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2010/06/07

シミュラクラら

 創元文庫から久しぶりにフィリップ・K・ディックの「未来医者」が出た。通勤帰りに都合がいい本屋にありそうもなかったので、アマゾンに注文した。そのとき、ディックで検索したら、サンリオ文庫のディック作品で唯一入手できなかった「シミュラクラ」の古本が見つかった。出版当時の価格からすれば4倍位だが、「未来医者」が820円であるのからすれば2倍位なので、ええい、買ってしまえ、と注文した。「未来医者」が届いた次の日に「シミュラクラ」が届いた。普通の封筒に入って送られてきたので、知人の翻訳家がまた新作を送ってくれたのか、と勘違いしてしまった(古本の場合、アマゾンは仲介業者なので、どんな形で送られてくるかは届いてみないとわからない)。なんと、この「シミュラクラ」、自分が持っている同じ頃出たサンリオ文庫本より、状態がいい。しかも、誰かが読んだような後もない。どこかに死蔵されていた新刊本が発掘されて売りに出されたような感じである。しかし、今になってもわからないのは、この「シミュラクラ」が発売されたことにまったく気がつかなかったこと。
Simulacra

 買ったはいいが、読む順番が来るのはいつのことになるのだろう。創元文庫やハヤカワ文庫で再発売される、なんてことにならないうちに読んでしまいたい。

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コメント

「未来医師」あたりのディック作品は、きわめてディックらしいといわれていますが、作品としてのまとまりはなく、完成度の面では落ちるようです。ただし、ディックの場合、まとまりとか完成度が面白さの指標とは言えない部分があって、生活のために書き飛ばしたところが逆に味わいに繋がっているので要注意ですね。

投稿: くーべ | 2010/06/08 21:00

追記
ディック本人は「こいつはただのクズだ。金をかせぐためだけの小説だ。このころのSFなんて、みんなそういうものだったんだ。読者はごく限られていて、アイデアは使い古されたもの、技術は皆無。ほんとうにすぐれた作家は、こんなジャンルにやってこなかった。新しい血はなかった。過去の偉大な作家たちは、死ぬか、でなければ過去の作品の再生産に堕していた。」とインタビューで語っています。

投稿: くーべ | 2010/06/10 20:59

「未来医師」「シミュラクラ」と続けて読み終わりました。「未来医師」はA.E.ヴァン・ボークト的な辻褄がちゃんと合った時間旅行ものとして、案外、ストレートに楽しめます。「シミュラクラ」はそのタイトルが暗示しているように、ディック的要素がこれでもかと詰め込まれた作品で、登場人物も多く、途中まで、誰が誰だかメモでの取らない限りわからなくなります(まるで、ピンチョン作品だ)。

投稿: WILE.E | 2010/07/31 07:52

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