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2011/02/20

気になる仲はツライよ

 片山雅博さんの訃報を聞いてから、彼との思い出がときどきフラッシュバックする。その中に、アニドウが翻訳出版しようとしているチャック・ジョーンズの自伝(CHUCK AMUCK)にちなんだ上映会で私が壇上に上げられて、片山さんやなみきさんとジョーンズについて話す、ということがあった。そのときに、片山さんがジョーンズが来日してインタビューしたときに、ロバート・クランペット作品の「コニー・コンサート」A CORNY CONCERTO '43(「ワルツを共に」「カモネギ・ホールへようこそ」「アヒルのワルツ」「楽しいコンサート」「名曲の喧しい夕べ」などの邦題もある)が面白くて好きだということを言ったらジョーンズが途端に嫌な顔をして座の雰囲気が一瞬やばくなった、という話題を提供して、ジョーンズが自伝の最後の方に少しだけ触れているクランペットとの確執の、今までは日本のファンに知られていなかった事情を、私に話すチャンスを作ってくれた。ただし、このときは自伝の翻訳出版のための宣伝的なイベントだったので、そう、ジョーンズはクランペットが嫌いなんですよ、詳しくは自伝を買って読んでね、ということで自伝に書かれていることを直接説明しなかった。


 ジョーンズとクランペットの仲が決定的に悪くなったのは、1937年のことである。ディズニーの元を離れて自分のスタジオで作品を作っていたアブ・アイワークスがシュレジンガー(と日本では表記されてきたが、DVDの関係者インタビューなどを見ると、シュレジンジャー、と書く方が発音に近い)と契約して数本ルーニーチューンを下請け制作することになった。そのときに、アイワークスの元に送られたのがクランペットとジョーンズだった。ここで、二人が共同監督として作品制作をすることになった。ところが、どういうわけかジョーンズにはわからない理由で、クランペット監督の下にジョーンズがアニメーターとなる状態になってしまった。クランペットはこのまま監督に昇格し、ジョーンズが監督になるのは1年後の1938年THE NIGHT WATCHMANでである。このことを自伝の最後の方に書いてあるのだが、その書き方が実にあっさりしているので、かえって、二人の間にできた溝の深さを感じさせる。

 で、上述の上映会の時(今から17年くらい前)には、なぜか、このいわくつきのクランペット監督、ジョーンズ・アニメーターの作品は何かということを突き止めていなかった。今になってこれが気になって調べてみた。次の2本であった。
 PORKY'S BADTIME STORY '37 「ねむれない夜はツライよ!」
GET RICH QUICK PORKY '37 「油まみれ金持ち天国」
さらに、自分が作ってある邦題リストで驚いたのだが、「バッグス・バニーのぶっちぎりステージ」でテレビ上映されていた(原題の後のタイトルが放映タイトル)。上映会の時点では見ていたはずの作品であった。ビデオ録画してあったものを見直してみた。記憶に残らなくても不思議でない内容だった。2作ともギャビー・ゴートGaby Goatというこの時期ちょっとだけポーキーと競演したヤギのキャラクターが出てくる。「ねむれない夜はツライよ!」には、ポーキーとギャビーがタイムレコーダーを使うシーンがあって、ジョーンズの後年の狼と牧羊犬のシリーズを思いださせた。

 アイワークス監督でクランペットとジョーンズがアニメーターを務めたPORKY AND GABBY '37「ポーキーのアウト・ドア・ライフ」も「ぶっちぎりステージ」で放映されていたので一緒に見直した。これら3本の中ではアイワークス監督作品が一番演出がもたもたしていなかったが、アイワークスらしさはあんまり感じない。ほとんどクランペットとジョーンズで作っていたように感じられる。

 インターネット上の記述では、クランペットの母親がプロデューサーのシュレジンガーと知り合いで、クランペットがシュレジンガーに贔屓されたような記述もある。ジョーンズ以外のワーナーの他のスタッフからもクランペットは良く思われていなかったようだ。それが、クランペットがワーナーを案外早くやめた理由かもしれない。

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