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2012/06/14

アニメとプロパガンダ

 カルスティン・ラクヴァ「ミッキー・マウス ディズニーとドイツ」現代思想新社とセバスチャン・ロファ「アニメとプロパガンダ」法政大学出版局を読み終えた。前者は10年近く積読だった。後者のドイツ部分の記述は前者に多くを負っている。前者が後者を生む動機のひとつとなっている気がする。

 ディズニーがミッキーマウスを生み出し、「白雪姫」という長編アニメの冒険が大成功を収めていく時代は、第1次世界大戦後の世界恐慌から第二次世界大戦へと続く時代である。この同時期に台頭したナチスは映画をプロパガンダの最大の手段として使用した。そのナチスの首脳陣たちはディズニーのアニメが大好きだった・・・というのが前者である。
そして、ディズニーもまた反ナチスのプロパガンダ・アニメを作った。私や、私の知る古くからのアニメファンが、というよりディズニーファンが、ドナルド・ダック主演作品のベストの中にヒトラーを揶揄した「総統の顔」を入れている。かのトマス・ピンチョンも「重力の虹」でこの「総統の顔」を引用している。

 後者のロファの本は、全世界に視点を広げて、ドイツやアメリカだけでなく、日本、中国、ロシア、フランス、イギリス、その他のヨーロッパ諸国と、第二次大戦前後でアニメを作っていた国すべてが対象である。アニメーションがプロパガンダのメディアとして大きな力を持つことがわかった時代が、アニメ、特にカートゥーンの黄金時代であったという視点にははっとさせられた。ロファはプロパガンダを狭く限定せずに取り扱っているので、アニメの成立から1950年代までの世界のアニメーション史を概観した記述の方が分量的には多い。特に、ロファの母国フランスの事情が詳しくわかり貴重である。

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