ヴァインランドはスプリングフィールドか
トマス・ピンチョンの「ヴァインランド」を読み終えた。それも買ったまま放置してあった河出書房新社の世界文学全集版と昨年秋でた新潮社の全小説版を続けて。最初の翻訳が新潮社から1998年に出たときに読んでいる。そのときには余り感じなかったのだが、今回2つの版連続して読んで思ったのは、こりゃあ「シンプソンズ」だ、ということ。ピンチョン自身が「シンプソンズ」に声の出演しているんだけれど、それは2004年のシーズンだった。「ヴァインランド」の出版は1990年。一方「シンプソンズ」は1987年スタートし、30分の独立番組になったのは1989年。これは時間的に微妙な関係である。カートゥーン好きのピンチョンだからルーニーチューン的な要素は常にその作品中にあるので、たまたまマット・グローニングと発想が似てしまった、ということだけなのかもしれない。
テオ・アンゲロプロス(新作撮影中に事故死したという訃報に驚いた。ピンチョンと同世代であったことにこの訃報で初めて気がついた)が「旅芸人の記録」(確か、河出書房新社の世界文学全集の編集人・池澤夏樹が字幕を担当していたと思う)で使った長回しのワンカット撮影の中で時間を一気に遡るという手法を思わせる1984年と60年代後半への突然の飛躍があって、ピンチョンは本当は映画監督になりたかったのでは、と思う。
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