The Art of Jay Ward(Oxberry Press,2013)
「空飛ぶロッキー君」のジェイ・ウォード・プロダクションについての本が出た。最初、自分がすでに持っているThe Rocky and Bullwinkle Book(Louis chunovic,BANTAM BOOKS,1996年)という本と装丁(カバー)が似ていると感じたため、再販だと思って買わずにいた。ところが、著者が、何十年ぶりかのバックグス・バニーの新作劇場用短編を監督したダレル・ヴァン・サイタースDarrell Van Cittersだと分かって注文した。円安が懐に響くと思ったが、日本円でThe Rocky and Bullwinkle Bookとほぼ同じ金額だった。The Rocky and Bullwinkle Bookを買ったときも今と同じようなレートだったようだ。
この本がいいのは、スタッフの紹介をきちんとしていること。ウォード・プロが最初に「空飛ぶロッキー君」を作ったとき、制作費を低く抑えるためメキシコで実際の製作を行ったのだが、そのメキシコ人のスタッフも紹介しているのだ。
このスタッフ紹介でジェイ・ウォード・プロダクションに日系人のスタッフがいるのを始めて知った。ハンナ・バーベラ・プロのイワオ・タカモト監督(「シャーロットのおくりもの」1973など)の自伝を今読んでいるところなんで、興味を引かれた。タカモトは日系2世で両親とは日本語でコミュニケーションをとっていて日本の両親の実家にも里帰りしているし、第二次大戦中はマンザナの日系人収容所にも入れられた。こういう人間が業界にいながら、大戦後のアニメに描かれていた日本人のステレオタイプはなぜなんだろうと思ってしまう。
ところで、ロッキー君、the flying Squirrel、なんであるが、これを「ムササビ」と解すか文字通り「空飛ぶリス」と解すか、悩む。自分が小さい頃テレビで見ていたときには、ムササビだとは思わなかった。空を飛ぶシーンの絵で、ムササビ特有の前足と後ろ足の間の膜が描かれているようには見えなかったからだ。この本でも見ても、1枚くらいムササビのような膜が見て取れる絵があるだけだ。キャラクター・デザイン表を見る限りはリスでいいんじゃないと思う。また、北米大陸にはムササビはいない。ムササビは日本固有種なのである。ただし、ほとんど同じようなモモンガはいるが、一般的な米国人には、この木から木へと滑空する動物はポピュラーではないと思われる。実際、ロッキー君はスーパーマンのように空を飛んでいる。
ピーボディ博士とシャーマン君は今年CGでリメイク長編が公開される。日本で劇場公開されるんだろうか? 過去のジェイ・ウォード作品の映画化作品(「ジャングル・ジョージ」1997、「ダドリーの大冒険」1999、「ロッキー&ブルウィンクル」2000)は日本ではまるで受けなかったから、まともに公開されそうにないが、ピーボディ博士とシャーマン君は、日本人受けしないウォード・アニメのキャラクターの中ではもっとも日本受けしそうだから、公開したら当たりそうな(内容にもよるが)気もする。
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