どんな曲を演奏してるんだろう。
P.K.ディックの「スキャナー・ダークリー(暗闇のスキャナー)」も思い出させる麻薬中毒者たち。原作にあるSFな部分はばっさりカットされている。「三大怪獣地球最大の決戦」は「ローマの休日」だというのもカット。ただし、ゴジラという単語は最初の方でセリフにある。
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