「科学哲学の冒険」戸田山和久(NHKブックス)
センセイ---そうだよね。じゃ、もういちど考え直してみようか。手がかりになるのは、そうねえ、ナンシー・カートライトって人が書いた『いかにして物理法則は嘘をつくか』って本。
テツオ-----その人って、ザ・シンプソンズのバートくんの役をやっている声優と同じ名前だ。まさか同一人物じゃないよね。
センセイ---お、そういえば同姓同名だね。もちろん別人だ、と思う。
という一節があるために、このブログ・ネタとすることにした。著者は、私と同世代の研究者である。科学哲学などというお堅い(物理よりも堅いと思う)研究をしている人が、シンプソンズのネタふりをするというのは、やっぱり、我が世代だなあ、とつくづく思うのである。「相対主義」の哲学の嵐に対して、「科学的実在論」はどこまで戦えるのかを対話形式で解説した科学哲学の入門書である。「科学とは何だろうか」ということを考えたい若い人に読んで欲しい本である。また、レムの「泰平ヨンの現場検証」以降の作品を読む人には、そのちょっと読むのがかったるくなる哲学談義(レムの哲学談義も基本的には科学哲学についてである)の参考書として薦めたい。
「科学的実在論」というのはちょっと素朴すぎるのではないかと思ったのだが、案外そうではないことがこの本を読んで分かる。でも、「社会構成主義」の主張を論破していくってのは難しいんだよなあ。
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