上機嫌ウィニー
ティム・バートンの「フランケンウィニー」を見て、気になったことについて幾つか。字幕版でもう一度見て確かめてみたいようなことなど。思いついた順に。
舞台になっている町の名前ニューオランダは、ニューヨークが初めニューアムステルダム、ロングアイランドがニューネーデルランドと呼ばれていたことからつけられた名前だろう。コニーアイランドを思わせるクライマックスの遊園地のシーンは「原子怪獣現わる」だけれど、コニーアイランドもオランダ語から来ている。
理科教員のジクルスキーは、東欧系の名前であるが、これはニコラ・テスラ(セルビア出身)、エドワード・テラーやフォン・ノイマン(ハンガリー出身)、スタニスワフ・ウラム(ポーランド出身)といった学者のイメージの反映だろう。その顔の造形は、バートンが「ヴィンセント」という短編でオマージュを捧げた俳優ヴィンセント・プライスである。
隣の家のエルザ・ヴァン・ヘルシングのエルザという名前は、「フランケンシュタインの花嫁」で怪物の花嫁を演じたエルザ・ランチェスターからだろう。その飼い犬のペルセポネの髪型がこの怪物の花嫁の髪型に変わったときには思わず笑った。ヴァン・ヘルシングは言わずと知れたドラキュラのライヴァルの博士の姓。ハマー・フィルムの「吸血鬼ドラキュラ」(ヴィクターの両親がテレビで見ていた)では、ピーター・カッシングが演じた。
スパーキーを復活させるヴィクターの発明品は「フランケンシュタインの花嫁」そのものである。「フランケンシュタインの花嫁」のこの装置に影響を与えたのは、ニコラ・テスラの高圧放電の公開デモ実験であった。
ヴィクターがスパーキーを怪獣に仕立てて撮った8ミリ映画に、プテラノドンの怪獣が出てくるが、ラドンというよりギャオスみたいと思ったら、後でカメが巨大化して納得。カメの怪獣の一踏みという「バンビ、ゴジラに会う」のようなシーンもある。このシーン付近に、「バンビ」と書かれたテントが映って何だろうとそのとき思ったが、この文章を書き始めて、はたと気が付いた。
8ミリフィルムのムービーカメラから覗いた画面が時々出るが、左側に露出を示す針が+とーの間で微妙に揺れるのが、リアルで、自分が8ミリで映画を作っていたときを思い出させる。ところで、コダックがついに8ミリフィルムの販売をやめ、フジフィルムが映画用のフィルムの供給をやめるというニュースを見た。バートンは映画製作のデジタル化の波に抵抗しているように思える。
日系人の少年トシアキの名はどこから来ているのかと「大怪獣ガメラ」の少年の名前を確かめたら、俊夫だった。
映画の冒頭の方で、50年代SF映画で空飛ぶ円盤の出現のシーンなどによく使われたテルミンの音を再現したような音楽が使われていて、これからそういう映画を見るんだなという気持ちにさせられた。
エドガーは、あるときはフランケンシュタイン博士の助手、また、あるときはドラキュラの召使いとして出てくるイゴールそのもの。この役はベラ・ルゴシなどが演じているが、そのパロディである「ヤング・フランケンシュタイン」のマーティ・フェルドマンの方を連想させる造形だ。
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