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2011/07/30

原子力発電の夜明け

 かつて静岡県東部高校視聴覚ライブラリーというものがあって、16mmフィルムの教育映画を各高校に貸し出していた。フィルムからビデオ、DVD、最終的にはパソコン、という技術革新の波を受け、数年前に解散することになり、所有するフィルムは廃棄ということになり、欲しい人には無償で譲渡するということで、かなりの数の16mmフィルムをもらい受けた。少数だけあるアニメ作品が狙いだったが、その昔中国で日本の卓球を研究するために擦り切れるまで上映されたといわれている荻村伊智朗が自主制作した「日本の卓球」という日本卓球史で貴重とされているフィルムもあった。その中に「原子力発電の夜明け」という日本最初の商業用原子力発電所(東海発電所、現在廃炉)建設のドキュメンタリーがあるのに気が付いた。

 見てみた。すっかり青みが抜けたいわゆるセピア・カラー(近頃の若い人には通じないと思うので、解説しよう。カラーフィルムは基本的に3原色で色を出すのだが、青い色素の方が退色しやすく、フィルムを何回も上映したり、きちんとした温度管理などせずに長期間保存しておくと青みがなくなった、赤茶けた、セピア色の濃淡の画像だけが残るのである。)になってしまっているが、力強い映像と音楽(山本直純!)で、ドキュメンタリーとしてよくできている。1960年代の日本の技術者たちがその作業の様子、特に現場での格納容器の溶接や焼鈍しの様子と共に記録されているのは貴重だ。日本の現場の技術力・工業力を上げるためにも原発を建設するという意義が強調されているのだ。

 この映画で作り上げられていく原子炉は、イギリスから導入したコールダーホール型で、減速材は炭素(黒鉛)、核燃料は天然ウランである。そのためか、作業員は普通の作業服姿で燃料棒を装荷している。臨界を迎える中央制御室にはイギリス人の顔も多く見られる。原子力関係の有名な人も写っているかもしれないがわからない。原子力の平和利用に日本の未来があるという趣旨のナレーション(城達也!!)は、高度成長期の日本全体に受け入れられていたものである。この映画の制作は、原発の建設工事を請け負った第一原子力産業グループであるから、もちろん原発の問題点などには言及していない。一瞬映る当時の新聞記事のタイトルに「耐震」という文字があるから、単純にイギリスの原発をそのまま作ったのではなく、地震に対しても安全性を確保していますという主張がさりげなくされている。フクシマのような未来があるとは、反対派ですら思っていなかった時代だ。発電所の向こうに波が打ち寄せる海岸が見えるシーンが何回か出てくるが、今見ると意図しない暗示のようにも受け取れる。

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