ジョーンズの知られざる世界
CHUCK JONES The Dream That Never Was
Edited by Dean Mullaney and Kurtis Findlay Designed by Lorraine Turner
IDW PUBLISJING 2011.11.
チャック・ジョーンズの実現しなかった夢'CRAWFORD'というテレビアニメシリーズ、そして、その新聞連載マンガ版(1978年に、ニューヨーク・デイリーニュース他に数ヶ月連載されただけで終わったもの)を収録した本。始めの方の解説部分に、「クリスマスキャロル」製作中のチャック・ジョーンズとリチャード・ウイリアムスの写真があるのがうれしい。'CRAWFORD'というシリーズは60年代後半に企画されたもので、その頃、ジョーンズはワーナーから独立して自身のスタジオを持って、MGMの「トムとジェリー」シリーズを作っていたわけだが、ジョーンズのこの時期について焦点をあてた本は今までなかった。自身がデザインしたキャラクターでの仕事なので、ジョーンズの本質を知るためには必見の本である。
READING THE RABBIT EXPLORATIONS IN WARNER BROS.ANIMATION
Edited by Kevin S. Sandler
RUTGERS UNIVERSITY PRESS 1998
90年代のワーナーに焦点を当てた論文集。この時代に、ワーナーはタイム・ワーナーという巨大な企業になっており、カートゥーンネットワークやハンナ・バーベラ・プロを経営するターナーも傘下におさめ、ディズニーに対抗できるアニメ・コンテンツを所有した企業になっていた。また、この頃、ワーナーのキャラクターとマイケル・ジョーダンが共演した映画「スペース・ジャム」が製作されヒットし、劇場用短編アニメの製作も20数年ぶりに再開され、世界各地にワーナースタジオストアを展開して、ディズニーストアに対抗する。ワーナーの作品そのものよりも、このようなディズニープロのマーチャンダイジング戦略を後追いするようなワーナーについて考察している論文が多く収録されている。望月信夫さんというより有馬哲夫さん向きの本である。
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