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2008/05/17

「原爆から水爆へ 上下」リチャード・ローズ 紀伊國屋書店

 「原子爆弾の誕生」の続編である。核兵器の開発に伴う科学や技術の問題についてきちんと書いてあって、文系のジャーナリストなのに凄いなあと、思う。ここまで、書かれていると、なぜ、科学者や技術者がこのとてつもない、使われることのない大量破壊兵器を作ってしまったのかが、理解できる。水爆の原理は原爆で核融合の条件を満たして重水素の核融合エネルギーを解放したものと、単純に理解してきたのだが、ことはそう簡単ではない。必要な爆発力を得るためにはきちんとした物理学的理解と、技術の工夫が必要であるという、考えてみれば、科学技術開発の実に当たり前な話である。未だに、米ソが核兵器の開発実験をしているのも良く理解できるのである。

 第五福竜丸の不幸な被爆が、実験を計画した科学者達が気付かなかった核反応によるさらなるエネルギーの発生のためだったというのをこの本で初めて知った。予想外のエネルギーが解放されて、あわてる関係者達。「テラー博士の恐怖」というB級映画のタイトルのネタの提供者になった、エドワード・テラーが相当にヒステリックなタカ派科学者として描かれているのが、本当にテラー博士の恐怖そのものである。メガトン級の水爆は、このテラーとポーランド出身の数学者スタニスワフ・ウラムが見いだした、外と内からの放射線による爆縮というアイディアで実現する。本書や「原子爆弾の誕生」で紹介されているウラムの様子は、同郷の作家スタニスワフ・レムの「天の声」の主人公のモデルになっているように思える(レムはアメリカに渡ったウラムから「サイエンティフィック・アメリカン」を送ってもらっていたということが「SFマガジン」2004年1月号のレム特集の記事に書かれている)。

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