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2012/05/19

帽子箱を持った少女ーボリス・バルネット傑作選その1

 久しぶりの土日連休で、「ダーク・シャドウ」(現在読書中のトマス・ピンチョンの新作「LAヴァイス」で、オリジナルのテレビ番組への言及がある)でも見に行こうかと、ジョイランドのホームページを見てみたら、ボリス・バルネットなる聞いたことのない映画監督の黒白サイレント映画「帽子箱を持った少女」(1927年作)が上映プログラムの中にある。エイゼンシュテインと同時代のソ連の監督で、日本では90年代に初紹介されて話題になったという。迂闊にも、この90年代の本邦初上映という話題に気づかないできた。とにかく、自主上映でなく、映画館でこのような古典映画が上映されるというのは、沼津では珍しいことなので、「ダーク・シャドウ」は後回しにして、見に行った。

 午前の最初の上映を見に行った。観客は自分ひとりか、という予想もしていたが、自分と同年代くらいの男性客があと2人いた。まあ、ジョイランド沼津で、これは沼津でやるとは思わなかった、見に行かねばという映画では、大抵このくらいの観客しかいなかったので、普通のこと。それで、「帽子箱を持った少女」だが、面白かった。サイレントということだったが、「アーティスト」と同様に音楽と効果音は付いていた。エンドロールの最後に1968年サウンド新版と出た。「或る夜の出来事」を思わせるようなシーン、キートンやチャプリンの影響も見て取れると同時に、雪の中で登場人物が歩くシーンなどでの計算された画面作り、各シーンのつなぎ方が実にハリウッド映画的で、ソ連が成立したばかりの時代に、こんなにモダンなことをやっていたんだと、びっくりしてしまった。話も、部屋を確保するための偽装結婚というアメリカ的シチュエーション・コメディである。かつてミッチェル・ライゼン作品をwowwowで初めて見たときと同じ気持ちになった。こんなに面白い作品を作っていた知られざる(または、忘れられた)監督がいたんだと。

 26日からは「国境の町」、6/2からは「青い青い海」、6/9からは「騎手物語」、6/16からは「レスラーと道化師」と合計5本、1週間ずつ上映される。これは全部見てみたいぞ。

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