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2009/05/21

木琴は格闘技だ!

 ビデオ録画してあったタイ映画「風の前奏曲」を見た。予想以上に美しく、映画らしい映画であった。タイの伝統楽器のラナート(木琴)の伝説的奏者の生涯を、その才能を開花させていく青年期の19世紀末のシャムと、近代化のために伝統楽器が禁止される最晩年の第二次世界大戦が激化する1940年代のバンコクとをフラッシュバックさせて、描く。クライマックスは、青年ソーン(アヌチット・サパンポン)が当時のナンバーワン奏者クンインをラナート演奏対決で打ち破るところである。トニー・ジャーの格闘技映画以上の手に汗握る対決である。この演奏対決に匹敵するのは、ミルト・ジャクソンとゲイリー・バートンの競演じゃないか、と思った(実際に、この2人が共演したことがあるかどうかは知らないが)。クンインを演じるナロンリット・トーサガーは役者ではなく、現代のナラート奏者だそうだ。その眼力のある風貌は、この映画の「悪役」にふさわしい。

 第二次大戦時に、タイでは伝統音楽を一切禁止した、ということをこの映画で初めて知った。またまた10年前にタイに行ったときの話になるが、訪問したバンコクとウボンラチャタニの学校では、伝統音楽の授業がちゃんとあって、どちらの学校でも生徒たちの演奏を聴いたのだった。西洋音楽一辺倒といっても良い自分が受けた日本の音楽の授業よりも好ましく感じたのだが、伝統音楽が禁じられた時代があったという話は聞かなかった気がする(聞き落としたか、忘れてしまったのかもしれないが)。

 ナロンリットの生演奏を聴きにタイに行きたくなってしまった。

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