トム・ヤム・クンをダブル・マックスで
このところビデオで録りためたアジア映画を順次見ているが、「トム・ヤム・クン」「ダブル・マックス」という2作を見た。あの「マッハ!」のトニー・ジャーの映画として宣伝されていた映画だが、どちらも、なんとなく憎めない顔をしていて太り気味の体型なのに鋭いアクションができる、香港映画でのサモ・ハン・キンポーを思い出させるペットターイ・ウォンカムラオの方が印象に残る。実際、後者は、トニー・ジャーは完全に友情出演で、ウォンカムラオが監督・主演の作品である。
「トム・ヤム・クン」は、シドニーを舞台にして「マッハ!」以上にどうやって撮影したんだというアクションの連続。広角レンズを使ったワンショット長回しアクションは、凄い。自分が行ったことのあるたった2つの外国、タイとオーストラリアを舞台にしているというのが、個人的に楽しい(あっ、ここには行ったことがあるというヤツである)。劇場で見逃したというのが、不覚であった。
一方、「ダブル・マックス」は、格闘アクション映画のパロディを目指したのではないかという、ある意味、関節の外れた映画である。それゆえに、「ダブル・マックス」の方が好みなのだ。トニー・ジャーは完全に「マッハ!」の楽屋落ちとして出演している。ところどころで、タイ人だったら大笑いする(あるいは苦笑する)んだろうなとテックス・エイヴリーの初期作品を見たときのように想像するギャグが、真面目なストーリー展開の間に挟まる。案外このギャグが入るタイミングが良いし、こういうギャグをやっぱりやってみたいんだという親近感(昔、自分たちも自主制作映画で試みたっけ)がある。大富豪の暗殺事件にスラム街の子供達のために学習施設を建てようという話が絡まって、この掃き溜めのようなスラム街に何でこんな美少女が!というよくある展開も実に好きだ。バンコクのスラム街に行ったときに、その環境の酷さに驚くよりも、妙に居心地の良さがあって懐かしさを感じさせられたのだが、その居心地の良さを感じさせてくれるところがこの映画にはある。
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