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2008/10/04

「宇宙のランドスケープ」(日経BP社)

 ハドロンのひも理論を南部陽一郎と独立に見出したレオナルド・サスキンドが、このところ主張している超ひも理論(超弦理論)に基づく「ランドスケープ理論」について解説した本である。ブライアン・グリーンの「エレガントな宇宙」、リサ・ランドールの「ワープする宇宙」に続く、ストリング宇宙論第3弾。

 本書のタイトルにもなっているランドスケープという言葉は、物理を学んだ者には「位相空間」と言う方がわかりやすいものだが、本書の巻末でサスキンドは「ランドスケープは現実の場所ではない。それは架空の宇宙のありうる設計をすべて集めた一覧と考えてほしい」と要約している。ワインバーグが指摘した、人間が存在するためにはアインシュタインの重力方程式の宇宙定数(宇宙項)が0ではない非常に小さい数に調節されていなければならないということ、それを説明できる可能性のある概念としてのランドスケープを、訳書にして500ページを超える枚数を費やし、数式なしに説明している。サスキンドの主張をまとめると、宇宙は無限に多くあり、たまたま、われわれは、炭素を主体とする生物が生存できる宇宙定数の「生命の窓」の位置にある宇宙に住んでいるのだ、ということだ。

 本書でよく出てくる固有名詞に、「ルーブ・ゴールドバーグ機械」があり、カートゥーンのファンでもある私には、なかなかうまいたとえだなあ、と感心する。「ルーブ・ゴールドバーグ機械」というのは、「トムとジェリー」や「コヨーテとロードランナー」などにもよく出てくる、「風が吹くと桶屋が儲かる」式の手の込んだ、いろいろ回り道をした末に、あることをする装置であり、ルーブ・ゴールドバーグはそういう装置の1コマ漫画をたくさん描いた、アメリカでは有名な漫画家である。日本の例で言えば、「快獣ブースカ」第1話での大作少年の目覚まし装置のアレである(例が古すぎるか)。素粒子から宇宙までを統一して説明しようとしている最新の超ひも理論の様子がまさに、ルーブ・ゴールドバーグの機械のような、複雑で妙に技巧的なもので、本当はもっと直接的な方法もあるだろうにと思わせつつ、面白いなと思わせるものだからである。自分も参加してみたいと思ったりもするが、ルーブゴールドバーグの機械を考えられそうで、実は、あんまり面白いものが思いつけそうにないのと同じ結果になるのは目に見えている。

 超ひも理論の正当性の証拠が見つかるかもしれないという期待もあった新型加速器、CERNのLHCだが、不具合が見つかったということで、しばらく修理するという。来年はついに超ひも理論の尻尾くらいが捕まえられるだろうか? すばる望遠鏡等の天体観測の方で意外な証拠が見つかるかもね。

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