訃報は続く
27日の夕刊で、映画監督のリチャード・フライシャーが亡くなったのを知った。私が小学校時代に見た字幕の洋画は、「海底2万マイル」「ミクロの決死圏」「ドリトル先生 不思議の旅」の3本で、後に、この3作すべてがリチャード・フライシャーの監督作品であったことを知り、驚いた。さらに驚いたのは、家にテレビがきたばかりの頃、毎週日曜日楽しみに見ていた「ポパイ」のアニメを作っていたのが、リチャードの父と叔父のマックスとデイブだったこと。昨年、リチャードが父親についての本「Out of the Inkwell MAX FLEISCHER AND ANIMATION REVOLUTION」を出版したので、これを手に入れ、そろそろ読もうかと思っていた。また、WOWOWなどで放送されてビデオに録画していた上記の3作よりは知られていないリチャードのB級作品も、まとめて見ようかと考えていた。というわけで、我が家では、1971年の「ラストラン」(適当に選んだのだが、シトロエンDSが登場している!)を追悼上映中である。
リチャードの訃報の驚きもさめない昨日、今度はポーランドからスタニスワフ・レムの訃報が夕刊に出た。これまた、ディックの次はレムと、決めていただけに、大変驚いたわけである。世界でもっともSF作家らしい作家であった。SFの定義も色々あるが、私のSFの定義のコアはレムである。「ソラリス」の新訳をそろそろ読み始めようか。
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コメント
レムの死、本当に驚きました。
アメリカ産の映画「ソラリス」に怒り心頭というニュースが、私の知っている最後のレムの情報かな。もっともタルコフスキーの映画に対してもそうだったみたいですが。
タルコフスキーはストルガツキー兄弟のストーカーのほうでは、もう少し作者の意図に接近した姿勢をとっているので、まあ、ソラリスは「知っててやった」のでしょう。ソラリスは確かにさまざまな読み方ができるという点で、優れた文学作品なのだろうけれど、それ以上に透徹したSFだったということが、SFに興味ない人には見えにくいのかもしれません。タルコフスキーはそういうことを承知の上だったのではないかと。
しかしまあ、アメリカ産ソラリスにはレムでなくたってトホホです。誰かマインドのある監督に無敵(砂漠の惑星)を映画化してもらいたいものです。
投稿: kmts | 2006/03/29 22:34
追伸
トラ・トラ・トラやソイレント・グリーンもフライシャーだったんですね。
ミクロの決死圏と海底二万マイルは、わが子供時代に強烈な印象を残した映画でした。今見ても傑作だと思います。
投稿: kmts | 2006/03/29 22:42
そうそう、「ソイレントグリーン」という渋いSF映画もリチャードでしたね。我々の世代のSF映画のイメージって、リチャードの作品で形作られたように思いますね。
レムの作品の映画化は、もっと積極的に考えられてもいいですね。「無敵」については、現在では、映画技術的に映像化は可能だと思うのですが、問題は、この作品の雰囲気を可視化できる監督がいるかどうかですね。
投稿: WILE.E | 2006/03/31 07:10
レムも昨年全40巻の作品集がポーランドで完結したようで、その時はまだ元気そうでした。そうはいっても80を越えると体力面では随分と厳しいですね。
ポーランド語の翻訳家が少ないので、他の作品が今後どんどん訳されるということは期待できないかも。浅倉さんの元気さを見ると、深見さんが若くして亡くなったのが痛いですねぇ。存命であらば何冊が翻訳していただけたかもしれない。
投稿: くーべ | 2006/04/01 08:27