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2011/06/19

ガンマスカウト

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 数年前にとある予算が付いて、生徒実験用に5台ほど購入たのが写真のガンマスカウトというドイツ製の簡易放射線測定器である。福島の原発事故後、使っているものである。とはいっても、この器械、工場出荷時から電源が入りっぱなしで(つまり、電源スイッチが付いていない)内臓電池が切れたら終わりというものである(電池交換のためのふたもない)。使うという場合、単に、しまってある棚から出して箱を開いて取り出せば、数値が表示されている。そこで、測定したい場所において、数値の表示を見ればよい。今までは年に一回、物理Ⅱの授業のときに取り出して生徒に見せているだけであった。そのときに得られた数値の平均はほぼ0.10μSv/hであった。原発事故後も、この平均値は変わらない。日本、あるいは、静岡県では空間線量0.05μSv/hと調べると出てくるが、この値に近い数値が表示されることは余りない。私が確認した数値の範囲は0~0.28μSv/hである(ただし、0を見たのはたった1回しかない)。また、このガンマスカウトは前日24時間の平均がボタン一押しで見れるが、だいたい0.10~0.12μSv/hである。
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 この測定器以前に、アメリカ製の簡易測定器を1台購入したことがあったのだが、どうもその測定値の確からしさに不安を感じて、次の年には3倍の値段のもう少し精度の高い国産のガイガー・カウンターを購入した。比べてみたり、色々調べてみて、簡易型のものは、0.1μSv/h程度の放射線の強さでは、測定値の有効数字は1桁と考える(補足:0.06と0.12では2倍違う数値であるが、下1桁を四捨五入するとどちらも0.1になるので、2倍違うと考えずに同じくらいであると見る)方がいいということがわかった。だから、授業中に生徒に説明するときには、0.1μSv/hの桁での値の大小は余り気にする必要はなく、1桁以上大きい数値が出たら、浜岡の原発あたりで何かあったと考えて、放射性物質を避けることを考えなければならない、と言っていた。


 放射線測定というのは、放射線のでかたは完全に確率現象なので、たった1回だけの測定では、かなり大きい(または、小さい)数値が出ることがある。だから、最低でも5回は測定しなければならない。ガンマスカウトでは、しばらく放置すると、表示する数値が変わっていくので、これをメモしておいて5~10個の数値を得て平均して考えるべきである。たとえば、0.07μSv/hと表示された後に0.25μSv/hと突然3倍以上の値に変わったことも何度かある。また、測定器が違うと、同じところで測定してもまったく違う値がでる。だから、放射線測定については、どのような測定器でどのように計測して何回測定の平均値であるとわかっていないと、その値を比べるのは難しい。同じ測定器で継続して得られた値については、その変化は信頼できるので、ガンマスカウトのような簡易放射線測定器であっても意味がある。秋葉原あたりで簡易放射線測定器が売れているようだが、取扱説明書にこのような注意事項が書かれていないと、自分で測ってみてインターネット等で発表されている数値と違って大きい値が表示された場合、かえって不安と不信を増大させる可能性があるので心配だ。

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2011/06/12

ディズニー・スタッフと100長編アニメーション

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Working with Disney INTERVIEWS WITH ANIMATORS,PRODUCERS,AND ARTISTS
Don Peri 2011 UNIVERSITY PRESS OF MISSISSIPPI

フランク・トーマス、オーリー・ジョンストン、マーク・デイビスといったいわゆるナイン・オールドメンから、ディズニーランド開園時の従業員のジョイス・ベランジャー、ジョン・キャトーンまで、ウォルト・ディズニーに直接関係した人物へのインタビュー集である。ウサギのオズワルドに関係したウォルター・ランツへのインタビューもある。インタビューの時期は、トーマスは1976年、ジョンストンは1977年、デイビスは1978年、ランツは1979年、ベランジャーとキャトーンは1985年である。

 フランク・トーマスは、ライバル会社のアニメについて聞かれて、バッグス・バニーやダフィ・ダックが好きだと述べて、戦時中にテキサスの映画館でテックス・アヴェリーの作品(作品名は忘れてしまったそうだ)を見てアヴェリーはすごいと思ったが、観客には面白さがわからず笑い声がまったくなかった、と語っている。

 ジョイス・ベランジャーは、ディズニーランド開園時のパート募集記事を見て友人と応募したら自分だけ採用され、2ヶ月くらいやってみるか、が30年になったという。開園初日の前日、いろいろなものがまだ完成していなくて、明日お客さんが来たらどうするの?という状態だったのが、次の日の朝、すべてがきれいに完成していたのに驚いたと当時を回想している。

 まったく、図版がないのがちょっと残念。

100 Animated Feature Films Andrew OSMOND 2010 PALGRAVE MACMILLAN

100本の長編アニメがABC順に並べられている。ロッテ・ライニガーの「アクメッド王子」からジョージ・ダニングの「イエローサブマリン」まで。世界で最初の長編アニメといわれているアルゼンチンの'El Apostol'1917年(図版がないのがやっぱり残念)から、「イリュージョニスト」2010年まで。日本の作品は数え間違えていなければ21本ある。この21本は妥当な選び方かなあと思うが、東映動画作品は「太陽の王子ホルスの大冒険」が一本だけなのはさびしい。「わんぱく王子の大蛇退治」はイギリス(著者はイギリス人)では見ることができないのかな。100作品の中には「キングコング」や「ロジャーラビット」あるいは「アバター」などが入っていて、「アニメ長編」の範囲は最大限に広い。ほとんどの作品に図版があるが、ないものほど見たことがない作品が多い。
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 面白いことに、リチャード・ウイリアムスの「アラビアン・ナイト」アメリカ公開版が取り上げられていて、この作品の顛末が解説されている。「やぶにらみの暴君」も「王と鳥」と合わせて紹介されていて、「やぶにらみの暴君」が高畑勲や宮崎駿に影響を与えたことまで書かれている。何故だと思ったら、この本の著者は「千と千尋の神隠し」の本も出しているのであった。
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2011/06/10

電気代トントン

 6月分の電気料金の請求書が来た。使用量は195kWh4954円。太陽光発電の東電の購入電力量は104kWh4992円。ほんの少し売電金額が上回った。1年前は、使用量が196kWhで売電量が119kWhだった。昨年より入梅が早かったので、発電量が少ないようだ。そのことを考えると、実質の電気使用量は昨年より少し減らせているようである。

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2011/06/07

路傍の植物

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以上、ニコンD90+シグマ24mmF1.8


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以上、フジF200EXR

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2011/06/04

137はパウリの番号

 アーサー・ミラーの「137 物理学者パウリの錬金術・数秘術・ユング心理学をめぐる生涯」(阪本芳久・訳 草思社)を読んだ。パウリという物理学者は一般には知名度は低いが、パウリの排他律(高校の化学で、原子の電子配置、つまり、K殻に2個・L殻に8個・M殻に18個・・・電子が入る、と教えていることの大元)、ニュートリノの存在の予言(ニュートリノという名前はフェルミがつけた)、CPT変換不変性という3つの現代物理学にとって大事な貢献をしている。また、「パウリ効果」(パウリがそばにやってくると、実験装置などが突然壊れる)というエピソードでも、物理を学んだ者には、印象深いノーベル賞受賞者である。そのパウリが心理学者のユングと親交があり、20世紀の物理学者としては、相当に怪しい分野である神秘主義に興味を持っていた、というノンフィクションである。

 137というのは、量子力学が生まれる頃に登場した微細構造定数の逆数の値である。この値はプランク定数、電気素量(電子の電気量)、真空中の光速の組み合わせで作られる無次元量(単位のない量)で、現在では、素粒子間の(あるいは、われわれの宇宙の)電磁相互作用の大きさを表す目安の値である。この137そのものに関する話題は、実は余りページ数が割かれておらず、ユングとパウリの間でやり取りされた西洋における2項対立(たとえば、善と悪)思考の分析から東洋的な相反する2要素の同立(たとえば、ボーアの相補性原理)の思考への志向に、かなり多くのページが使われていて、そのあたりは、日本人である私からすると、どうして、こんなに陰と陽を全体として受け入れるのに時間がかかってしまうのか、というのが正直な感想。

 「戦争で原子爆弾が使用されることは二度とないだろうというもう一つの考えについては、私は非常に疑わしく思っています。この新たに登場した殺人兵器をいますぐ国際的な管理下におかなければ、科学者という私たちの職業は、まっとうな感覚をもつ人々のあいだでは信頼されないものになってしまうでしょう。」というパウリの言葉は多くの物理学者が共有し、次世代へと語り継がれてきたように思う。福島の原発事故に関して、信頼できる情報発信をいち早く初めて、今でも続けているのは、この伝統を引く物理学者たちであったことを思うと、原発に関して、もっと直接的な責任を負うはずの原子力工学者は同様な考えを持つことはないのだろうか?

 ユングについては「空飛ぶ円盤」しか読んだことがないので、この本をユング心理学の良い解説書として読むことが出来た。

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2011/06/01

C4、6年点検

 本日、C4の6年(車検後1年)点検を、シトロエン沼津でしてもらった。1年点検Aプラン一式で16000円。これに、バッテリー交換23200円(工賃込み)、フロントワイパー左右交換11700円、エンジンオイル・フィルター交換8100円、で、計59000円。走行距離が53980kmということで、6万kmでタイミングベルトの交換時期になる、という案内を受けた。年間走行距離が減ってきているので、来年の車検時でいいんじゃないという、結論に。

 新型C4は7月日本デビューだそうだ。個人的には、DS4の方が気になるデザインだ。

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