ミニバン購入の圧力
自家用車がないと普段の生活にもちょっと困る地方都市の郊外に住んでいて、子育てをする時期にある者にとっては、たとえ子供が1人だけだったとしても、自分の親と同居していなくても、7人乗車可能な、いわゆるミニバンという物を所有していないと肩身の狭い思いをすることがある。このようなことについては、ミニバン評論家を自認する物書きの方々もはっきりと書いていないように思われる。
他の地方ではどうなっているのか知らないが、私の住んでいる地域では、町内に子供会の組織があり、小中学生とその親(主に母親)が会員となっている。小中学校における地区会組織とも重なっており、学校からの指示に基づく集団登下校とか補導などへの対応をしたりする。と同時に、町内の夏祭りや地区の運動会(小学校区ごとに行われているので、校区祭と呼んでいる)の中心となって活動している。毎学期末(だったと思う)に行われるリクレーションがあり、このときにボーリングをしたり映画を見に行ったりしている。その際、会場への移動が、その年の役員になっている親が主になって、自家用車を出して、子供たちを乗せて行っている。何を言いたいかというと、このような場合、誰が車を出して何人子供を乗せていくか、という相談をするのだが、ミニバンがないと立場が悪くなるということである。せめて、5人乗りであっても荷物がたくさん積めるワゴンは持っていないと、その場に居づらい雰囲気を感じてしまうのである。
そのような雰囲気を感じる場面はまだある。スポーツ少年団(クラブ)に入っていたり、学校で運動部に所属すると、各種の試合などで遠征する場合、その移動の引率が、保護者の輪番制となっている場合が多い。私は、公立高校で卓球部の顧問になって久しいが、遠征用のマイクロバスを所有している学校はほとんどなかった。あったとしても1台しかなく、また、運転手の問題もあって、なかなか使用できるものではなかった。そうすると、遠征の移動については、顧問教員が、自腹を切って大型免許を取りマイクロバスを買うなんてなかなかできないので、とりあえずミニバンを買い、なんとかするしかない。でも、多くの場合、連れて行かねばならない部員数は、ミニバン1台では足りない。となると、保護者を頼るしかないのである。
で、私の場合である。子を持つ親の立場で言うと、娘一人で、運動をやっていないのでとりあえず、ステーション・ワゴンであるトゥアラーで、子供会関係はなんとかなっている。高校の卓球部の顧問としては、自分が教員になったのは卓球部の面倒を見るためではない、自分が高校時代は顧問が試合会場へ送迎するなどなかった、高校生なら自分たちだけで試合会場まで来れなければだめだ、という論理で、ミニバンがあるといいかもという圧力に耐えてきた。もっとも、卓球の場合個人スポーツで、団体戦であっても4人いればいい、ということで、5人乗りの普通の車で対応できる場合もかなりある。
私が身近に感じるミニバンの必要性の圧力は以上のようなものなので、3列目は子供が乗れればほぼいいわけだし、もちろん、体のでかい高校生を乗せることを考えると、大人が座れるサイズであるに越したことはないが、長時間耐えられる必要性は少ない(最寄りの鉄道駅から、不便なところにある場合が多い試合会場まで乗せられればよい)。このような観点からのミニバンの評価というのは、いわゆる自動車評論家によるものは、案外少ないように思う。一方、メーカー側はマーケティングで、私が感じているような必要性を判っていて商品を作っていることは確実である。盆暮れ正月に実家に帰ったときに、親子孫3世代でファミレスに行くためだけに使われてるんじゃないよってね。
というわけで、ミニバンをもう一度検討してみると、スバル・トラヴィック、ニッサン・ラフェスタ、ホンダ・モビリオあたりが、私の許容範囲に入ってくる。もちろん、これから出る、新型マツダ・プレマシーが、一番の期待であることは変わらない。ミツビシがディオンをもっとかっこよく進化させることも期待したい。
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コメント
ミニバン圧力ですが、お友達の誰かが持っていればGOOD!という解釈をしています。私個人としてはいわゆるミニバンは評価外なので欲しいとも乗りたいとも思いませんが、お友達でたとえそういう圧力を感じてでも興味のある人には、あれがいいのではこれもいいよとお薦めしています。
田舎などは一家に何台もクルマがある状態が多いので、セダンとコンパクトミニバンがあれば十分(たとえばカローラとアトレー7というような組み合わせでも本来は十分)でしょう。
しかしながら現状は、やれアルファードだのエルグランドだのと巨大なミニバンがもてはやされているご時世です。これはミニバン圧力ではなく流行りものなんでしょうね。
もう少し郊外都市に限って一家に1台ということになっても、5+@程度のコンパクトなクルマで十分だろうと思うのですが、そういうクルマとしては最適なトラヴィックが人気を集めているということもないので、このあたりの感覚は微妙なものだと思います。
そういう意味で今回の新プレマシ-はいいところを付いてきていると思います。海外向けと国内向けを差別して作るほどの余裕もないので、トヨタのようにあからさまな造りの違いもないでしょうし、サイズ的にも丁度で面白いんじゃないでしょうか。
マツダというだけで嫌悪感を持っている購入者もいるようですが、大阪ではMPVはいっぱい走っています(単に値引きがいいからだけど)。そんなにクオリティの高いクルマを作っているわけではないけど、真面目に作っていますよね。
投稿: くーべ | 2005/01/30 10:33
今回の記事は、ちょっと誇張して書いてる部分があります・・・・我が家での実際の圧力はそんなに強くはないです。
昔からワンボックス・カーで生徒を乗せて遠征にいっている運動部の顧問は、エルグランドだのアルファードだのに乗っている人が多いですね。
新プレマシーの新聞折り込み広告がこの間の土曜日はいっていて、カタログを発表前に送ってくるサービスつきの、アンケート・ハガキがあったので応募しました。
本屋で「ルノー」というムックを見つけて眺めたら、グランド・セニックが紹介されていました。日本に来るのか来ないのか、わかりませんが、ほぼ、新型プレマシーと同じサイズで、魅力的です。
投稿: WILE.E | 2005/01/31 15:19
「ルノー」のムックは買ってしまいました。グランドセニックはたぶん日本に入ってくる方向で検討されているようです。ただし、お値段が高い。トゥーランの2Lとあんまり変わらない値段になるんではないでしょうか。
トゥーランもVWのクルマとしてはよくできているようです。ただし1.6でもあの値段はちょっと手が出ません。
プレマシ-のHPのおちゃらけ開発マンガが笑えます。実際にヨーロッパでもハッチバックからミニミニバンへの移行が始まっており、ザフィーラを嚆矢として、グランドセニックやトゥーランやフォードフォーカスなどといったヨーロッパ勢。カローラヴァーソという現地でしか売っていないヨーロッパ版スパシオ(これがけっこういいクルマなんだけど、国内には持ってこないみたいですね。ウィッシュと同じフロアでヨーロッパ向けに作ったようです)。
そうそうマイナーだけど、アストラワゴンにも1.8があります。250万という価格も微妙。サイズ面ではほとんどメガーヌワゴンと同じです。
投稿: くーべ | 2005/01/31 22:27
グランド・セニックもお値段が高いと、ちょっと手が出ませんね。アストラはこの間の日曜日の「新車情報」で取り上げていたので、ちょっと見に行こうかなという気になりました。プレマシーのHPのマンガも見ました。本当に笑えますね。
投稿: WILE.E | 2005/02/01 17:57
グランド・セニック(グラン・セニック?)は、今秋導入予定と「カーグラフィック」の2/1発売号に出ていました。シビックも気になるから、そこまで待ってみようかなと言う気持ちが少し出てきました。
「月刊自家用車」の最新号に、フィット派生のステーションワゴンのスクープが出ていました。そこに出ていたサイズを見てびっくり。トゥアラーとほとんど一緒(すこしだけ車高が高い)。できのいい本革シートのオプションでもあったら、これでいいかも、なんてちょっと思ってしまいました。
投稿: WILE.E | 2005/02/02 10:11