2011年金星の旅
テレビの正月番組を見ていてもつまらないので、買ったきり見ていないDVDを見ることにした。第一弾は、だいぶ前に中古品を買ってあったDVDで、スタニスワフ・レムの「金星応答なし」の映画化作品「金星ロケット発進す」(日立インターメデイックス発売)。谷洋子が医者スミコ・オギムラを演じている(確か原作にはこのような日本人は出てきていないと思う)。この映画の製作年が1960年でポーランド・旧東ドイツ合作ということを考えると、この谷洋子の役名の苗字は、卓球の盛んな東欧諸国では世界チャンピオンとして名前が良く知られていた荻村伊智朗から付けられたのではないかという気がする。じゃあ、スミコは誰からなのだろう、と考えたら、ノーベル賞を受賞した湯川秀樹の奥さんがスミという名前であったことに思い至った。この谷洋子、ちょっと狐目な、西欧人からみたら典型的な日本人顔である(それを強調するような髪形でもある)。
ポーランド・東ドイツ合作なのだが、このDVDは、英語タイトルFIRST SPACESHIP ON VENUSが現れ、セリフも英語である(日本語字幕)。ということは、Hollywood Clubというシリーズの一環であることも考え合わせると、これはアメリカ公開版であろう。79分という長さなのだが、双葉十三郎の「僕の採点表Ⅱ1960年代」を見てみると108分と書かれており、原題はMilczaca Gwiazdaとなっている。見ていて、不自然な繋がりをセリフでごまかしているような感じを受けたのだが、30分近く短く編集され、セリフも変えられている(さらには、ストーリーの一部も)可能性が高い。原作の味がないなあと感じられたのは、このハリウッド化する編集のせいでもあるかもしれない。
ロケットの打ち上げや船外での修理シーン、金星で使われる探検車など、同時期のアメリカSF映画よりもリアルに描かれていて、もしかして、この映画がキューブリックにインスピレーションを与えて「2001年宇宙の旅」を作ることになったのでは。
その「2001年宇宙の旅」であるが、ブルーレイ・レコーダー(ソニーのBDZ-AT500)を暮れに購入し、その画質確認としてブルーレイ版を買って見た。おまけとして、製作スタッフのインタビューが付いていた(最近のDVDは解説の類を全部データとして収録しているので、紙の解説すら付いていない。なんか寂しいし、その作品の基本データについてちょっと確認したいときに不便な気がする)。それを見ると、映画を作っていく上で必要になる、製作スタッフとしてのこの映画で語られることへの納得というものが感じられたが、それが、監督キューブリックが意図したことと一致していたかどうかはわからない。それらも解釈のひとつと考えるべきだろう。
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