バルネットのレスラーと道化師
バルネット傑作最終作。本日も貸し切りかと思ったが、上映が始まってから2人入ってきて3人。ジョイランド沼津のメンズデーで千円で入れるのにやっと3人というのはちょっと寂しい。もっとも、80年代にも同様の状況はあった。「旅芸人の記録」も今はなき東映パラスで3人位の観客であった。
映画の展開はスピーディで、やはり第二次大戦後(1957年)に制作された作品だなと思う。カラーなのだけれど、青みは完全に抜けていて、いわゆるセピアカラーである。今まで見たバルネット作品に特徴的な自然の風景へのこだわりが余り感じられない。これはこの作品がもともとコンスタンチン・ユージン監督が撮り始めたものをユージンの急死でバルネットが引き継いだということが影響しているのだろう。帝政ロシア末期が舞台だが、途中まで製作年と同時代の話だと勘違いして、「戦艦ポチョムキンの反乱を鎮圧した」というセリフにあれっと思って、時代を完全に勘違いしていたことに気がついた。
実話が元になっているということなので、道化師の役人批判毒舌芸は帝政ロシア時代のものそのままなのだろうけれど、バルネットの真意は、それはそのままソ連の役人への批判ということではないか。また、サーカスは欧米の芸能、エンターテインメントの源流だなとつくづく思う。
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