40年の未読
ガルシア=マルケスの「百年の孤独」を冬休みの間に読んだ。昨年、積読20年の「族長の秋」を読んで、マルケスの文体に絡めとられ、「百年の孤独」を読まずにはいられないという気持ちになり、昨年刊行されたマルケス全集版を購入したのであった。「百年の孤独」は1967年に発表されており、邦訳は1971年に刊行されている。その頃の私は、完全にSF少年であり、いわゆる文学の主流なぞには興味はなかったが、SFに近い文学の試みとして、なぜか、ル・クレジオの作品は読んだ記憶がある。そういえば、最近はとんとル・クレジオの話題を聞かないが、とっくに故人になってしまわれたのだろうか。同じ頃のフランス文学として、ミッシェル・ビュトールは「時間割」が文庫本で入手可能だ。「時間割」も改訳された現在の文庫本で読み直したいと思うのだが、いつになったら順番が来るのやら。「百年の孤独」は南米のある国のある町を開き、そして、滅亡させたある一家の100年間の物語である。語り部が話して聞かせる一族の昔話の「語り」を復活させた、リズム感のある文体が、やはり、いい。巻頭に、主人公の家族の家系図があるが、これは、読んでいてありがたかった。似たような名前の登場人物たちの関係や、だいぶ前に登場したが長いページ数に渡って触れられることがなかった人物がひょっこり帰ってくる(本当に、帰ってくるのである)ときに、こいつは誰だったっけ、と確認するのに便利だった。初訳が出た高校時代に読んでいたら、その後の私の人生は少し変わっていたかもしれないと思いつつも、その頃では、この物語の語り方が面白いと思えたかどうか。
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