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2011/01/29

勝とう、はやぶさ先頭だい

 昨年地球に帰還して話題となった小惑星探査機はやぶさに関する本を2冊読んだ。吉田武『はやぶさ 不死身の探査機と宇宙研の物語』(幻冬舎新書)と川口淳一郎『小惑星探査機はやぶさ 「玉手箱」は開かれた』(中公新書)である。前者は、はやぶさが復活して地球に戻る軌道に乗った時(2006年)に書かれて出版されたもので、そのときにこのような本が出されていることにまったく気づいていなかった。どちらの本の著者も私と同世代の研究者であり、そうそう、そうだったんだよなあ、と思える部分も多い。特に、吉田武が「宇宙戦艦ヤマト」を意識してある表現をしているところなど。

 吉田武は、はやぶさのプロジェクトとは無関係な理工学の研究者として、はやぶさを生み出した「宇宙研」(現在はJAXAに統合されてしまっているが、生産技術研究所の糸川英夫が組織したAVSA研究班に始まる東大の宇宙科学研究所のこと)が理学と工学を融合させた、ものづくりを通しての理想的な教育研究機関であったということを強調して書いている。朝永振一郎が、戦前の理化学研究所の仁科芳雄研究室が、理想的な物理学の研究室として回想されている文章を読んだときのような読後感だ。科学・技術研究では1番でなければ意味がないことも強調されている。某議員がこの本を出たときに読んでいたのなら「2番ではだめですか?」という名セリフもでなかったかもしれない。

 プロジェクトマネージャーでテレビで顔なじみになった川口淳一郎の本の方は、写真などの図版が多く使われていて、はやぶさプロジェクト自体の内容がわかりやすく伝わるように工夫されている。その中でも私が一番気に入ったのは、はやぶさの軌道がパラパラ・マンガになっていることだ。


 ところで、はやぶさを漢字で書くと隼である。隼といえば、卓球の水谷隼である。昨年末には日本人で初めてプロツアーのグランドファイナルで優勝し、先週は全日本選手権で5年連続優勝という新記録を作った。それぞれの決勝戦の様子をテレビで見たが、これなら、世界選手権やオリンピックで中国選手を倒して優勝するのも夢ではない。全日本のテレビ中継での優勝インタビューで不遜とも思える発言をしたが、これは才能ある若手たちに対する、本気で中国に勝ってメダルを取る気はあるのか、俺にはあるぞ、という檄であった気がする。

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2011/01/18

おっかなびっくりするけれど・・・

 リチャード・ウイリアムスが約30年かけて作った「アラビアンナイト」Arabian Knight(1993年作)のDVDをやっと見た。アニドウのN会長さんから、東京国際映画祭で見たけれどあんまり面白くなかったなあ、と聞かされたのは1995年であり、あっDVDが出ていると購入したのは2002年なのだが、どれもついこの間のことのように思ってしまうのは、認知症のごく初期の症状だろうか?(静岡のテレビでやっているちびまる子ちゃんが出てくる認知症のCMだと認知症ではないようだが)ウイリアムスがかけた30年からすれば、ついこの間といっても良いのかもしれない。

 この作品が製作中であるのを知ったのは、1978年、Funnyworld No.19でである。Funnyworldというのは、アニメ研究家のマイク・バリアーが出していた半同人誌的アニメ研究誌である。この号にリチャード・ウイリアムスのインタビューが載っていた。チャック・ジョーンズ制作のABCテレビのクリスマス・スペシャル・アニメ「クリスマス・キャロル」を見ていてリチャード・ウイリアムスは何者だ、という興味があり、一部のアニメファンの間でも話題になっていた人物だったので、自分でこのインタビューを訳し、静大アニメーション同好会の会誌「あにむし」に掲載した(その後、アニドウの会誌FILM1/24に転載された)。このインタビューでは、The Thief and the Cobblerと呼ばれていた作品だ。

 この78年の時点でウイリアムスはあと2,3年で完成できると書いているが、それからさらに13年かかり、アメリカと日本で公開されたのは完成からさらに2年後だ。このインタビューにつけられたマイク・バリアーの前文に、完成まで時間がかかることへの不安が述べられていたが、見た感想をいえば、その不安は正しかったということだ。しかし、あんまり面白くないと片付けてしまうのには、少し抵抗したい。

 アニメーションは素晴らしいのである。特に、盗賊。しかし、この盗賊がどうにも他のキャラクターと調和していない。盗賊以外のキャラクターのデザインが平板すぎるのである。悪役魔術師ジグザグ(声はヴィンセント・プライス!)や一つ目大将軍はテレビアニメのレベルのデザインだし、ヒロインの王女がもっと魅力的であればなあと思う。この王女については、上述のインタビュー記事や、日本では絵本作家として有名な本作品のスタッフ、エロール・ル・カインの追悼出版「イメージの魔術師 エロール・ル・カイン」(ほるぷ出版、1992年)に出ているストーリーボード(ル・カイン作画)では、王女はもっと大人っぽくて色気がある。

 「イエローサブマリン」を連想させるグラフィカルな表現があり、イギリスのアート・アニメーションの香りもして、部分部分には見るべきものもあるので、もしかしたら30年後には、カルト・アニメ化するかもしれない。現在われわれが「バッタ君町に行く」を評価して公開時には評価がそれほど高くなかったのはなぜだとか言うわけだけれど、そうなる可能性も感じないわけでもない。

 「ザ・シンプソンズMOVIE」もブルーレイ版でこの冬休みに見たが、「環境問題」の問題を正面から扱ったこの作品の方が映画として余程面白かった。しかし、アニメーションそのもののレベルはテレビレベルで「アラビアンナイト」にはまったく及ばない。このように劇場用長編アニメーションの評価というのは、実に難しいのである。

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2011/01/16

クイーンズランドに募金

 ロックハンプトンの人たちに何かできないかとインターネットで調べたら、クイーンズランド州政府の募金サイトを見つけた。クレジットカードで簡単に募金できる。早速、小額であるが、募金した。このブログを読まれている方々で気持ちがある方はよろしくお願いします。

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2011/01/12

洪水はわがロッキーにおよび

 オーストラリアのクイーンズランド州の洪水のニュースに、遅ればせながら気が付いた。2000年に10日間ホームステイした町、ロックハンプトンは1月3日には大洪水になっていた。80歳近いホストマザーのヴェロニカさんおよび、その一家は大丈夫だろうか。CNNのサイトで動画を見たが、フィッツロイ川からだいぶ遠い飛行場も冠水している。道路も鉄道も寸断されていて、陸の孤島と化しているという。これでは連絡を取ろうにもどうにもならない。何か力になれることはないのかなあ、とつくづく思う。

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2011/01/09

100ルーニーチューン大行進

 amazon.comから、The 100 GREATEST LOONY TUNES CARTOONS の案内のメールが来た。この本は昨年出版された本だ。この本は実は、amazon.co.jpから予約注文の案内のメールが来て注文したが、商品が手に入らなかったのですみませんという注文キャンセル御免なさいメールがきて、入手をあきらめたものだ。だから、これは本国に在庫があるならすぐに注文しよう、である。しかし、待てよその前に、もしかしたら、日本の方にも実は在庫があるかも、とco.jpの方で検索してみた。そしたら在庫がある! 本自体の価格は.comの方が安かったが送料がかかる。この送料分で百円ほど.comで買う方が高くなるので、co.jpの方に注文した。そしたら、すぐに届いた。予約したにもかかわらず入手できなかった顧客に、商品入荷を再度案内するシステムがあれば、もっと早く入手できたのではないかと思う。
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 千本はあるといわれるルーニーチューンの中から、アニメ関係者・評論家などから意見を聞いたうえでJerry Beckが100本選び、見開き2ページ使って作品を紹介している。また、序文をLeonard Maltinが書いている。この二人の著作には80年代からお世話になっている。だから、選ばれた100本は妥当なものばかりである。と同時に、その100本のほとんどを見たことがある自分に、密かに感心してしまう。昨年買ったDVDにもほとんど収録されているので、DVDを見るときの実に良い参考書だ。
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 巻末の索引を見ると、100作の内訳がわかる。フレッド”テックス”・アヴェリー(言い慣れている表記を使う)は6本、ロバート・クランペット21本、フリッツ・フリーレングも21本、チャック・ジョーンズは最多の37本(昨年私が見るのをこだわったウサギ狩り3部作は3本とも入っている)、ロバート・マッキンソンは6本、フランク・タシュリンは7本。そして、残り2本はアーサー・デービス。
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 見たことがなく、たぶんDVDにも収録されていない作品の1つ。ロバート・クランペット演出作品。ジャズ・ピアニスト、ファッツ・ワーラーの顔をした猫が登場する。ワーラーのカリカチュアはMGMの作品でも出てきている(確かこのときは、カエルだったと思う)。

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ジョーンズの世界

 昨日コンビニに行ったら、宝島社のチャック・ジョーンズ版のトムとジェリーのDVDBOX(「新シリーズ1」と「新シリーズ2」の2巻)があったので買ってしまった。今まで気が付かなかったのだが、昨年の12月に発売になっていたらしい。このDVDBOXが面白いのは、パブリックドメインではなくきちんとワーナーその他の著作権をクリアーしたものだということ(日本での著作権が切れていないものを収録しているのだから当たり前だが)。

 実際にDVDを見てみると、初めにワーナー・ホームビデオのロゴが出て、日本語のセリフはワーナーから出ていたものと同じだ。つまり、中身はワーナー・ホームビデオで出ていた(いる?)ものそのものなのだ。また、おまけとして、チャック・ジョーンズの代表作のロードランナーとコヨーテが各ディスクに1作ずつ付いている。その昔、植木等のナレーション版でまとめてテレビ放映されたときに、まるでロードランナーとコヨーテ!と叫んだ記憶があるんで、このおまけはうれしい。

 ちなみに、「新シリーズ2」の2枚目のDVDは、ハンナ・バーベラ版の最終期(1954~56年)の作品が収録されている。

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2011/01/05

千本浜から富士山

 3日は富士山がきれいに見えなかったが、今日は姿を見せた。

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2011/01/03

初詣は大瀬神社

 久しぶりに大瀬崎までドライブ。大瀬神社に参拝する。かれこれ考えてみたら、ここに来るのは20年ぶりくらいだ。冬に来ると釣り人がいるかどうかであったのが、ダイバーがかなりいて、通年で潜れるダイビング・スポットとなっているようだ。

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 ここからの富士山の眺めも定評があるが、残念ながら、雲にほとんど隠れてしまっていた。
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 昨年テレビでも紹介されていた淡水の神池。すぐそこが海なのに、鯉がたくさん泳いでいる。本当に不思議な池だ。神池の周りには、亜熱帯性の植物が多く生えていて、父島や沖縄を思わせるちょっとしたジャングルの雰囲気があり、伊豆半島がかつては遠い南にあったことを想起させる。
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 大瀬崎にはびゃくしんが群生していて天然記念物に指定されている。その中でも一番の大木が、神木となっている。灯台のそばに生えている。この灯台に接するように防衛省の大瀬実験所なる建物があった。ここにこんな建物があるのは知らなかった。いったい何を研究・実験しているのだろうう。
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2011年金星の旅

 テレビの正月番組を見ていてもつまらないので、買ったきり見ていないDVDを見ることにした。第一弾は、だいぶ前に中古品を買ってあったDVDで、スタニスワフ・レムの「金星応答なし」の映画化作品「金星ロケット発進す」(日立インターメデイックス発売)。谷洋子が医者スミコ・オギムラを演じている(確か原作にはこのような日本人は出てきていないと思う)。この映画の製作年が1960年でポーランド・旧東ドイツ合作ということを考えると、この谷洋子の役名の苗字は、卓球の盛んな東欧諸国では世界チャンピオンとして名前が良く知られていた荻村伊智朗から付けられたのではないかという気がする。じゃあ、スミコは誰からなのだろう、と考えたら、ノーベル賞を受賞した湯川秀樹の奥さんがスミという名前であったことに思い至った。この谷洋子、ちょっと狐目な、西欧人からみたら典型的な日本人顔である(それを強調するような髪形でもある)。

 ポーランド・東ドイツ合作なのだが、このDVDは、英語タイトルFIRST SPACESHIP ON VENUSが現れ、セリフも英語である(日本語字幕)。ということは、Hollywood Clubというシリーズの一環であることも考え合わせると、これはアメリカ公開版であろう。79分という長さなのだが、双葉十三郎の「僕の採点表Ⅱ1960年代」を見てみると108分と書かれており、原題はMilczaca Gwiazdaとなっている。見ていて、不自然な繋がりをセリフでごまかしているような感じを受けたのだが、30分近く短く編集され、セリフも変えられている(さらには、ストーリーの一部も)可能性が高い。原作の味がないなあと感じられたのは、このハリウッド化する編集のせいでもあるかもしれない。

 ロケットの打ち上げや船外での修理シーン、金星で使われる探検車など、同時期のアメリカSF映画よりもリアルに描かれていて、もしかして、この映画がキューブリックにインスピレーションを与えて「2001年宇宙の旅」を作ることになったのでは。

 その「2001年宇宙の旅」であるが、ブルーレイ・レコーダー(ソニーのBDZ-AT500)を暮れに購入し、その画質確認としてブルーレイ版を買って見た。おまけとして、製作スタッフのインタビューが付いていた(最近のDVDは解説の類を全部データとして収録しているので、紙の解説すら付いていない。なんか寂しいし、その作品の基本データについてちょっと確認したいときに不便な気がする)。それを見ると、映画を作っていく上で必要になる、製作スタッフとしてのこの映画で語られることへの納得というものが感じられたが、それが、監督キューブリックが意図したことと一致していたかどうかはわからない。それらも解釈のひとつと考えるべきだろう。

 

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2011/01/01

謹賀新年

Ueda

 今年もよろしくお願いします。

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