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2004/08/26

シートをめぐる3つの体験

 もう5,6年前のことだ。職場の慰安旅行で、蓼科高原に出かけた。同僚の運転する自動車に分乗して出かけたのだが、その当時新発売されて話題になっていたトヨタ・スパシオ(初代)に、乗ることになった。2列目は子供用の席だからと、ごく当然に3列目に乗った。ところが、この席、乗り心地が実に良くなかった。後車軸の真上に座る形になること、寝そべった変な姿勢で座る形になってしまう座面が妙にふにゃふにゃなシートのために、すぐに腰に疲労感を感じてしまった。それで、最初の休憩後に、狭いけれどアップライトに座る姿勢になる子供用の2列目に座ってみた。そうしたら、これが実に疲れないのである。まったく身動きが取れるなくなるのだが、シートベルトを締めてしまえば、3列目よりも腰に負担のかからない姿勢で体が固定され、さらには、ホイールベースの中央付近に座ることになるため、後車軸真上に座るよりはるかに乗り心地は良い。チャイルドシート取り付けのことを考えているのか、それとも子供が座る席だからか、座面が硬めなのもいい。で、結局、私は、この子供用とされる席にずっと座り続けることになった。

 シートの座り心地は大きさでは決まらない。腰に負担のかからない正しい姿勢が取れて、きちんと体重を支えてくれる座面があれば良い、ということを痛感した。


 トゥアラーの代車として、ローバー114に何度か乗った。初めて乗ったときの驚きは今でも覚えている。まず、リッターカーのサイズなのに、シートがそれに合わせて小さくされていないこと驚いた。座面の厚みも充分ある。私は、スパシオの子供席でも大丈夫だったように、それほど大柄ではないが、この思いもよらない立派なシートに座ったらヘッドクリアランスもニースペースもあまりない。いったい、私より大柄な人間が多いはずのイギリス人はどうやって乗っているんだろうと思ってしまう。もっとも、これよりもさらに小さいミニに乗ってるんだから、この車でも乗っちゃうのだろうが。で、走り出したら、とってもうるさい。CVT車だったから、エンジンはうなっているのに進まない、という初期のCVT車特有の体験をした。しかし、走り出していちばん驚いたのは、サスペンションの反応である。ハイドロガスサスペンションによる効果で、ホイールベースが普段乗っているトゥアラーと変わりなく感じられるのであった。ルームミラーをのぞいてリアウンドウがすぐそこに見えることとの違和感が、実に、新鮮で不思議な感覚だった。

 シートとサスペンションの相乗効果で、その車の乗り心地が決まる。それによって、一回り大きな車に乗っているのと同じ乗り心地を実現することが可能なのだ、と、感動した。


 さらに、記憶をさかのぼることになるのだが、トゥアラーを買ったばかりの頃、同じ職場の同僚が、ベンツの旧型車を中古で買った。ちょうど、新型が、それまでのベンツらしい押し出しの強い面構えから、スポーティな形に変わったときだった。それで、このベンツに乗って、岐阜に慰安旅行に出かけた。そうしたら、我がトゥアラーのシートがベンツに使われているものと基本的に同じであることに気づいた。表皮の色は違うが、同じ座り心地の本革製シートだったのである。前席は運転していて疲れない固めのシート、後席はふかふかだが、きちんと体を支えてくれるソファのようなシート。きっと、シートメーカーは同じに違いない。この体験以降、トゥアラーにはベンツと同じシートが付いています、とちょっと自慢してしまった。

 ヨーロッパ車は、高級車から大衆リッターカーまで、シートについては基本的に違わないものを採用している。大衆車サイズでも、ベンツと変わらない内装の車が存在している。本当の贅沢、あるいは、車を楽しむって、こういうことじゃないか、と、つくづく思う。

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2004/08/19

マイナーだけど、ちょっと気になる車

 あまり走っていない車だけど、町中で出会うと、あれっ、と思って見てしまう車がある。ススキのエリオとホンダのフィット・アリアである。この2つの車は、メーカーの海外販売戦略上作られている車で、国内での販売は、2の次といった感じである。しかし、その内容の割に価格は安いので、給料は下げられ続け、住宅ローンがますます重くのしかかる我が家の財政状態によっては、このどちらかを次の愛車にする可能性もある。

 エリオは全体のボリューム感のあるボディが好ましい。ハッチバックとワゴンの中間的なサイズだが、縦・横・高さの関係が絶妙である。最近、マイナーチェンジされて、デザイン上の唯一の欠点であった、フロントマスクが多少よくなった。私が気に入っているのは、リアのデザインで、この後姿は、国産ハッチバック車の中で最も好きだ。スバル・フォレスターが同様のデザインだが、エリオの方が先である。リア・シートがもう少し大きくて、エンジンが環境税制4つ星対応なら、財政状態関係なしに、この車にしてしまう可能性が大きいのだけど。

 フィット・アリアは、ボンネット、Aピラーからルーフにかけてのラインが魅力的である。容量の大きいトランクの存在で、このラインがボディ後半でちょうっとバランスが危うくなるのも、妙に、気を引かれるデザインなのである。リア・シートの背もたれが倒れて、トランクスルーになるので、ワゴン車的な使い方ができるのも良い。トゥアラーに乗っていても、ラゲッジ・シェルフ(トノカバー)より上に出るような荷物の積み方は年に何度もしないので、この機能で充分実用的である。小学生のときに、コロナ5ドアを見て以来、5ドアかワゴンがいいと思っている私が、初めて買ってもいいと思ってカタログを手に入れた4ドア車である。もう少し室内空間があって、成金趣味でない内装が選べて、シートがよければ、初めて買う4ドアセダンになるのになあ。

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2004/08/16

私の望む車・・・サイズとシート

 自宅付近の道路事情、実家の駐車スペースの両方から、私の希望とする自動車のサイズは、全長4.2m、全幅1.7mである。ホイールベースは、現在乗っているトゥアラーと同程度からそれ以上の、2.60m前後がいい。全長と全幅のどちらをより気にするするかといったら、全長である。これは、私の実家の駐車スペースが長さ方向に狭く、トゥアラーの4.37mという全長でも、0.15mくらい道路にはみ出してしまうのだ。

 このくらいのサイズは、ちょうどカローラのサイズである。シビックもあればサニーもある。その他にも、いろいろな国産車がある。みんな、それなりに魅力的なところがあったりする。ただ、車格が大衆車ということで、残念ながら、シートの出来がヨーロッパ車に比べるとダメである。大きさや表面の材質の贅沢さということではない。長時間座り続けても大丈夫な、きちんと体を支えてくれるシートが装備されていないのである。
 
 実際、ホンダのシビック・シャトルから現在のローバー・トゥアラーに乗り換えた最大の理由は、このシートの問題であった。当時、私は自家用車通勤で往復2時間半かけていた。7年近く乗ってきたシャトルのシートに座っていることが苦痛になってきていたのである。それは、6年間の経年変化もあるし、自分自身の肉体の老化もあるとは思って耐えてはいた。たまたま、資金的に余裕があることがわかり、輸入車の価格が劇的に下がった直後でもあった。シャトルを買う時に、最後までどちらにするか迷っていて、最終的に価格が折り合わず断念したコンチェルトの兄弟車であるトゥアラーのデザインに引かれて、ディーラーに見に行ったのである。そして、シートに腰掛けてみた瞬間、このシートはいい、と一発で気に入ってしまい、即、契約。それで、乗り出したら、あ~ら不思議、家に帰ると運転疲れでもう車に乗りたくないと毎日思っていたのが、もっと、車を運転したい、という気持ちに変わったのである。帰る時間が早い日など、わざわざ遠回りして山道を上り下りしてしまったくらいである。

 この経験で、車を選ぶ基準の中で、シートの座り心地がサイズの次にランクされることになったのである。ディーラーに出かけていって、まず、前後のシートに座ってみる。それで、前後ともこれならいいかも、と感じる車であったら試乗をすることにしている。このブログの試乗レポートでヨーロッパ車が多いのはそのためである。例えば、最近の車では、マツダのベリーサに期待したが、前席はまあまあだったが、後席がいまひとつだったため、試乗する必要なしになってしまった。

 このサイズとシートという私の選考基準に、真っ向から勝負してきていると思われる車が、この9月に出る。ニッサン・ティーダである。親会社のルノーと同じくらいのシートが用意されているなら、「買い」である。

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