地球が売りに出された日・・・ベティ・ブープDVDvol.2
'BETTY BOOP THE ESSENTIAL COLLECTION VOLUME 2'のDVDがやっと届いた。筒井康隆推薦作が目じろ押しという感じのラインアップ。ベティ・ブープ登場作の'Dizzy dishes'はベティさんがもともとビンボーという犬のキャラクターの相手役の雌犬という設定が良くわかる作品。このvol.2では、犬だったベティさんが完全に人間化し独立のシリーズのキャラクターとなっていく過程がよくわかるセレクトになっている。'Betty Boop's Little Pal'「ベティのランデブー」では、ついにペットの犬、パジィを飼うようになる。1934年あたりから、ベティのエログロナンセンスへの風当たりが強くなるのだが、Keep in Style(1934年)「ベティのマネキン嬢」まで、ミニスカート姿は保たれている。
このvol.2の白眉は何といってもBetty Boop's Ups and Downs(1932年)「地球競売」である。実はこの作品、初見である。どういう理由でかはわからぬが、ベティは自分の家を売りに出して故郷を去っていく。売りに出されたのはベティの家だけかと思いきや、周りの家すべて、さらにはアメリカ合衆国までが売りに出され、最後には地球までもが売りに出される。買い取った土星によって地球の引力の源(馬蹄形磁石の形をしている。ニュートンが万有引力の発想を、磁力のアナロジーから得たということを連想させる。)を引き抜かれたため、ゼロ・グラビティとなった世界でベティのスカートはめくれ上がる・・・という展開のいかにもベティ・ブープ・シリーズらしい作品だ。
Betty Boop's Big Boss(1933年)「ベティのタイピスト」も初見。ベティさんの色気にメロメロになった社長のパワハラに困ったベティが助けを求めると陸海空軍が総出動!となったのに、ビルの最上階のオフィスに突入するのは頼りなげな警官2人。展開の整合性など二の次のベティ・ブープ・シリーズの特徴が最大限に出ている。
ベティ・ブープ作品としては退屈すぎるMorning,Noon and Night(1933年)「或る日のベティ」は、シリー・シンフォニー的な作品。カラー・クラシックの自己パロディとも取れるという意味で一見の価値はあり。
1934年の3作はベティ・ブープのキャラクター・デザインの完成形の作品である。キャラクター商品に使われて身の回りで見かけるベティさんはこの時期のものだ。ベティの七変化を、Keep in Style(1934年)「ベティのマネキン嬢」では楽しめるのだ。
収録作品リスト(邦題は筒井康隆「ベティ・ブープ伝」による)
Dizzy dishes(1930年)
Bimbo's Initiation(1931年)「ビン坊の結社加盟」
Boo-Oop-A-Doop(1932年)「曲馬団のベティ」
Betty Boop Limited(1932年)「ベティの旅興行」
Betty Boop's Bizzy Bee(1932年)「商売繁盛」
Betty Boop's Ups and Downs(1932年)「地球競売」
Betty Boop's Museum(1932年)「ベティの博物館見学」
Betty Boop's Big Boss(1933年)「ベティのタイピスト」
Morning,Noon and Night(1933年)「或る日のベティ」
Betty Boop's Little Pal(1934年)「ベティのランデブー」
Betty Boop's Prize Show(1934年)「ベティの勧善懲悪」
Keep in Style(1934年)「ベティのマネキン嬢」
3,4巻が出るはずであるが、amazon.comからは発売の案内はまだ来ない。まだ収録されていないジャズ・ミュージシャン出演作やカラー作品が入ってくることを期待する。
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