最近買ったアニメ洋書の紹介というより、自分でこんな本を買ったということを忘れないためのメモである。アマゾンのリストの中に見つけて、「絵」がたくさんあることを期待して買ったが、今回買った3冊にはほとんど「絵」がなかった。みんな、それなりのレベルの研究書であった。
ANIMATORS OF FILM AND TELEVISION Nineteen Artist,Writers,Producers and Others
NOELL K.WOLFGRAM EVANS McFarland & Company,Inc.,Publishers 2011年刊
土曜の朝のアニメ番組のファンが研究者となって、19人のアニメ関係者を、「理想主義者」「異端児」「技術者」「感化者」「開拓者」「作り話の語り手」「教師」「語り手」にグループ分けして、論じている。「理想主義者」にはアート・バビット、ジョン・ハブリー、「異端児」にはテリー・ギリアム、「技術者」にはマックスとデイブのフライシャー兄弟、「開拓者」にはロッテ・ライニガー、「感化者」にはレイ・ハリーハウゼン、フランク・タシュリン、マット・グローニング、「語り手」にはビル・スコット、マイケル・マルティーズなどなどが取り上げられている。
「開拓者」にはライニガーの他に、リリアン・フリードマンLillian Friedmanという聞きなれない女性が取り上げられている。アメリカのアニメ界において初めて名前がクレジット・タイトルに出た女性アニメーターだそうだ。フライシャー・プロでベティ・ブープの作画をしていたという。知っている名前の中に、こういう人が混じっていると、絵がない本であっても、この部分だけは読んでおこうという気になる。だから、この本はまあまあ買って良かった部類に入る。
TEV AVERY:A Unique Legacy(1942-1955)
Floriane Place-Verghnes John Libbey Publishing 2006年刊
イギリスのマンチェスター大学のフランス研究の女性講師による研究書。女性研究者らしくジェンダーの観点からテックスのMGM時代の作品を考察しているらしい(ちゃんと読んでいないので、裏表紙の内容紹介にそう書いてある。今ちょっとたまたまあるページを開いたら、赤頭巾ちゃんに興奮する狼について、食べてしまうより抱きしめてキスして・・・と書いてある)。参考文献にフランス語のものが多いのはテックスの評価がフランスで高いためなのと、著者がフランス文化研究の専門家のためだろう。
最初にテックス以前のアニメの簡単な歴史をまとめてから、テックスのユニークさについての考察が3章に分けられて考察されている。その真ん中にこの本の一番の売りになる「性とジェンダーについて」がある(先ほどたまたま開けたのはこの章のある部分)。この本も絵はないが、どちらかというと買っておくべき本には入る(いったい読むのはいつのことだ?)
Prime Time Animation Television animation and American culture
Edited by Carol A.Stabile and Mark Harrison Routledge 2003年刊
ガチガチの研究論文集といった感じ。この3冊のなかで字面が一番読みにくい印象で、多少混じっている絵も読む気にさせるようなものが使われていない。タイトルの、Prime Time というのは日本で言うとゴールデン・タイムのことで、最初のゴールデン・タイムのテレビアニメは「原始家族」であるから、この「原始家族」から「シンプソンズ」や「サウスパーク」までを考察の対象としている。この本、買ったのはいいけれど、今後一度も開くことのない本になりそうである。
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