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2011/02/27

新書大賞

 新書大賞を受賞した「宇宙は何でできているのか 素粒子物理学で解く宇宙の謎」村山斉(幻冬舎新書)を読んだ。一般向けの講演会を活字化したものであった。内容的には、ノーベル賞を受賞した日本人物理学者の業績を紹介しながら、「ウロボロスの蛇」に表象される極微の世界である素粒子の世界と極大の世界である宇宙が物理学の最先端で結びついていることを解説している。内容的には佐藤文隆の「破られた対称性 素粒子と宇宙の法則」と変わらないのだが、こちらの方の方が一般人には読み易い。佐藤文隆の本を読んで難しすぎてわからないと思ったり、数式が出てきて途中で読むのをやめてしまった人にはいい本だ。私的には、わかりやすい図版が多く採用されているのが気に入った。

 その佐藤文隆の最新刊「職業としての科学」(岩波新書)も読んだ。佐藤文隆は「科学者」の職業的側面を強調した文章をかなり前から発表していたが、その集大成である。自分のような者も「職業としての科学」の片隅で仕事をしている人間になる。歴史的に科学の職業化が始まった時期を考察して、これからの科学と科学者はどうあるべきかを提案している。同時に、科学技術は使う者しだい(♪良いも悪いもリモコンしだい~)ということが、実は単純で浅薄な考え方であることもよくわかる。朝永振一郎も遺作「物理学とはなんだろうか?上下」(岩波新書)で同様の考え方を表明していた。朝永死後にノーベル賞を取った学者が単純な科学技術は使う者しだい的発言をしたのを聞いたときに、ちょっとがっかりしたことがあった。

 ニュージランドで地震があった。内陸の直下型であったので津波は起きなかった。津波といえば昨年の太平洋を渡ってくる津波があった。そのときに生じた現象(津波警報が出たにもかかわらず実際の避難者はごく少数にとどまったこと。マスコミは津波の大きさ予想の精度の悪さばかりを問題にしたことなど)を憂いて書かれたのが、河田惠昭「津波災害」(岩波新書)である。終章で教育の問題にも触れていて、「高校生の理科離れが続いている原因の一つには、理科実験室の貧弱さである。ひと言で言えば”魅力がない”のである。これでは自然現象に興味をもてという方が無理であろう。」と書いている。「理科実験室の貧弱さ」についてはまったく同感である。政府にルートのある河田先生にはこの現状を変えるようにその筋に強く働きかけてほしいと思うのである。

 この「理科離れについて」については、高井研が「生命はなぜ生まれたのか 地球生物の起源の謎に迫る」(幻冬舎新書)で、「むしろ最近の日本は『空前の理科ブーム到来、キター』とすら思う。(中略)今話題の『理科離れ』は『進学及び職業選択における理系分野志望が減少している』現象であって、決して『理科(すなわち自然科学)への興味、関心が失われている』ということではないように思う。」と別の見解を発表している。確かに、でんじろう先生のサイエンスショーの盛況ぶりや「はやぶさ」に対する関心の高さを見ればそうであろう。科学をあらゆる人のものに、という広い立場で言えば、現在の日本の様子はかなり理想に近づいてきているのかもしれない。佐藤文隆が上述の本を書いたのも同じ見解からかもしれない。高井研の本自体は、生命は生命を含んだ環境(生命圏)で考えて、生命圏におけるエネルギー論で生命を捉え、その地球上での起源に迫った研究成果について書かれている。深海熱水活動域にこの起源の状態をとどめている微生物がいるはずだという研究である。ここにおいて生物学は地球そのものの起源論とは無縁でなくなり物理や化学を駆使した内容になっているのがよくわかる。ここに時間的な「ウロボロスの蛇」を見出すこともできるなあ。

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2011/02/20

気になる仲はツライよ

 片山雅博さんの訃報を聞いてから、彼との思い出がときどきフラッシュバックする。その中に、アニドウが翻訳出版しようとしているチャック・ジョーンズの自伝(CHUCK AMUCK)にちなんだ上映会で私が壇上に上げられて、片山さんやなみきさんとジョーンズについて話す、ということがあった。そのときに、片山さんがジョーンズが来日してインタビューしたときに、ロバート・クランペット作品の「コニー・コンサート」A CORNY CONCERTO '43(「ワルツを共に」「カモネギ・ホールへようこそ」「アヒルのワルツ」「楽しいコンサート」「名曲の喧しい夕べ」などの邦題もある)が面白くて好きだということを言ったらジョーンズが途端に嫌な顔をして座の雰囲気が一瞬やばくなった、という話題を提供して、ジョーンズが自伝の最後の方に少しだけ触れているクランペットとの確執の、今までは日本のファンに知られていなかった事情を、私に話すチャンスを作ってくれた。ただし、このときは自伝の翻訳出版のための宣伝的なイベントだったので、そう、ジョーンズはクランペットが嫌いなんですよ、詳しくは自伝を買って読んでね、ということで自伝に書かれていることを直接説明しなかった。


 ジョーンズとクランペットの仲が決定的に悪くなったのは、1937年のことである。ディズニーの元を離れて自分のスタジオで作品を作っていたアブ・アイワークスがシュレジンガー(と日本では表記されてきたが、DVDの関係者インタビューなどを見ると、シュレジンジャー、と書く方が発音に近い)と契約して数本ルーニーチューンを下請け制作することになった。そのときに、アイワークスの元に送られたのがクランペットとジョーンズだった。ここで、二人が共同監督として作品制作をすることになった。ところが、どういうわけかジョーンズにはわからない理由で、クランペット監督の下にジョーンズがアニメーターとなる状態になってしまった。クランペットはこのまま監督に昇格し、ジョーンズが監督になるのは1年後の1938年THE NIGHT WATCHMANでである。このことを自伝の最後の方に書いてあるのだが、その書き方が実にあっさりしているので、かえって、二人の間にできた溝の深さを感じさせる。

 で、上述の上映会の時(今から17年くらい前)には、なぜか、このいわくつきのクランペット監督、ジョーンズ・アニメーターの作品は何かということを突き止めていなかった。今になってこれが気になって調べてみた。次の2本であった。
 PORKY'S BADTIME STORY '37 「ねむれない夜はツライよ!」
GET RICH QUICK PORKY '37 「油まみれ金持ち天国」
さらに、自分が作ってある邦題リストで驚いたのだが、「バッグス・バニーのぶっちぎりステージ」でテレビ上映されていた(原題の後のタイトルが放映タイトル)。上映会の時点では見ていたはずの作品であった。ビデオ録画してあったものを見直してみた。記憶に残らなくても不思議でない内容だった。2作ともギャビー・ゴートGaby Goatというこの時期ちょっとだけポーキーと競演したヤギのキャラクターが出てくる。「ねむれない夜はツライよ!」には、ポーキーとギャビーがタイムレコーダーを使うシーンがあって、ジョーンズの後年の狼と牧羊犬のシリーズを思いださせた。

 アイワークス監督でクランペットとジョーンズがアニメーターを務めたPORKY AND GABBY '37「ポーキーのアウト・ドア・ライフ」も「ぶっちぎりステージ」で放映されていたので一緒に見直した。これら3本の中ではアイワークス監督作品が一番演出がもたもたしていなかったが、アイワークスらしさはあんまり感じない。ほとんどクランペットとジョーンズで作っていたように感じられる。

 インターネット上の記述では、クランペットの母親がプロデューサーのシュレジンガーと知り合いで、クランペットがシュレジンガーに贔屓されたような記述もある。ジョーンズ以外のワーナーの他のスタッフからもクランペットは良く思われていなかったようだ。それが、クランペットがワーナーを案外早くやめた理由かもしれない。

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2011/02/18

チョコレートの惑星

 写真のようなチョコレートをもらった。こんなチョコレートがあるのね。
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2011/02/13

会議は歌う、されど・・・

 本日SCMの新年会兼第42回全国アニメーション総会の第1回企画会議を沼津市内某所で行った。会場を手配する関係で、日程だけ、10月22日(土)23日(日)に実施すると決めた。内容については、会場にもよるので、会場を決めてから詳細を詰めていく予定。


 家に戻って、多摩美大教授の片山雅博氏の訃報を知った。驚いた。その昔、大学時代にサークルでアニメの自主制作をしているときに、グループえびせんという面白いアニメを作るサークルの代表としてその名を知り、アニドウの上映会やアニメ総会で顔を合わせることになり、アニドウ関係者ではなみき会長を除くと、片山さんが年齢も近いこともあって一番親しく話しができた「同志」であった。今から約30年前、沼津のCATV局(’3チャンネル’)でわれわれSCMの作品の番組を放送してもらったとき、えびせんの作品集も放送されていたなどということもあった。自分の教え子でアニメを大学で勉強したいというのが現れたら、彼のところに送り込もうと思っていたが、実現せずに終わってしまった。  合掌

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凍り付いた朝

 昨日暖かい沼津でも少々雪が降った。でも積もらなかった。今朝、道路が凍り付いて白かった。risk of ice である。

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2011/02/05

ざ、ざっ、ざっ、ざざ、ざぶ~ん3

 原のジョイランドにある温泉施設ざぶ~んに初めて行った。三島の極楽湯より、露天風呂のスペースが広く、源泉掛け流しの壷風呂(甕風呂だったか?)、寝ころがりの湯(これは実にいい。横になって入る温泉である。お腹がお湯から出てしまうのが少し残念)、岩風呂と3種類ある。壷風呂は湯温が高く、長く入っていられない。湯の色も赤茶けていて源泉をそのまま流しているというのはうそではなさそうだ。脱衣所の温泉成分表を見ると、鉄(Ⅱ)イオンが含まれている。鉄(Ⅱ)イオンは酸化されて赤茶色の鉄(Ⅲ)イオンになりやすい。壷風呂の赤茶けた色はこの鉄(Ⅲ)イオンのためだろう。お湯はナトリウム泉なので海水のような塩味であるが、濃い。同種のナトリウム泉より3倍近い濃度だそうだ。確かに、同じナトリウム泉のウエルサンピア沼津(元厚生年金休暇センター)の温泉はもう少し薄い塩味であった。

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2011/02/04

ロックハンプトンからの手紙

 オーストラリアのホスト・マザーの様子が気になって手紙を出したら、返事が届いた。避難はしたが、家族も家も洪水の被害にはあわなかったということなので、安心した。ただ、サイクロン・ヤシの接近で風が強くなっている、と書かれていた。サイクロンはロックハンプトンよりも北のケアンズに近い方に上陸したので、サイクロンで追い討ちをかけられるということはなかったようだ。ケアンズにも行ったことがあるので、暴風にさらされているテレビ映像を見ると、あの美しい場所がどうなるのかと思ってしまう。

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2011/02/03

復活のシャトル

 このところ、シビック・シャトルで検索してこのブログにきている人が多いなあと思ったら、エアウエイブの後継車がフィット・シャトルとなって近日発売になるためらしい。シビックという名前は日本では消えてしまうそうだが、シャトルは復活するわけだ。シビック・シャトルに乗っていた者としては、ちょっと複雑な気分。フィット・シャトルにはハイブリットもあるということなので、発売されたら試乗してみたい。

 モデルチェンジしたC4もフィット・シャトルと同じ頃日本発売になるらしい。ラゲッジ・スペースが拡大されるのは魅力だが、内外装のデザインは普通な感じ、というか、アウディA3あたりに擦り寄ってしまっているようで、ちょっと好きになれない。DS4は少し遅れて発売になるようだが、こちらのデザインの方がシトロエンらしいし、ミッションも6ATになるようで、魅力的。

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