ディズニー・スタッフと100長編アニメーション
Working with Disney INTERVIEWS WITH ANIMATORS,PRODUCERS,AND ARTISTS
Don Peri 2011 UNIVERSITY PRESS OF MISSISSIPPI
フランク・トーマス、オーリー・ジョンストン、マーク・デイビスといったいわゆるナイン・オールドメンから、ディズニーランド開園時の従業員のジョイス・ベランジャー、ジョン・キャトーンまで、ウォルト・ディズニーに直接関係した人物へのインタビュー集である。ウサギのオズワルドに関係したウォルター・ランツへのインタビューもある。インタビューの時期は、トーマスは1976年、ジョンストンは1977年、デイビスは1978年、ランツは1979年、ベランジャーとキャトーンは1985年である。
フランク・トーマスは、ライバル会社のアニメについて聞かれて、バッグス・バニーやダフィ・ダックが好きだと述べて、戦時中にテキサスの映画館でテックス・アヴェリーの作品(作品名は忘れてしまったそうだ)を見てアヴェリーはすごいと思ったが、観客には面白さがわからず笑い声がまったくなかった、と語っている。
ジョイス・ベランジャーは、ディズニーランド開園時のパート募集記事を見て友人と応募したら自分だけ採用され、2ヶ月くらいやってみるか、が30年になったという。開園初日の前日、いろいろなものがまだ完成していなくて、明日お客さんが来たらどうするの?という状態だったのが、次の日の朝、すべてがきれいに完成していたのに驚いたと当時を回想している。
まったく、図版がないのがちょっと残念。
100 Animated Feature Films Andrew OSMOND 2010 PALGRAVE MACMILLAN
100本の長編アニメがABC順に並べられている。ロッテ・ライニガーの「アクメッド王子」からジョージ・ダニングの「イエローサブマリン」まで。世界で最初の長編アニメといわれているアルゼンチンの'El Apostol'1917年(図版がないのがやっぱり残念)から、「イリュージョニスト」2010年まで。日本の作品は数え間違えていなければ21本ある。この21本は妥当な選び方かなあと思うが、東映動画作品は「太陽の王子ホルスの大冒険」が一本だけなのはさびしい。「わんぱく王子の大蛇退治」はイギリス(著者はイギリス人)では見ることができないのかな。100作品の中には「キングコング」や「ロジャーラビット」あるいは「アバター」などが入っていて、「アニメ長編」の範囲は最大限に広い。ほとんどの作品に図版があるが、ないものほど見たことがない作品が多い。
面白いことに、リチャード・ウイリアムスの「アラビアン・ナイト」アメリカ公開版が取り上げられていて、この作品の顛末が解説されている。「やぶにらみの暴君」も「王と鳥」と合わせて紹介されていて、「やぶにらみの暴君」が高畑勲や宮崎駿に影響を与えたことまで書かれている。何故だと思ったら、この本の著者は「千と千尋の神隠し」の本も出しているのであった。
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