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2010/08/25

インセプションはドリーム・マシンか?

 シネマサンシャイン沼津に行き、「インセプション」を見た。テレビの宣伝で、フィリップ・K・ディック的な作品だなあ、と思っていたのだが、実際に見てみたら、ディックよりも、クリストファー・プリーストの「ドリーム・マシン」A DREAM OF WESSEXに近い世界であった。それで、創元文庫の「ドリーム・マシン」を引っ張り出した。訳者の中村保夫のあとがきに、「夢と現実」「現実とは何か」「何が現実で、何が夢なのか」という言葉と一緒に「愛と死」のテーマのSF的変奏、とあり、これはそのまま「インセプション」に当てはまる。プリーストの「奇術師」を「プレステージ」として映画化したクリストファー・ノーラン監督だから、「ドリーム・マシン」も読んでいて、何らかの影響を受けていたとしても不思議はない。

 この10年くらい映画を見る本数が減っているので、本作に出てくる、ディカプリオと渡辺謙以外の俳優は始めてみる人ばかりだが、その中に、ピート・ポスルスウェイト、マイケル・ケインという懐かしい顔が見えたのは、渋い配役だ、と感心する。アリアドネ役のエレン・ペイジはなんというか、好みのタイプである。アリアドネが登場するパリのカフェのシーンで、アリアドネの後ろにシトロエンC4が写っていたのも、いい、実にいい。

 「インセプション」が話題になっている間に創元文庫は「ドリーム・マシン」を再刊する気はないのだろうか?

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コメント

 下の層に行くほど時間の感覚が遅くなり、数時間の間に何十年もの人生を体験してきてしまう、というあたり、いくら現実には短時間だといっても幼い子供を持つ夫婦がそんない長い間二人だけの世界に没頭できるものか?と、そこがひっかかってしまいました。主人公を演じたディカプリオは先日見た「シャッターアイランド」でも自分が原因で妻が死に子供とも別れ、精神に傷を負った主人公を演じていましたので、なんかインセプションのエンディングの後に「シャッターアイランドに続く」というテロップが出るという冗談を考えてしまいました。6年生の息子も一緒に見たので(ませた奴だ。)帰りはクレタ島のラビリンス話に花を咲かせてしまいました。(アリアドネというネーミングがストレートなもんで。)

投稿: ultramanhorse | 2010/09/12 12:19

ディカプリオの役柄について、プログラムに「シャッター・アイランド」との類似性を書いてあったので「シャッター・アイランド」も見ておくべきだったか、と思いました。こういう役柄だと、ディカプリオはジャック・ニコルソンに似ているように見えます。私も、子供をほうっておいて夢の世界に現を抜かすのは変だなあ、と思ったのですが、ベビー・シッターに子守を任せて夜遊びに出るのと変わらない感覚なのか、あるいは、育児ノイローゼの妻を癒すためなのか、などとも思ったりしました。

投稿: WILE.E | 2010/09/12 22:34

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